農作物技術情報 第4号 畜産(令和2年6月25日発行)

ページ番号2000275  更新日 令和2年6月25日

印刷大きな文字で印刷

ヘッダ

  • 二番草の収穫は適期に行いましょう。チモシーの一番草後の追肥を忘れずに。
  • 前年の草地更新の状況によっては簡易更新で植生改善をしましょう。
  • 虫害による見慣れない食害痕がないか、飼料畑、草地を見回りましょう。
  • 暑熱対策のおさらいを!泌乳牛は一度体力を落とすとなかなか元には戻りません。

1 飼料作物

(1)チモシー草地は、一番草刈り取り後の施肥が重要
チモシーは一番草刈り取り後に新しい分げつが発生し、それが二番草、そして越冬し翌年の一番草を構成します。よって、チモシーの一番草刈り取り後の施肥を省略してしまうと新しい分げつ発生数が減少し、年を重ねるごとに密度が低下していきます。例えば、「チモシーは一番草しかとらないから、一番草刈り取り後は施肥しない」というのは収量低下の大きな原因になります。
施肥は一番草刈り取り後10日目ごろに行います。肥料は速効性のある化成肥料の効果が高いです。
(2)二番草の収穫、収穫後の管理
二番草の収穫時期は、一番草収穫後から40~55日が目安です。土壌及び牧草の水分が高く、気温の高いこの時期は、牧草が蒸れ上がり易いので、刈り遅れないようにします。また、極端な低刈りは、地温の上昇から夏枯れを招く原因となります。刈り取り高さは10~15cm(握りこぶし一つ分ぐらい)とします。
三番草の生育促進のため、二番草収穫後、できるだけ早く施肥します。施肥量は、10aあたり窒素5kg、リン酸2.5kg、カリ5kgです。尿散布を行う場合は、肥料焼けを防ぐため、曇天や降雨前後に行ってください。
(3)完全草地更新の失敗を補う簡易更新
夏の暑さと雑草の草勢が弱まる時期(概ね盆明け~9月下旬)に、簡易更新により追播を実施すると、完全更新でうまくいかなかった圃場を改善できる場合があります(図1)。
下の写真は平成25年春に完全草地更新を実施した後、干ばつにより牧草が定着せず裸地が多くなってしまった草地ですが、平成26年秋に簡易更新により植生をうまく改善できた事例です。

写真1,2、図1

(4)虫害への注意
昨年、ツマジロクサヨトウが鹿児島県で初めて発生が確認され、その後全国で発生や被害がみられました。本県では被害はまだ確認されておりません。
ツマジロクサヨトウは大陸から飛来した成虫がとうもろこしの葉等に産卵し、発生した幼虫がとうもろこしの葉、茎などを食害し(写真3、4)、多発すると大きな被害となります。
また県南部の一部の飼料用とうもろこしでは、同じく飛来性のアワヨトウ幼虫による食害も確認されています。
飼料畑や草地の見回りを行い、見慣れない食害痕等の早期発見に努め、異状が確認されたら最寄りの農業改良普及センターに相談してください。

写真3、写真4

2 飼料用とうもろこしのクマによる

(1)電気柵は早めに設置し、必ず昼夜問わず通電させておきましょう。
設置しても通電しないと電気柵は痛くない、怖くないといった意図する逆の学習をしてしまいます。お盆前には必ず設置、通電を!!7月中にできればなお良いです!!
(2)電圧は通電時に最低5,000ボルト確保できるような電牧器を選択します。
電圧は定期的にチェックし、電圧が維持されているか確かめましょう!!正常時の電圧を電牧器本体に記録しておくと異常に気づきやすくなります(写真5)。また、アースの電圧も測定し、アースがしっかりと利いているか確認します。0.5kVよりも高ければ、アース本数の追加を検討してください(写真6)。
(3)圃場周辺のクマの侵入経路(竹やぶ、ススキ)を刈り倒し、見通しをよくします(写真7)。圃場の外周の見通しが悪いと、クマに電気柵を視覚的にアピールするための効果が低下します。

写真5,6,7

3 暑熱の影響の緩和

本格的な夏の暑さが来る前に、今からでも出来る対策を徹底し、暑熱による牛のストレス緩和に努めましょう。
(1)牛舎内温度、牛の体感温度を上げないようにします。
輻射熱や直射日光(西日)の遮断、換気・送風量の確保に気をつけてください。泌乳牛は夏に体力が低下すると、涼しくなってもすぐに体力は元に戻りません。
(2)飼料と水に注意します。
新鮮な水を十分に飲水できるよう、給水量の確認と、水槽のこまめな掃除を行います。ウォーターカップの掃除をおこない、臭いや汚れを取り除きます(特に押しベラの裏も念入りに!)。また、嗜好性の良い粗飼料の給与に努めます。
嗜好性の良い飼料(配合飼料やビ-トパルプを水で戻したものなど)をふりかけるなど、採食意欲を高める上で有効です。
(3)採食量の低下を最小限にしましょう。
外気温が低い夜間~早朝に採食を促すよう、就寝前のエサ押しや給与時間などを検討してください。

(4)粗飼料の摂取量や乳量・乳成分の低下への対応
配合飼料の給与量の多い搾乳牛では、粗飼料の摂取量、反芻回数と唾液分泌量が減少するため、ル-メンpH低下によるアシド-シスが懸念されます。配合飼料の給与回数を増やしたり(少量頻回)、重曹(100~200g/日・頭)給与などを行います。また、発汗の増加により、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、リンなどのミネラル要求量も通常の10~20%増加します。乾乳後期牛を除き、鉱塩を切らさないようにするとともに、重曹やリン酸カルシウムを増給します(放し飼いの場合は自由採食させるのも可)(写真8)。

写真8

フッタ

PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。

このページに関するお問い合わせ

農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
〒024-0003 北上市成田20-1
電話番号:0197-68-4435 ファクス番号:0197-71-1088
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。