農作物技術情報 第6号 果樹(令和2年8月27日発行)

ページ番号2000297  更新日 令和2年8月27日

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  • りんご 早生種の熟度はほぼ平年並です。適期収穫の徹底を。
  • ぶどう 熟度は概ね平年並みと推察されます。食味を重視した適期収穫を。

りんご

(1)果実生育(表1)
定点観測地点の果実生育(横径)調査結果を県平均で見ると、8月11日時点で平年比98~103%、前年比98~99%で、日照不足等の影響から、やや生育が停滞した傾向はあるものの、全般的には平年並みに生育しています。ただし、高温の影響と思われる日焼け果も見られるため、成熟不良果やサビ果、奇形果、雹害による傷果等と合せて、随時見直し摘果を行いましょう。
(2)果実品質(図1~3)
定点観測地点の「つがる」の8月11日時点の果実品質調査結果を見ると、県平均でデンプン指数は平年並、硬度と糖度は平年よりやや低くなっています。また、「きおう」など他品種でも同様の傾向が伺われます。(データ省略)。今年の開花は概ね平年並みであり、満開起算日数からも収穫期は平年並と予想されますが、果実品質の状況を注視する必要があります。
なお、直近の一か月予報で、9月の気温は平年並から高いと予報されているため、着色の遅れや貯蔵性の低下等が懸念されますので、各地域で普及センターやJAが提示する収穫期の情報を確認し、適期収穫を心がけましょう。

表1

図1,2,3

2 栽培管理のポイントについて

(1)早生種の着色管理
葉摘み作業が遅れている場合でも、果皮に急に直射日光が当たると日焼けが発生しますので、徐々に葉摘みを進めます。高温が予想される日には、極力、果面の温度が上がる午後から実施します。

(2)早生種の収穫(表2)
ア 今年の満開日から見た収穫期の目安は表2のとおりですが、この目安は北上市成田の満開日より算出しており、県南の平場ではこの予想日より早まることも予想されます。
イ また、仙台管区気象台の1ヶ月予報(8/20発表)で向こう1か月の天候の見通しは、平均気温は高い、日照時間と降水量は平年並の見込みです。したがって、高温により着色が緩慢となり、着色と内部品質が一致しないまま収穫期を迎える可能性もあるため、過度な着色は期待せず、食味・硬度等を確認の上、適期収穫に努めてください。
ウ すぐりもぎが基本です。特に熟期が不揃いな「つがる」や「きおう」は徹底します。

表2

(3)「紅いわて」の収穫
ア 「紅いわて」は着色の良い品種であるため、着色のみで収穫を判断すると、収穫時期が早くなってしまい、食味が
劣り、品種の評価を落とすことになります。食味を重視し、表3の目安を参考に収穫してください。
イ なお、系統販売等、輸送して販売する場合はデンプン指数2~2.5、直接販売する場合はデンプン指数2程度を目安に収穫してください。

表3

(4)中生種の着色管理
ア 「ジョナゴールド」などの着色管理は、1回目の軽い葉摘み終了後、陽光面の着色が進んでから、葉や枝カゲをつくらないように玉回しを収穫まで2~3回行います。玉回しと同時に適当な強さに葉を摘みます。
イ りんごの着色適温は10~20℃です。気温の高い日が続くと、必要以上に葉摘みを強くしても着色は進まないので、過度の葉摘みとならないよう注意します。

(5)「ふじ」の着色管理
ア 「ふじ」は、着色期間が30~40日間と長いため、陽光面が着色してきた頃(9月下~10月上旬)と10月中~下旬の2回に分けて葉摘みを行います。1回目の葉摘みは、果実に密着する葉を摘む程度とし、2回目は適当な強さまで葉を摘み、陽光面の着色が進んできたら葉や枝カゲを残さないよう玉回しを行います。
イ 過度の葉摘みは、葉が少なくなり果実の着色や蜜入りが劣り、翌年の花芽の充実が悪くなるなどマイナスの影響が出ますので注意してください。

3 病害虫防除および気象災害対策

(1)病害虫防除
ア 7月25日に病害虫防除から斑点落葉病の注意報が発表されています。
発生が多い場合は、効果の高い薬剤を散布しましょう。また、秋期には王林がかかりやすくなるので注意が必要です。
イ 褐斑病(写真1)の早期発生が、県内で広く見られています。
発生が確認された場合は速やかに効果の高い薬剤で特別散布を実施してください。
ウ 黒星病についても、県内広く発生が確認されています。他病害との同時防除を兼ねて、本病に効果のある予防剤を定期的に散布してください。その際には散布ムラがないように十分な薬液量を丁寧に散布します。また降雨が予想される場合は、降雨前に散布を行ってください。
そして、園地を見回り、発生が確認された場合は見つけ次第、発病葉や発病果を摘み取り、土中に埋めるなど適正に処分してください。苗木など未結果樹での発生にも注意し、成木と同様に薬剤防除を徹底します。
エ 果樹カメムシ類による被害果が広く確認されています。園地をよく観察し、大量の飛来が確認された場合は、効果の高い薬剤により速やかに防除を実施します。また、リンゴハダニの発生が多い地域があります。9月以降もナミハダニの発生は懸念されますので、新梢葉をよく観察し、要防除水準に達した場合は直ちに防除を実施します。
オ 早生品種の収穫期となりましたので、農薬の使用にあたっては、ドリフトや使用基準(倍率、収穫前日数等)に注意してください。

写真1

(2)台風対策
これから、台風が多く発生する時期になります。強風で倒木が発生しないよう、防風ネットの設置、支柱との結束を確認してください。また、気象情報に注意し、台風の接近前に収穫を進めるなど、被害を最小限にできるよう対策を講じてください。

(3)湿害対策
台風に伴う大雨や秋の長雨など、園地内が過湿となった場合、裂果や根部の障害による樹勢衰弱の要因となります。園地内に水が停滞しないよう、溝を掘るなど排水対策を講じてください。

ぶどう

1 生育状況について

8月15日時点の定点調査地点における「キャンベルアーリー」の果実品質は(表4)、平年と比較して、着色始期はやや遅く、房長は平年並み、果径はやや大きく、糖度は高めとなっていますが、これまでの日照不足等の影響により糖度が低い品種も見られます。このような状況から、熟度は概ね平年並みに進んでいるものと推察されます。
なお、向こう1か月の天候の見通しは、平均気温は高い、日照時間と降水量は平年並の見込みです。よって、高温により着色が緩慢となる可能性もありますので、過度な着色は期待せずに、食味を重視した適期収穫が重要です。

表4

2 収穫について

収穫は着色、糖度などの食味に留意しながら、品種ごとの基準糖度に達してから行います。過熟になると、商品価値が低下し、裂果や脱粒の発生も助長しますので、過度に着色は期待せず適期収穫に努めてください。
注 詳細は、7月30日発行の「農作物技術情報第5号 果樹」を参照ください。

フッタ

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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