農作物技術情報 第9号 畜産(令和2年11月26日発行)

ページ番号2001269  更新日 令和2年11月26日

印刷大きな文字で印刷

ヘッダ

飼料作物

来年度に向けた施肥計画を立てましょう。
今年の牧草・飼料作物の収穫もほぼ終了しました。最近は資材が高騰していますので、使った肥料が確実に牧草や飼料作物に効くように土壌診断に基づきpH矯正等を検討し、来年の収量や草質アップにつなげましょう。

子牛

子牛は、被毛や皮下脂肪が少ないため、寒さの影響を強く受けます。子牛の最適気温は13~25℃、生産環境限界温度は5℃となっています。晩秋期から冬季にかけて、子牛は体温維持に多くのエネルギ-を消費するため、発育や免疫力の低下、下痢や肺炎のまん延が懸念されます。防寒対策、換気、エネルギ-の補給を徹底します。

作業事故防止

冬期は転倒事故が起きやすいため、危険個所の点検、改善に努め事故を防止します。

1 飼料作物

(1)施肥の効果を高めるために
土壌の化学性が悪化すると、作物は必要な養分を吸収できなくなり、生育が悪くなります。そのような場合、やがて作物の葉、茎、子実、根などに養分の過不足時特有の障害症状、いわゆる要素障害(栄養障害)が現れます。土壌分析によって土壌の状態を確認することは重要ですが、日頃からも作物の生育状態などをよく観察しておくことも大切です。

(2)土壌診断に基づいた施肥計画
ア 土壌診断のタイミング

 作物別の土壌の採取方法は分析機関の指示に従って行います。

  • 同じ作物を続けて栽培している場合は、分析結果が同じ傾向を示すことが多いため、毎年の土壌診断は必要ありませんが、2~3年に一度は診断を受けてください。
  • 土壌の採取は、収穫終了後から次作耕起前までに行います。

イ 診断結果に基づいた施肥設計
 土壌診断結果から過剰な養分は減らし、足りない養分を必要量施用することによって、収量・品質の安定化と施肥コストの低減化を図ります。

(3)肥料成分の吸収量を左右する土壌pHの改善
pH は、 7程度が中性、7から小さくなるほど酸性、7より大きくなるほどアルカリ性となります。農地では、一般的な適正値は6.5程度であり、6.0を下回ると酸性と呼ばれます。また、適正値を外れてしまうと作物の生育に必要な窒素、リンや微量要素が土壌中で溶解しにくくなり、欠乏することがあります(図1)。
草地や飼料畑が低pHになっていないかかくにんしてください。牧草や飼料作物の最適pHは表1のとおりです。

図1

表1

酸性土壌を改良するには、苦土石灰、炭酸カルシウムなどの石灰資材を用います。施用量については、土壌のタイプによっても違いますが、おおむね表2の施用量が目安です。また、土壌診断ソフトなどを活用して塩基飽和度から施用量を計算する場合もあります。
牧草や飼料作物は養分の収奪量も大きく、また降雨により土壌中の養分が溶脱してpH が低下しやすいので、診断の結果pH が適正であっても苦土石灰を毎年50 ~100kg/10a 施用してください。

表2

2 子牛の飼養管理

(1)体熱の確保
出生直後は特に注意が必要です。体が濡れた状態で風に当たると、気化熱で体熱が著しく奪われます。最近では、厳冬期の分娩対策として子牛用の保育器(カーフウォーマー)などが販売されています(写真1、2)。
子牛の哺育休息場所では、すき間風が子牛に当たらないようにすき間を板やシ-トで塞ぎます。また、休息場所の敷料をこまめに交換する、カ-フハッチ位置の調整(風がハッチ後ろから当たるように向きを変える、地面より高く設置する)により、風や雨水の吹き込みと流れ込みを防ぐなど、床が乾燥した状態を保ちます。

写真1,2

コンクリ-トなど冷たい床では、休息場所に敷料を厚めに敷き、断熱により体熱の損失を緩和します。カ-フジャケットやネックウオ-マの着用(写真3)、カ-ボンヒ-タ(写真4)など加温器の活用も効果的です。

写真3,4

(2)換気
牛舎の中で子牛を飼養する場合、換気も大切です。保温のため牛舎を密閉するとアンモニアがこもり、また湿度が高くなります。このような環境では、病原体が増殖しやすく、肺炎や下痢が多発します。牛舎に入った時、目がチカチカするような場合は、日中に、子牛の体に風が直接当たらないように、入り口や窓を開放したり、換気扇で換気を行います。

(3)エネルギ-の補給
寒冷時は、特に出生から3週齢までの子牛でエネルギ-要求量が増加します。代用乳は、脂肪含量の高いものを用いる、濃度を指標の範囲で濃くする、給与回数を増やすことなどでエネルギ-を確保します。また、外気温が低いので、代用乳給与時の温度が39~40℃となるように、お湯の温度をやや高めにする、ほ乳ロボットではミキサの保温温度を少し上げる、飲み残し排出時間を短めに設定するなどします。
スタ-タ摂取のためには、飲水量の確保も必要です。水飲みバケツの場合、ほ乳後20~30分位したら、ぬるま湯を与えます。集団飼育では、熱帯魚用のヒ-タ-を使用するなど水槽の凍結防止を工夫します。また、水槽の水は1日1回以上交換します。

(4)踏み込み消毒槽の凍結対策
消毒液の汚れや凍結に留意します。厳冬期には消毒液のかわりに消石灰を利用することも考えてください。

3 作業中の事故防止

冬期間は濡れ、凍結箇所で足を滑らせることによる転倒事故が増えます。危険箇所の点検を行い、濡れ、凍結箇所の改善、凍結防止剤の散布等により対策を講じます。牛舎内では整理整頓や照明器具の掃除・点検により、明るさを確保することも事故防止に有効です。

フッタ

PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。

このページに関するお問い合わせ

農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
〒024-0003 北上市成田20-1
電話番号:0197-68-4435 ファクス番号:0197-71-1088
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。