農作物技術情報 第7号 畜産(令和2年9月24日発行)

ページ番号2000307  更新日 令和2年9月24日

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ヘッダ

  • 飼料用とうもろこし 各地域で収穫が始まっています。刈り遅れないよう、収穫を速やかに進めましょう。
  • 牧草 刈り取り危険帯の時期が近づいています。この時期は収穫や施肥を避けます。
  • 獣害対策用電気牧柵 次年度設置を考えて撤収方法を工夫します。
  • 家畜飼養 秋に増える牛の疾病に注意しましょう。

飼料用とうもろこし

(1)黄熟期に到達している圃場が多いと推察されますので、子実熟度を確認し、速やかに収穫作業に入ります。(収穫適期については、農作物技術情報第6号を参照してください)。熟期が完熟期に近い場合は、子実が硬く、また詰込水分がやや低くなりますので、消化率とサイロ詰め込み密度を高めるため、収穫時の切断長を10mm未満とします。完熟期で破砕処理を行う場合は、切断長19mm、ロ-ラ間隙3mmが目安です。
(2)過度の刈り遅れやすす紋病、霜にあたったとうもろこしは、水分含量が低く、開封後、二次発酵が起こりやすくなります。ギ酸やプロピオン酸など添加剤の使用を検討しましょう。また、刈り遅れた圃場では、カビが増殖している可能性があります。サイレージを開封するときに、カビの有無をよく確認し、給与時にはカビをしっかりと取り除きます。
(3)強風等により倒伏した場合の収穫は、ハーベスタの収穫方向をよく考え、作業機の運行速度を控えめにし、やや高刈りとするなど収穫時の土壌などの混入を避けます。また、切断長が粗くなりやすいことから詰込み密度を確保するために、十分な踏圧と早期密封に努め、発酵品質の低下を防ぎます。

牧草

オーチャードグラス等の寒地型イネ科牧草は、短日で気温が低下してくると、越冬のために地下部へ養分の蓄積を始めます。この時期に刈り取りを行うと、牧草が再生し、養分の蓄積が不十分となるため、冬季に凍害や雪腐病の影響を受けやすく、越冬株数が減少するなど、翌年以降の減収につながります。
(1)刈り取り危険帯の時期
オーチャードグラスの刈り取り危険帯は、日平均気温が5℃以下になる日から遡った約30日間となります。なお、年次や地域によって変動する場合がありますが、各地域における平年の刈り取り危険帯の目安は表1のとおりです。

表1

(2)施肥
刈り取り危険帯の時期に窒素成分を供給すると、養分の蓄積が止まり、分げつや茎葉の成長が始まります。この時期は刈り取りだけでなく、施肥も控えてください。また、窒素成分を多く含んだ堆肥の施用も避けてください。

獣害対策用電気牧柵

飼料用とうもろこしの収穫が終わり、設置した電気牧柵を撤収する際に、来年も設置することを見越してひと工夫して撤収すると次年度の設置がスムーズになります。
(1)撤収器具を積極的に利用する
ワイヤーを巻き取るボビン、巻取りハンドルを準備しておくと撤収時の軽労化が図れるだけでなく、次年度のワイヤー張り作業をスピーディに行うことができます(写真1)。ボビン、巻き取りハンドルについては各電牧メーカーにお問い合わせください。

写真1

(2)巻き取ったワイヤーを圃場ごとに区別する
電気牧柵を設置した圃場が複数ある場合は、ワイヤーを巻き取ったボビン等にどこの圃場に設置したものか分かるようにします。そうしておくことで次設置時に大幅なワイヤーの接続・延長、切断等が少なくなり、資材のムダを省くことができます。
(3)アース棒に目印をつける
アース棒を抜かずにそのままにしておく場合は、次年度にアース棒の場所を見失うことがないように分かりやすい目印をつけておきます(そばに棒を立てておく、アース棒の先端やリード線に目立つ色のテープ、紐を結ぶ等)。
(4)電気牧柵設置の様子を記録しておく
写真2のように電気牧柵の設置した様子を写真等で記録しておき(携帯電話、スマートフォンも便利)、次年度にそれを参考にすると線の接続方法など迷うことなくスムーズにできます。
以上のことを実施しておくと、次年度の電気牧柵の設置にかかる労力、時間が大幅に削減できます。

写真2

秋は牛の疾病に気をつけましょう

夏バテの症状が深刻になるのは秋です。夏の疲れを溜め込んだ牛たちの症状を早期発見して適切な処置を行います。
(1)体細胞数の増加
7月~8月の暑さで免疫が低下した牛群が、この時期には乳房炎に罹患しやすくなっています。
(2)蹄病の増加
蹄病(特に蹄底潰瘍)は秋に増加する傾向があります。
宮崎県の研究で、蹄病は春期から発生し、季節が進むにつれ次第に罹患の程度が重くなり、冬季に沈静化する傾向にあると報告されています(図1)。夏場のアシドーシス等により、蹄表皮の角質形成不全が外部に表れ、秋に痛みだします。
(3)周産期疾病の増加
7~8月に分娩を終えた牛には、9月にケトーシスや第四胃変位が多発します。夏場に乾乳にした牛群の水・栄養不足、過肥などが原因と考えられます。
9月に上記の疾病が少ない農場は、暑熱対策をしっかり行い、牛の粗飼料摂取量を確保した農場だと思われます。もし、発生がみられる場合、来年度の暑熱対策を見直します。

図1

フッタ

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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