農作物技術情報 第9号 野菜(令和2年11月26日発行)

ページ番号2001271  更新日 令和2年11月26日

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ヘッダ

  • 寒締めほうれんそう 生育量や品質を確保するための温度管理を実施しましょう
  • 促成アスパラガス 萌芽開始後の温度・かん水管理による収量向上を図りましょう
  • 冬春どり葉根菜類(無加温ハウス) 被覆資材の利用や換気等による収量確保を図りましょう
  • 雪害対策 ハウスの補修や補強、効果的な除雪を行い、倒壊等を防止しましょう

1 技術対策

写真1,2

(1)寒締めほうれんそう
ハウス栽培では、収穫時の葉長が15~28cmくらいまでと、幅が広いので、適切な温度管理を行い、出荷できる大きさまで生育させ、ほぼ収穫できる葉長となった時点で、ハウスの入口やサイドビニールを開放し、1週間程度本格的に寒気にさらして最終的な寒締めを実施します。
収穫は、平たく開張し、最大葉の葉柄の絞り汁のBrix糖度が8%以上になっていることを確認してから行います。

(2)促成アスパラガス
萌芽開始後は、地温15~16℃、トンネル内温度を日中25℃以下、夜間10℃以上を目標に管理します。また、できるだけ太陽光に当てて着色を促します。
萌芽が始まると、若茎の伸長に水分が多く利用されるので、伏せ込み床の乾き具合に応じて、気温が上昇する晴れた日の午前中にかん水を行ってください。なお、かん水量が多すぎると根やりん芽の腐敗につながるので、伏せ込み床の水分状態を適正に管理する必要があります。
収穫は、規格に達した若茎から順次収穫を行います。茎の長さが30cm程度に伸びてから収穫し、規格に合わせて切り揃えます。曲がりや開き、細茎などの販売不能な茎は、エネルギーの消耗を防ぐため、早めに切り取って処分してください。

(3)冬春どり葉根菜類(無加温ハウス)
生育促進と凍害防止のため、カーテン、トンネル、不織布等の被覆資材を利用して保温に努めます。ただし、日照時間が少ない時期なので、光線透過率の高い被覆資材を使用し、品質を高める必要があります。
湿度が高まると、べと病や灰色かび病等が多くなるので、晴れた日の日中はできるだけ換気を行い、湿度を下げます。
かん水は耕起前に十分行なっていれば必要ありませんが、圃場が乾燥し、葉がしおれる等明らかに水分不足が見られる場合、晴れた日の午前中に実施します。
近年、冬春どり葉菜類で農薬残留基準超過事例が相次いでいます。農薬登録情報・使用方法の確認、タンク・ノズル・ホースの丁寧な洗浄等、基本事項を徹底してください。

(4)雪害対策
天気予報や気象台が発表する気象情報に注意しながら、雪害を未然に防ぐように気を付けます。

【事前対策】

(1)ビニール等被覆資材の破損部を補修し、風の吹込みによる破損を避ける。
(2)筋かい直管は、各アーチパイプを針金等で固定し、下端部は必ず地面に30センチメートル以上埋め込む(図1)。既存の筋かいも台風等で緩んでいることがあるので、きっちりと固定されているか確認する。
(3)ハウス屋根中央部が陥没しないように、中柱(補強用の支柱)をできるだけ細かな間隔で立てる(図2)。中柱の上部は屋根面の直管パイプと固定し、下部は積雪の重みで土壌に沈み込まないように受け板(板、ブロック等)を敷いておく。受け板は重みで割れることがあるので、頑丈なものを使用する。また、中央部にうねがあり、まっすぐに中柱が立てられない場合は、図3のようにする方法がある。

図1,2,3

【積雪時の対策】
(1)積もっているハウス側面の雪を遅れることなく除雪する。ハウスの雪下ろしを行う場合、あらかじめハウスの周囲、特に両サイドの雪を取り除いてから、上部に溜まった雪を下ろし、再度ハウス側面の雪を取り除く。
(2)施設内の温度を高め、積雪の自然落下を促進する

  • 暖房機が無い場合は、暖房器具(コンロ、石油ストーブ等)を入れて融雪を促す。
  • ハウス内でカーテンを使用している場合は、カーテンを開いて、屋根面からの放熱量を増やして融雪を促す。
  • 暖房機が設置されている場合は、運転して、室内温度を上げる。

(3)除雪作業が追いつかない場合の緊急対策

  • 積雪による重み、側面からの圧力等によるハウス骨材の損傷を防止するため、ビニールを破り雪をハウスの内部に入れる。この時、事故防止のため、作業は複数人で行う。
  • ハウスの倒壊が予測される場合、ハウス内への立ち入りを極力避け、事故を防ぐ。

【その他】
停電になった場合、暖房機を稼動できるように発電機を確保するか、石油ストーブ等を準備して凍害を防ぐ。

フッタ

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このページに関するお問い合わせ

農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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