
bX 1997年2月
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| 黒崎定置漁場 |
| 今年度の秋サケ漁は、8月の初漁期から好調な漁模様を継続しました。12月上旬には6万トンを超え、1月末現在で7万3千トンとなり、史上最高の漁獲量を記録しました。しかし、一方で、魚価の低迷が著しく、平均単価は1キロあたり154円となりました。写真は、黒崎定置漁場(普代村)の網おこしの模様と、魚道を調査するためにセンサーを装着して放流する秋サケです。 |
| 特集 | 秋サケ漁7万トンを超える |
| トピックス | 養殖アワビの開発をマスコミにPR! |
| サケ加工品のアンケート調査結果から | |
| TACオンライン化について | |
| 平成8年度第2回岩手県水産試験研究発表討論会 | |
| 話題 | 養殖ワカメにおけるバイオテクノロジーの応用 |
| 三陸町職員 川畑慎也さん研修を終える | |
| 報告 | 平成8年度岩手県水産試験研究成果報告会 |
| 会議・講演会情報 | |
| 編集後記 | |
| 平成8年度の漁獲状況について |
| 今年度の大豊漁がどういう現象なのか考えるため、稚魚の放流数が現在と同程度になってからの、宮城県以北の太平洋側の地域の漁獲状況を見てみます。 漁獲尾数は、各道県でいずれも増加傾向にあります。昭和50年代の後半以降、北太平洋がサケの生息にとって良好な環境にあると言われていて、そのことも漁獲尾数が増加傾向にあることの一因と考えられます。 今年度は、岩手県以北の道県も過去最高と同程度の豊漁でしたが、岩手県は過去最高だった平成2年度を700万尾(2万トン)も上回る大豊漁でした。 これまでの例では、回帰尾数が大幅に増加した場合、特異的に回帰率が高い年級(卓越年級)の存在がその原因となっています。今年度の回帰魚は、まだ年齢査定が進んでいないので断定できませんが、4年魚(平成4年級)がかなり多そうで、平成4年級が卓越年級である可能性が高いと考えられます。しかし、回帰率は、種々の環境要因が絡み合った結果の現れであり、どういう原因がどのように影響すると卓越年級になるのかは、なかなか特定できないのが実情です。 今後、秋サケの資源管理を考える上で、回帰率を大きく左右する環境要因とその影響を把握することが重要な課題の一つになります。 |
| 平成8年度の海況について |
| 本県の秋サケ漁況は海況の関係で、県北好漁型と県南好漁型に分けられます。 さて、平成8年11月の海況を見ますと、本県沖合に暖水塊がありますが、やや沖合に離れ、沿岸との間に親潮第一分枝が差し込む形となり、前年同期に比べやや強勢となっていました。また、本県南部沖合の100m深には冷水域の分布が確認されていることから、来遊した秋サケを阻む要因は無く、南下・接岸しやすい条件にあったと考えられます。 これは、県南好漁型に分類されますが、今漁期は本県北部から接岸して南下したものと思われ、初漁期では本県北部と青森県太平洋岸と漁況は好調に推移し、盛漁期では本県中南部を中心に水揚げされました。今年度の秋サケ親魚標識放流試験においても、南下して再捕された魚が多い傾向がみられました。 今漁期の海況は、秋サケが来遊しやすい海況条件であり、7万トンを超える豊漁の要因の一つと考えられます。 ≪県北好漁年型≫親潮第一分枝が「県北に接岸、または近海付近までしか南下せず、本県の沿岸域に暖水が分布している年。 ≪県南好漁年型≫親潮第一分枝が北緯38度を越えて南下するか、またはそれに連なる冷水域が県中央〜県南に分布し、本県の沿岸域に暖水塊が分布しない年。 |
| 魚価の低迷さらに進む |
| 1月末現在の平成8年度秋サケ漁獲速報(漁業振興課発行)における産地価格は、1キロ当たり154円と前年同期比73%となり、史上最低の魚価となりました。 これは、イクラ相場の低迷により、本県秋サケの魚価を支えるメスサケ産地価格が思うように上がらなかったことと、ブナサケのオス産地価格が10〜20円台ときわめて低調に推移したためです。特に、イクラはO-157問題による需要の減少と、国内秋サケ大豊漁によるイクラ供給量の増加、さらに近年の輸入イクラの増加などの影響で、築地などの消費地卸売市場におけるイクラの荷動きが鈍く、相場がだぶつき気味だったのが原因と考えられます。 |
| サケソーセージを開発 〜商品化へ期待 |
| 秋サケ消費拡大、価格維持を図るためには、産地価格を低下させているブナサケの加工品の開発が急務となっています。旧水試加工部においても、様々な秋サケ加工品を開発してきましたが、水産技術センターになってからも、多様化した消費者ニーズに合わせるため、サケ揚げ豆腐やスナック食品などを手がけ、今回は、サケソーセージを開発しました。出来上がりは上々で、試食した人からの評判もよく、今後の商品化への期待が高まります。 |
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| 養殖用アワビの開発をマスコミにPR! |
次の「報告」の欄に掲載のアワビに関する試験の成果をマスコミを通じて広報しました。前向きなニュースに、記者さん達は明るい表情でしたが、内容を正確に伝えようと質問が多く、さながら勉強会のようでした。〔種苗開発部〕 |
| サケ加工品のアンケート調査結果から |
| 昨年12月に盛岡市で開催された「岩手の鮭まつり」において当センターで試作したサケスナック、塩分の異なるサケ新巻及び調味の異なるイカ飯の試食会を行い、サケスナックは8割の人が良い評価をし、新巻は塩分4.3%のものが、イカ飯は醤油味のものが好評でした。 〔利用加工部〕 |
| TACオンライン化について |
| TAC(漁獲可能量)制度の開始に伴い、岩手県でも漁獲管理情報処理システムの整備が進められています。これにより、県内14魚市場の水揚情報がオンラインで収集可能となるため、今後は漁獲管理だけでなく、試験研究面でも活用してきたいと考えています。 〔漁業資源部〕 |
| 第2回岩手県水産試験研究発表討論会 |
| 1月20日、21日の両日、今年度2回目の発表討論会を開催し、県の水産職員71名が参加し、活発な意見交換が行われました。 今回は、内水面水産技術センターの山内部長から「内水面水産技術センターの変遷」と言う題で報告があったほか、マツカワやヒラメの種苗精算、アワビの漁獲予測、ツノナシオキアミの分布や利用加工、スルメイカ資源、秋サケの資源や消費流通に関しての研究発表がありました。 〔企画指導部〕 |
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| はじめに |
| バイオテクノロジーとは、生物(バイオロジー)と技術(テクノロジー)を組み合わせた言葉です。最先端でなじみのない技術だと思われがちですが、水産の分野では、まずノリにおいて研究が進められ、本県では主な産業である養殖ワカメにおいて研究に取り組んできました。ここではその内容を簡単に紹介します。 |
| バイオテクノロジーの必要性 |
| 現在、日本一の生産を誇り、品質面でも高い評価を受けている本県のワカメですが、中国産ワカメの追い上げや後継者不足など多くの課題を抱えています。 このため、今後より一層品質の高いワカメを安定的に生産するには、病気や害虫にも強い優れた品種を選びだし、その種苗を大量生産することが必要となっています。 |
| これまでの研究の成果 |
| @本県のワカメは深い切れ込みをもつ形、肉厚などの優れた特徴を持っていますが、その形や特徴を数値的に明らかにし、岩手ワカメを定義づけました。Aこの優れた特徴を持つワカメを選びだし、その胞子からワカメを育てたところ、より優れた品種のワカメになることが分かりました。Bこの優れた品種のクローン(まったく同じ特徴を持つワカメでコピーワカメともいいます)を生産するため、ワカメ葉体からプロトプラスト(外側を囲む細胞壁を取り除いた細胞)を大量に取り出すことに成功しました。ワカメの櫛葉の部分を細かく砕き、アワビから取り出した酵素で溶かしだし、取り出したものです。Cこのプロトプラスト細胞を育てたところ、ワカメ葉体に再生しましたが、残念ながら完全なクローンにはなりませんでした。 しかし、より優れた品種を作り、そのプロトプラストを大量に取り出し、ワカメに再生させたことは日本でも画期的なことでした。 |
| バイオテクノロジーの今後の展開 |
| 今後ともプロトプラストから完全なクローンを作る技術を目指します。また、病気や害虫に強いワカメの品種を探し出すため、プロトプラストから再生したワカメを用いていろいろな病気の感染実験を行っていく計画です。 〔増養殖部〕 |
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平成8年の春に三陸町から派遣され、当センターで研修を重ねてきましたが、いよいよ終わりの時期を迎えることになりました。はじめは試験研究機関での研修に期待や不安もありましたし、センターとして市町村からの長期研修生の受け入れは初めてのケースということでしたが、この1年近くの研修で、アワビの年齢査定や試験、マツカワの養殖、アイナメの種苗生産試験など多くのことを学ぶことができました。 研修の機会を与えてくださった三陸町や当センターの皆さんに深く感謝するとともに、この研修で学んだことを三陸の浜で活かしていきたいと思います。地元の漁業者の皆さん、乞うご期待。 |
| 水産試験研究発表討論会で発表している川畑研修員 | |
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| 平成8年度岩手県水産試験研究成果報告会から |
| この成果報告会は、水産技術センターと内水面水産技術センターの研究員が取り組んでいる課題について、その成果の普及と推進を図るために、2月14日(金)、盛岡地区合同庁舎で開催しました。 っこでは、報告の要旨を紹介します。 |
| サケ粉末を用いた新しい加工素材の開発 (利用加工部 上田智広) |
| サケの落し身を粉末化し、エクストルーダーの条件を設定して組織化製品及びスナック(膨化)製品を試作した。組織化製品では副原料となる脱脂大豆等を添加しなくても、サケ粉末単独で繊維構造を持つ組織化製品の製造が可能であった。本製品はサラミソーセージ等の食品への展開が期待できる素材と考えられた。膨化製品ではでん粉と混合し膨化させて歯付きのない「サクッ」としたスナックが試作できた。試食会では8割の人がおいしいと回答した。本素材はタンパク質及びカルシウムを多く含むことを特徴とする菓子として展開が期待できる。 |
| アワビ養殖用品種の開発に向けて (種苗開発部 河原郁恵) |
| エゾアワビ天然集団の稚貝期の成長には、選抜育種に有効な遺伝的変異、つまり「生まれつきの成長の善し悪し」が存在することが判った。 北海道・東北各地の種苗生産施設で選抜された、選抜代数の異なる集団を同じ環境で飼育し、その成長を比較したところ、選抜代数の多い方が成長が良い傾向が見られた。その傾向は成貝期まで継続した。これら選抜集団の成長が良いのは、選抜(=遺伝的な改良)の効果によるものと考えられ、種苗生産施設は養殖用の成長優良貝発掘の場として利用できることが判った。 |
| スルメイカ資源の現状と課題について (漁業資源部 筒井 実) |
| 岩手県のスルメイカ漁獲量は1960年代の豊漁期から、その後の低迷期を経て、1992年からは再び増加傾向にある。この漁獲量の長期的変動には、冬期に産卵、ふ化する群の増減が関係すると考えられているが、近年になり、体内の平衡石に刻まれた日輪を数えることによって、より正確に生まれた時期を推定することが可能になってきた。水源水準の評価や動向予測を行うためには、生まれる時期の異なる群(季節別発生群)ごとに漁獲量を把握することが重要であり、スルメイカの“出生調査”が当面の課題であると考えられる。 |
| アワビの漁獲量予測 (増養殖部 武蔵達也) |
| アワビの漁獲量は、漁獲対象アワビの生息量(資源量)、口開け回数、操業席数、操業時間、コンブの現存量、さらには口開け当日の海況等によって変動する。 この中で、漁期前に得られる情報は、漁獲対象アワビの生息量(資源量)、コンブの現存量であり、これらの事前情報と過去のアワビ漁獲量との関係から、アワビ漁獲量推定のモデル式を作成した。この式を用いて、田老町における平成8年度のアワビ漁獲量予測を行った。 その結果、ある程度の水準でアワビ漁獲量の予測が可能であることが判明した。 |
| アユの冷水病について (内水面水産技術センター魚病部 煙山 彰) |
| 平成8年初夏、岩手県内の数河川でアユが数〜数十尾死んでいる事例があり、その検査から、細菌による感染症である冷水病が主原因と考えられた。 琵琶湖産アユでは、十年前から知られていたが、岩手県でアユの冷水病が確認されたのは、平成8年が初めてであり、また、天然水域で、魚病によるへい死が確認された事例はまれである。 冷水病は、その名のとおり、低水温で発病するので、養殖等では、加温による治癒が可能である。アユの種苗放流に関しては今後、種苗、放流時期の吟味が必要であろう。 |
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| 1月24日に盛岡市の県水産会館において会員など50名余が出席して開催され、特別講演として3題の講演が行われました。講演の内容は次のとおりです。 秋田県水産漁港課の杉山秀樹課長補佐は、「秋田県におけるハタハタ資源増大の取り組み」と題し、資源量の減少が問題となっているハタハタに関して、秋田県が業界と一体となり取り組んできた内容について講演されました。 北里大学水産学部の小林正典教授は、「魚りゅ養殖における生体防御に及ぼす諸要因」と題し、魚類養殖における餌料の重要性、特にビタミン類の強化と生体防御との関わりについて講演されました。 東北区水産研究所の河井智康資源管理部長は、「TAC制度による資源管理の諸問題」と題し、本年1月1日から施行されたTAC制度に関して、外国における資源管理の状況や我が国の資源管理の状況などについて講演されました。(本例会は、例年、仙台市の東北大学において開催されていたものですが、今回は本年10月に本県大槌町で「第17回全国豊かな海づくり大会」が開催されることから、大会の盛り上げを図るべく本県での開催となったものであります) |
| 会議・講演会情報 |
| ★第2回岩手県水産試験研究発表討論会 1月20日、21日の両日、当センターを会場に開催し、当センター及びない水面水産技術センターか、報告1題、研究発表16題の発表がありました。 ★赤潮・貝毒ブロック会議 1月22日、23日に当センターで開催され、北海道から千葉県までの9道県より赤潮や貝毒に関わっている行政や研究担当者36名が出席し、赤潮や貝毒の発生状況等について意見交換を行いました。また、北里大学水産学部の児玉正昭教授から「貝毒研究の現状について」と題して話題提供をしていただきました。 ★平成8年度放流技術開発事業(定着性グループ)年度末報告会 2月5日、6日の両日、盛岡市内で今年度の年度末報告会を開催しました。水産庁、関係県の担当者が出席し、アワビ放流試験等を話題に活発な意見交換を行いました。 ★水産加工勉強会 2月7日に国際農林水産業研究センターの福田裕氏を招き、水産加工勉強会を開催しました。「イカの利用加工と研究の現状について」と題し、イカの原料特性や加工方法について水産加工の関係者等が耳を傾けました。 ★平成8年度岩手県水産試験研究成果報告会 平成8年度に行われた試験研究の中の5題について、県内漁業関係者を対象として、2月14日、盛岡地区合同庁舎会議室を会場に、成果報告会を開催しました。 |
| 編集後記 |
| 旧水産試験研究機関の再編整備に伴い、名称が水産技術センターに変わってから3カ年が過ぎようとしています。この間、開かれた試験研究機関、時代のニーズに対応した試験研究をモットーに職員一丸となって新たな気持ちで取り組んで参りました。 広辞苑によると、「試験」とは、ある物事の性質・能力をためすこと。「技術」とは、科学を実地に応用して人間生活に利用するわざとあります。したがって、名称の変更は、水産業に役立つ応用研究がより一層求められたものと思われます。この点を肝に銘じ、自己改革に努め、漁業者の期待に応えるような研究の成果を上げることが肝要と考えております。 そのためには、皆様のご支援、ご協力が不可欠であり、積極的な参加が必要です。きたんのないご意見等をお寄せ下さるようお願いいたします。〔副所長 小笠原嘉光〕 |
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