ウチワフグ

 平成14年12月11日に大船渡市・大鮑漁場の定置網で漁獲され、釜石魚市場に水揚げされました。
標準和名:ウチワフグ(フグ目/ウチワフグ科)学名:Triodon macropterus
地方名:なし
体長:40cmウチワフグの写真
【主な特徴】
(1)体は硬い皮膚でおおわれる
(2)尾部は細く、尾びれは2叉する(V字形)
(3)上顎に2枚、下顎に1枚の鋭いくちばし状の歯がある
(4)頭部の背面はゴツゴツした硬い骨盤でおおわれる
(5)腹部にはひだ状の膜があり、ウチワのように広げることができる
(6)腹部の膜には黒い斑点がある
【その他特記事項】
 伊豆半島以南の南日本の水深50〜300m付近に分布する。フグの仲間としてはやや深いところにすむ。岩手県付近ではごくまれ。
 フグの仲間ですが、無毒で、沖縄では一本釣りで漁獲され、食用となっています。
 標準和名のウチワフグは、ウチワのように広がる腹部がまさにそれを示しています。学名のTriodonは、ギリシャ語で3を表すtriとギリシャ語で「歯」を表すodonusから成り立っていて、上顎に2枚、下顎に1枚のくちばしのような特徴的なするどい歯を持っていることを表しています。種名を表すmacropterusは、ギリシャ語で「大きい」を表すmacrosとギリシャ語で「翼」を表すpteronから成り立っていて、ウチワのように広がった腹部が大きな翼のように見えるところから付けられています。
【ちょっと一言】
 このコーナーでは、多くの方に図鑑を利用していただくために、図鑑中で用いられる魚に関する用語を解説しています。 今回は、魚の各部の名称についてご紹介します。魚は、私達と同様に背骨を持った動物で、背骨の向きを中心として体各部の位置関係が決められており、魚も同じ様に扱われます。例えば、体に縞のある魚は、頭の方から尾びれに向かって縞のある場合、「たて縞」と呼び、背中から腹側に向かって縞のある場合、「よこ縞」と呼んでいます(図1)。
 魚の体は、大きく頭部・胸部・腹部・尾部に分けることができます(図2)。

 頭部は、私たちの頭と同じで、眼・鼻・口・耳・脳といった器官を持っています。もちろん、一生水の中にすむ魚の場合、私たちとまったく同じ、というわけではありません。眼は魚眼レンズでまぶたがないとか、鼻は普通小さな孔が片側に2個あいていて、においを嗅ぐだけの器官となっているとか、耳は私たちの外耳にあたる器官がなく、耳石と呼ばれる石状の器官が頭蓋骨の中にあるだけとか、形も役割も違っています。
 また、魚は頭部と胸部の境目に、食道の入り口を取り囲むように弓状のエラと呼ばれる器官があって、水に溶け込んだ酸素を取り込んでいることも私たちと大きく違う点です。胸部は頭部と腹部の境目にあたり、私達と同様、心臓がありますが、私たちの腕にあたる部分が、胸びれとなっていることが私たちと大きくことなる点です。腹部には肋骨に囲まれた内臓があり、私たちとほぼ同じ構造となっています。
 ただ、魚には、水中で生活するために、浮力を得るために浮き袋と呼ばれる風船状の器官があることや、腹びれがあることが私たちとは大きく異なっています。腹部の後ろ側は、私たちが遠い先祖で失った尾となっていて、尾部と呼ばれています。
 尾部には、推進力を得るのに必要な尾びれとバランスを取るのに必要な背びれやしりびれがあり、体の中央を走る背骨によって支えられています。
               (漁業資源部後藤友明)
ブリの写真には、(頭から尾にむかって、たて縞が認められる))、ブリモドキの写真は背中から腹部に横縞が認められる。図1 (1)たて縞の魚:ブリ、(2)よこ縞の魚:ブリモドキサケの解剖図
図2 魚の体の呼び名