牧場管理人の作業負担の軽減に向けて ~ 市販のBLEタグを用いた牛の個体確認作業の労力軽減効果を実証

ページ番号2004602  更新日 令和4年2月4日

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 放牧看視員は、放牧期間中に毎日耳標等の目視による個体確認等の管理作業を行いますが、看視員の高齢化に伴い業務の負担軽減が課題となっています。そこで本研究では、携帯端末に標準で搭載されているBluetooth通信機能と市販のBLEタグを用い、個体確認作業の負担を軽減するシステムを確立しました。

 BLE(Bluetooth Low Energy)とは、近距離無線通信技術Bluetoothの拡張仕様の一つで、極低電力で通信が可能な仕様です。携帯電話の電波の届かない山奥の放牧地でも利用できるメリットがあります。本システムは、携帯端末とBLEタグから構成され、携帯端末を用いて放牧牛に装着したBLEタグから送信される情報を受信することにより個体確認を行います。この技術を利用することで、看視員が耳標等を目視することなく個体を確認できるので、作業の負担を大幅に軽減できます。

 なお、このシステムには、NOK株式会社と共同開発した「牛群管理アプリ」が必要です。株式会社マーベリックスからBLEタグを購入すれば、購入者は「牛群管理アプリ」を無料で利用できます。このシステムを用いて、外山畜産研究室の牧区(面積1.2~4.4ヘクタール)で日本短角種親子放牧群49頭(親牛29頭、子牛20頭)の個体確認を行ったところ、目視による場合に比べて、確認に要する時間は80%、看視員の移動距離は60%減少しました。

 外山畜産研究室では、今後も放牧地での作業負担軽減に向けて、試験研究に取り組んでいきます。

  • BLEタグと牛への装着状況の写真

    BLEタグと牛への装着状況

  • 牛群管理アプリの操作方法の説明写真

    牛群管理アプリの操作方法

BLEを用いた牛の個体確認手法のイメージ図
BLEを用いた牛の個体確認手法

(畜産研究所外山畜産研究室 主任専門研究員 佐々木 康仁)

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