蛇紋岩(じゃもんがん)





       

蛇紋岩(じゃもんがん)はその名前のように、暗緑色〜黄緑色の、蛇の皮のような模様をした岩石です。特に美しい蛇紋岩は貴蛇紋岩と呼ばれ、彫り物や装飾用の石材としても使われています。

蛇紋岩はかんらん岩などが水を含んで変質してできた岩石です。かんらん岩は二酸化ケイ素が他の火成岩(かせいがん)にくらべてずっと少ない(45%以下)超塩基性岩(ちょうえんきせいがん)で、マグネシウム、鉄などを多く含んでいます。
地殻(ちかく=固体地球の一番外側)は、大陸が花崗岩や安山岩(あんざんがん)のように二酸化ケイ素が多い岩石、そして海洋が玄武岩(げんぶがん)のように二酸化ケイ素が少ない岩石からできており、かんらん岩のようによりに酸化ケイ素が少ない超塩基性岩はあまり存在しません。超塩基性岩は地殻の下のマントルをつくっている岩石です。

それでは、なぜ、地殻にあまり存在しない超塩基性岩が北上山地に分布しているのでしょうか?その謎は岩石組成(がんせきそせい)やまわりの地層を詳しく調べたり、岩石に残された磁気を測定することなどで除々に明かされつつあります。

県内で蛇紋岩が分布している代表的なブロックのひとつに、盛岡〜早池峰山(はやちねさん)〜釜石と北上山地を斜めに横切る細長い地域、早池峰構造帯(はやちねこうぞうたい)があります。
北上山地は、この早池峰 構造帯を境に、地層の堆積環境や時代が異なることから、北側を北部北上帯、南側を南部北上帯と呼んでいます。北部北上帯は深い海の堆積物が厚く堆積しており、化石はあまり含まれません。いっぽう、南部北上帯は古生代シルル紀から中生代白亜紀(はくあき)までの比較的浅い海で堆積した地層がよくそろっており、化石の産地として有名です。

現在、地球上の様々な現象は、地球表面を覆っている十数枚のプレートの移動によって起こると説明されています。プレートは絶えず移動しつづけ、同様にその上にある陸地や海も移動し、割れたり、衝突したりしながら現在の姿になったのです。古生代の前半には、南部北上帯の原型は南半球で浅い海の堆積物を堆積させる陸地としてすでに存在していました。やがて、その一部がプレートの移動によってユーラシア大陸の原型に衝突、南部北上帯をつくりました。その後、深い海の堆積物がプレートのに乗って南部北上帯の外側に加わりつづけます。これが北部北上帯です。両者の境の断層帯(だんそうたい)が早池峰構造帯です。早池峰構造帯では激しい断層運動(だんそううんどう)によって過去のプレートの一部が表面に露出し、浸蝕(しんしょく)されているのだと考えられています。

みなさんも早池峰山の蛇紋岩の上に立ち、「今、私は遠い時代の海底のかけらの上にいるのだ」と、4億年以上も前の地球に思いをはせてみませんか。