ナンブトラノオとヒメコザクラ


 両種とも岩手県の蛇紋岩地帯にのみに分布する貴重植物です。
 
 
1.ナンブトラノオ <タデ科>
ナンブトラノオ
 
 早池峰山の特産種で、鳥羽源蔵、和川忠次郎、染谷徳五郎らの採集標本にもとづき、1903年(明治36年)牧野富太郎が特産種として命名された植物です。
 「南部虎の尾」の意味で、南部は盛岡地方の旧名、虎の尾は花穂の形状によるものです。
 早池峰山の高山帯の草地または礫地に生育する多年草で、やや普通にみられます。
 高さ10〜25cmで、地中には太くて短い根茎がみられます。根生葉は長さ10〜15cm、卵状披針形で長い柄があります。
 7月〜8月には、茎の頂端部に1〜3cmの円柱形の総状花房をつけ淡紅色の小花を多数つけます。花弁は6個、雄しべは10本で、花弁よりわずかに長く、花全体があまり目立ちません。
 本種は近縁のイブキトラノオに比べ全体が小さく、根葉の柄に翼をもたないので区別されています。
 
分布図
原色日本野外植物図譜(誠文堂新光社)より
 
 
2.ヒメコザクラ <サクラノソウ科>
ヒメコザクラ
 
 北上山地の蛇紋岩帯の特産種で、須川長之助の採集と考えられる標本にもとづき、1868年(明治元年)ロシアの植物学者マキシモービチにより命名されました。
 その後1897年(明治30年)この植物に対し、牧野富太郎がヒメコザクラの和名をつけています。
 早池峰山の特産種と考えられていましたが、1970年(昭和45年)摺元隆三により、岩手県南の大東町の蛇紋岩帯でも、わずかに生育することが発見されました。
 高山帯などの草地に生育する多年生小草本で、サクラソウの仲間では最も小さな種類です。
 高さ5〜6cmぐらいで、根生葉は広卵形、茎部が急に細くなっています。
 花は6月〜7月、花茎の頂端に1〜4個つけ、白色で径10mmぐらい。ガクは花冠とほとんど同長で、中央部まで5裂しています。
 
分布図
原色日本野外植物図譜(誠文堂新光社)より



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