キレイな花には天敵(ムシ)がいる ~ トマトハウス内でタバコカスミカメが活躍中

ページ番号2005439  更新日 令和4年7月12日

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 病理昆虫研究室では、令和4年度から3年間の計画で試験研究課題「施設トマトの害虫総合防除技術の確立」に取り組んでいます。

 施設トマトで問題となる主な害虫は、すす果の原因となるコナジラミ類、白ぶくれ果の原因となるアザミウマ類、果実や茎に食入するオオタバコガ等です。これらに対する物理的防除技術としてハウス開口部に0.8mm目の赤色防虫ネットを展張し、害虫の侵入防止を図ります。また、侵入した害虫への対策としては、天敵の活用等を検討しています。

 これまでトマトでは「灰汁(あく)(トマトタール)」が天敵昆虫の活動の障害となるため、活用が進んでいませんでした。今回検討しているタバコカスミカメは「灰汁(あく)」の影響を受けずにトマトでも活動し、主にコナジラミ類やアザミウマ類の幼虫の体液を吸汁するので、害虫密度の低下が期待できます。

 高温を好むタバコカスミカメの定着を促す温存植物として、バーベナ苗をトマトの定植とほぼ同時に移植しました。その後、タバコカスミカメ成虫をハウス内に放飼したところ、約1か月後にはバーベナ株内で幼虫が確認されました。今後はハウス内の害虫を継続的に退治してくれそうです。

開口部に赤色防虫ネットを展張し畦端に温存植物バーベナを植栽したトマトハウスの写真
側幕等の開口部に赤色防虫ネットを展張し
畦端に温存植物バーベナを植栽したトマトハウス
センター内・病理昆虫パイプハウスにて(撮影日:令和4年7月8日)
  • トマト葉上のタバコカスミカメ成虫の写真

    トマト葉上を徘徊するタバコカスミカメ成虫(円内:体長約4mm)

  • 温存植物バーベナ上のタバコカスミカメ幼虫の写真

    バーベナで潜むタバコカスミカメ幼虫(円内)

(生産環境研究部病理昆虫研究室 首席専門研究員兼室長 藤沢 巧)

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