| 如意輪観像(にょいりんかんのんぞう) |
![]() |
これは水沢市にある正法寺(しょうぼうじ)のご本尊、如意輪観世音菩薩
坐像(にょいりんかんぜおんぼさつざぞう)です。 仏教で如来(にょらい)《悟りを開いて最高の境地(きょうち)に達した者》になるために修行をしているものを菩薩といいます。その中で昔から広く信仰され、最も親しまれている観世音菩薩《観音菩薩(かんのんぼさつ)・観音(かんのん)》は阿弥陀如来(あみだにょらい)を目標としている菩薩で、普通の姿の観音菩薩を聖観音(しょうかんのん)=正観音)、身を変えているものを変化観音(へんげかんのん)といいます。変化観音は相手を救済(きゅうさい)するのに最も都合のよいように姿をかえて、すべての者の苦難(くなん)を取り除くとされ、千手観音(せんじゅかんのん)や十一面観音、馬頭観音(ばとうかんのん)などたくさんの姿があります。 如意輪観音(にょいりんかんのん)も観音菩薩の変わった姿の1つで、人が死んで生まれ変わる、輪廻転生(りんねてんしょう)のどこの世界にいても救って下さるといわれています。また、「如意」とは、『自分の思いのままになる』という意味があり、如意輪観音は「如意宝珠(にょいほうじゅ)」という『すべての願いがかなう』不思議な珠を持っていて、人々の願いをかなえ、苦悩(くのう)を取り除いて下さるところからこの名前がついています。鎌倉時代後期(13世紀後半〜14世紀初頭)に都で作られたものではないかと考えられ、顔立ちなどは宋(そう)の影響を受けているといわれます |
|||||
| 正法寺 本尊 如意輪 観世音 菩薩 座像 像高:48cm/寄木造 (岩手県指定文化財) |
||||||
| 如意輪観音 像を見てみると、左右に3本ずつ、計6本の手があります。それぞれ違うポーズをとり、何かをもっている手もあります。仏像はその手や指の形(印相(いんぞう)、持っているもの(持物=じもつ)によってその願いや性格、力や徳を区別する事ができます。 如意輪観音の6本の手はそれぞれどんなことを表しているのでしょうか。一つの説をご紹介しましょう。 |
| 右手第1手 頬(ほお)にあてて、思惟(しい)の姿勢。 「どうやって救ってやろうか・・・」と考えておられます。 右手第2手 如意宝珠(にょいほうじゅ)を持っています。すべてが思い通りになるという宝の珠を与えて下さいます。 右手第3手 膝(ひざ)を立てた足の後ろ側で、数珠(じゅず)を持っています。 人々に信仰をすすめています。 |
![]() |
左手第1手 人差し指を天に向けています。 天に住む者を救って下さいます。 左手第2手 座っている蓮(はす)の上面をおさえています。地に住む者を救って下さいます。 左手第3手 体の前で蓮華(れんげ)の花を持っています。苦しむ者に投げかけ、安らぎを与えて下さいます。 |
| 仏教の中では特別な意味を持つ数字がいくつかあります。その中で6という数は、その人の過去・現在における善悪業によって、死んで生まれ変わる輪廻転生(りんねてんしょう)の世界、すなわち |
| 1.地獄道(じごくどう)…閻魔様(えんまさま)の住む、地下の暗闇(あんこく)の世界。罪(つみ)によって様々な罰(ばつ)を受ける世界。 2.餓鬼道(がきどう)…やせ細って、のども 針のように細くなってしまい、物を食べたり飲んだりする事ができず、常に飢えに苦しむ世界。 3.畜生道(ちくしょうどう)…人に飼われて生きる動物の世界。 4.修羅道(しゅらどう)…たたかいを好む阿修羅(あしゅら)の住む所で、常に争いごとのある世界。いかりやねたみ心が激しいものが生まれ変わるという世界。 5.人間道…人間の住む所で、人が生まれ出る世界。 6.天道(てんどう)…天帝(てんてい=神様)の住む世界で、天上にある世界。 ……の6つの世界、『六道(りくどう)』を表しています。 |
如意輪観音は、この輪廻の世界の中で苦しんでいる人々をご覧になって、『さぁて、どうやって救ってやろうかな・・・』とちょっと目を伏せて、頬に手をあて、考えて下さっている慈悲(じひ)深い仏なのです。 |