生産性向上で作付拡大を ~ たかきびの育種、はじめました
近年、健康志向の高まりを背景に雑穀市場は拡大を続けており、岩手県産雑穀へのニーズが高まっています。しかし、需要に生産が追いつかない状況で、中でも「あわ」や「たかきび」の供給量が全国的に不足しています。
岩手県内の「たかきび」栽培では、玄穀色が赤く、もち性の在来種が主に作付けされていますが、稈長が2~3メートルにもなる場合が多く、機械収穫に適していない草型です。そのため、収穫作業に多くの時間や労力を必要とし、大規模栽培が難しい品目です。そこで、県北農業研究所では、たかきびの生産性を向上させるために、稈長が低く、収量性が高い穀実用たかきびの新品種開発に取り組んでいます。
県北農業研究所では、これまでに、ひえ、あわ、きびにおいて岩手県オリジナル品種を育成してきた実績があります。令和元年度から新たにたかきびの育種にも取り組み始め、長稈系統である県北地域の穀実用たかきびの在来種(約3メートル)と海外の短稈系統(約120センチ)を令和元年の夏に交配しました。たかきびの交配は、温湯除雄法を利用して母親の花粉だけを働かなくさせる作業を行った後に、母親のめしべに父親の花粉をつける作業を行います。
今後は、名古屋大学と連携してDNAマーカー選抜を行い、ゲノム育種技術を利用しながら効率良く生産者と消費者のニーズを満たす有望なたかきび品種の育成を進めていきます。
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背比べ
身長160cmの研究員(左)
たかきび在来系統(中央)
海外の短稈系統(右) -
たかきびの温湯除雄作業
開花当日の朝に47℃のお湯に穂を10分間浸した -
登熟中のたかきびの穂
赤丸が交配によりできた種子
(県北農業研究所作物研究室 専門研究員 吉津 祐貴)
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