| 岩手の海に現れた珍しい魚 | テンガイハタ |
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平成12年6月30日に定置網で漁獲され、釜石魚市場に水揚げされました。普段ほとんど目にすることのない魚ですが、私たちの周りには、この様な魚もいることを知っていただきたく、今後、随時様々な珍しい魚を紹介していく予定です。 |
| 《標準和名》 テンガイハタ (アカマンボウ目/フリソデウオ科) | |
| 《学 名》 Trachipterus trachypterus | |
| 《地方名》 な し |
| 主な特徴 |
| @体は銀箔色で薄っぺらく、尾に向かい徐々に細くなる。 |
| A尾びれは扇子状で小さい。 |
| B背びれは頭部から尾部先端まで伸び、赤っぽい色で縁取られる。 |
| C頭部の背縁は急傾斜となる。 |
| D口は頭部の先端にある。 |
| その他特記事項 |
| 全長2.5mに達し、太平洋やインド洋の暖かい海域の沖合中層域に生息します。時折、海岸に漂着し発見されることがあります。 極めてまれな種で、リボンのようなしなやかで細長い体型や、体の割に小さな尾びれから、中層を漂うように生活していると考えられていますが、その生活は謎な部分が多く、今後の解明が待たれます。 ごく近い仲間にサケガシラがいますが、姿形はどちらも非常によく似ており、特徴Cで示した頭部の形でようやく区別ができる程度です。 この種の含まれるフリソデウオ科を代表するフリソデウオという名前は、おそらく鮮やかな朱色の色彩と、薄くリボンのようなしなやかな形がまるで和服の振り袖を思わせることに由来すると考えられます。また、比較的近い仲間にはリュウグウノツカイという種もいて、この名前も朱色を帯びたしなやかな体型や長く冠のように伸びたひれにより象徴される姿形の美しさを表しているのでしょう。 |
ちょっと一言 |
| 魚に限らず、すべての生物には名前が付けられています。普通、生物には国籍はないので、万国共通の名前として与えられるのが学名です。学名は、今から200年ほど前に作られ、ラテン語(またはラテン語化された他の言語)で表されています。通常、図鑑などにイタリックや下線でTrachipterus
trachypterusなどと書かれているのがそれで、属名と種名という2つの部分から成り立っています。例えば、サケとサクラマスはお互いよく似ており、非常に近い仲間とされているので、学名ではサケはOncorhynchus
keta、サクラマスはOncorhynchus masouと、最初の部分(属名)が共通で、種を表す種名(ketaやmasou)が異なっています。学名の付け方は、国際的なルールにより統一されており、容姿の特徴や、最初に発見された場所、あるいはそのグループの研究に偉大な功績を残した人物名などを表しています。例えば、今回紹介したテンガイハタの学名Trachipterus
trachypterusは、ギリシャ語の「粗い」を表すtrachomaとギリシャ語の「翼、羽」を表すpteronをあわせてラテン語化させた名前で、あわせると「粗い翼」となり、この名前を付けた人は、その長くしなやかな姿を翼に見立てたものと思われます。 一方、日本人共通の名前として使われるのが標準和名(和名)です。標準和名は、日本国内で共通した名称としてカタカナで表され、魚類の世界では古くから広く一般的に呼ばれてきた名前が通常そのまま付けられます。標準和名は、その容姿の特徴を簡単に表した物が多く、今回紹介したテンガイハタも、その華やかな姿が「天蓋」を連想させることにちなんだものと思われます。 「名は体を表す」とはまさにこのことですね。 〔漁業資源部 後藤友明〕 |
| (シーガルボイスbP6に掲載) |