ハダニ防除の宿命「薬剤抵抗性」への挑戦 ~ 殺ダニ剤の隔年ローテーションを基軸とした抵抗性管理

ページ番号2010429  更新日 令和6年1月19日

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 令和5年12月22日、東京農業大学(世田谷キャンパス)において「第3回殺虫剤抵抗性シンポジウム」が開催され、藤沢巧首席専門研究員兼病理昆虫研究室長が、岩手県のリンゴ栽培において取り組んできた殺ダニ剤の隔年ローテーション使用体系(以下、「隔年使用体系」)について講演しました。

 岩手県における隔年使用体系は、全国に先駆けて1986年から導入し、既に40年近く現場で取り組まれてきました。多くの殺ダニ剤は、防除効果の低下により現場で次第に使われなくなり、一定期間を経て市場から消えていくことを繰り返しています。このような状況に対し、本県で取り組まれてきた隔年使用体系は、殺ダニ剤を長く使い続けることが可能と考えられることから、薬剤抵抗性対策を現場で実践・普及するために有益な情報として全国に発信することとしました。

 受講者からは「隔年使用体系が長年守られていたことが印象的」、「野菜や花の種子、球根に寄生する病害虫防除においても応用可能ではないか」などの感想が寄せられました。

 今後は、殺ダニ剤の隔年使用体系によるハダニ類抵抗性管理に加え、土着の天敵類を保護・活用する技術や気門封鎖剤等を組み合わせることで、殺ダニ剤の年間使用回数を減らし、環境負荷の低減に寄与する総合的な防除体系の構築を目指します。

講演する藤沢首席専門研究員の写真
講演する藤沢首席専門研究員兼病理昆虫研究室長

(生産環境研究部病理昆虫研究室 上席専門研究員 吉田 雅紀)

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