テーマ展



2010年12月5日(日)〜2011年2月27日(日)
特別展示室



北東北の宙瞰図(神奈川県立生命の星・地球博物館新井田秀一氏作成)

わたしたちが岩手の地質に親しみ、楽しむためにはどうしたらよいのでしょうか。まずは、旅行したときの車窓から山々や何げない崖を見つめ、そこに潜む驚異の自然の歴史について考えてみましょう。そして、観光地の景観を際立たせている地質学的背景を知り、地球の歴史を読み解く旅に出かけましょう。

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展示の構成

I ジオの科学のはじまり

(1) ジオの旅の出会い (2) 初期の地質調査旅行 (3) 賢治と地質学

II 岩手のジオの世界へ

(1) ジオの概観 (2) カンブリア紀から第四紀までの岩手 (3) 岩手の地形を解析する (4) 三陸海岸のなりたち (5) 古い山並み北上山地 (6) 活動的な奥羽山脈

III 旅行でジオを楽しむ

(1) ジオ鉄 〜地質を楽しむ鉄道旅行〜 (2) ロードサイド・ジオロジー 〜車窓の地質〜 (3) 観光地のジオ

IV 地質写真家が見た日本列島の20億年

V ジオパーク

(1) 大地の旅の楽しみ (2) 三陸海岸ジオパーク構想

主なみどころ

■ナウマン作成の最古の東北地方地質図


ナウマン「予察地質図『東北部』」(部分:岩手大学図書館所蔵)

1998(平成10)年に釜石鉱山でナウマンが作成した最古の東北地方地質図「予察地質図『東北部』」が「発見」されました。これを研究したのは岩手大学で地学史を研究していた今井功先生です。その後、2009(平成21)年に岩手大学の図書館でも、「予察地質図『東北部』」の存在が確認されました。エドムント・ナウマンは、明治時代のはじめに来日して日本の地質学の基礎を築き上げたドイツ人地質学者です。地質学的に未知の世界であった東北地方。ナウマンによるその調査旅行をたどります。

■宮澤賢治が手にして勉強したと考えられる地質学の専門書


新発見! 宮澤賢治が勉強した地質学の本たち(岩手大学図書館所蔵)

1915〜1918(大正4〜7)年、盛岡高等農林学校に在学していた宮澤賢治が確実に手にして読んだと考えられる地質学の専門書が、2009(平成21)年に岩手大学図書館で「発見」されました。その存在を地質学者や宮澤賢治の研究家がそれまで気づかなかったという意味で、それは「発見」といえます。加藤碵一(かとうひろかず)氏(産業技術総合研究所地質調査総合センター代表)による賢治と地質学に関する講演会「宮澤賢治の地的世界」が平成23年2月3日(木)に開催されます。

■岩手県の地形解析図


岩手県の地下開度図(部分:岩手大学地域連携センター横山隆三氏作成)
地下開度図は逆立ちして「地下の広がり(!?)」を見た図

岩手大学の横山隆三先生の研究室で開発された地形解析図です。国土地理院発行の数値地図を用いて作成されました。立体視できる5種類の地形解析図から、それぞれ異なった地形情報が読み取ることができます。地形の特徴は地質の特徴を反映しています。よく見ると、地表の地質調査では見出せなかった、さまざまな興味深い現象までもが発見できます。

■北上山地の謎にせまるざくろ石ホルンフェルス


ざくろ石ホルンフェルス 大船渡市三陸町

大船渡市三陸町綾里(りょうり)から産出する巨大なざくろ石を含むホルンフェルスです。このホルンフェルスの産地は、ジュラ紀の付加帯(ふかたい:海溝付近で遠洋性堆積物と陸源堆積物が混合してできた複雑な地質体)からなる北部北上帯(北上山地北半部の地質体)最南端付近に位置すると考えられますが、近くの五葉山花崗岩体(かこうがんたい)による接触変成作用(せっしょくへんせいさよう)以前に、巨大なざくろ石を晶出させるような、これまでに知られていなかった変成作用があった、と岩手大学の土谷信高先生は考えています。

■巨大な琥珀の塊 〜最近寄贈された久慈産琥珀〜


琥珀 久慈市宇部町 後期白亜紀久慈層群玉川層 上山菊太郎氏寄贈

久慈地域は、日本最大の琥珀(こはく)産地です。地層の時代は恐竜が生きていた後期白亜紀です。久慈市の上山菊太郎さんは、1981(昭和56)年以来琥珀を採掘し、上山琥珀工芸を営んできました。採掘を始めて間もない1982(昭和57)年に発見したのが、このラグビーボールほどもある巨大な琥珀の塊です。この琥珀は最近岩手県立博物館に寄贈されました。

■新産出のデスモスチルス臼歯


デスモスチルス臼歯 一戸町女鹿 新第三紀中期中新世 末ノ松山層 松原尚志氏寄贈

デスモスチルスは新第三紀中新世に生きていた謎の哺乳類(ほにゅうるい)です。日本各地の60カ所近くの場所から発見されていますが、多くはのり巻きを束ねたような特徴ある形の臼歯(きゅうし)化石です。2008(平成20)年に兵庫県立人と自然の博物館の松原尚志さんと二戸市の田中舘愛橘記念科学館の小守一男さんが一戸町女鹿で新たに臼歯化石を発見しました。

■世界で一番新しい花崗岩 〜葛根田花崗岩〜


花崗閃緑岩(ボーリングコア)
雫石町北葛根地下約2800m 第四紀 中〜後期更新世 葛根田花崗岩 東北水力地熱(株)所蔵

雫石町の葛根田(かっこんだ)地域の地熱開発で、地下に500℃以上の温度を示す花崗岩(かこうがん)が伏在していることがわかりました。ボーリング調査で得られた花崗岩を年代測定したところ、34万年〜7万年(第四紀 中期〜後期更新世)という年代値が得られました。これは世界で最も新しい固結しつつある高温の花崗岩です。なお、地表でみられる花崗岩で最も新しいのは、飛騨山脈の滝谷(たきだに)花崗岩で、約140万年前(第四紀 前期更新世)のものです。

■「ジオ鉄 〜地質を楽しむ鉄道旅行〜」 ―新しい旅のかたちの提案―


山田線:兜明神岳の麓 宮古市門馬田代(区界〜松草駅間) 田口聡史氏撮影

車窓の地質を楽しむ鉄道の旅を「ジオ鉄」といいます。鉄道旅行で車窓を眺めると、次々と風景が展開していきます。自然の風景にはそれぞれ形成のドラマがあります。風景の地質学的背景を読みとって楽しむ旅行が「ジオ鉄」です。たまには、あなた自身の「ジオ鉄」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

■観光地のジオ 〜「断崖絶壁!」から一歩進めて驚異の大地の歴史を考える〜


海上から見た北山崎 田野畑村北山 前期白亜紀 原地山層
「海のアルプス」とよばれる北山崎は北上山地の変動期の火山活動を示している

観光地の自然の風景を際立たせている背景には、それぞれ地質学的な意味があります。「断崖絶壁!すごい!」で終わらせるのではなく、その崖はなぜそこにあるのか、いったいどうしてできたのか、そもそもその崖をつくっている岩石はどんな環境で生成したのか、について考えてみる…。自然豊かで静かなその風景の奥には、想像を絶する大地の歴史の物語が秘められているのです。

■地質写真家がみた日本列島の20億年 〜白尾元理展〜


日本最古の岩石を含む上麻生礫岩(白尾元理氏撮影)
岐阜県七宗町 飛騨川渓谷の上麻生礫岩には日本最古の20億年前の片麻岩が含まれている

東京都在住の地質写真家、白尾元理(しらおもとまろ)さんは、日本や世界各地の地形・地質を撮り続けています。「地質写真家」として活躍している人は、日本では白尾さんただひとりです。「日本最古の岩石」「地下深部をみてきた付加体」「日本海を生んだマグマ」「東日本と西日本の衝突帯」「火砕流を出した火山」…。白尾さんの写真は、日本列島生成の壮大なドラマをみなさんに語りかけてくれます。


北上山地の石炭紀層状石灰岩(白尾元理氏撮影)
大船渡市日頃市町鬼丸 この地層は揚子地塊(南中国となる大陸の断片)近辺の陸域に近い干潟や浅海の堆積物であったと考えられている

■「三陸海岸ジオパーク構想」の紹介


浄土ヶ浜 宮古市浄土ヶ浜 古第三紀始新世 浄土ヶ浜流紋岩 5000万年前は火山地帯だった

近年、地形や地質などの地球がもつ自然の資産を広く一般の人々が知り、活用する動きが世界中で広がっています。ジオパークとは、地球活動の遺産をおもな見どころとする自然の中の公園です。日本国内の世界ジオパークとして、「洞爺湖有珠山」「糸魚川」「島原半島」「山陰海岸」が認定されています。岩手県でも、三陸海岸をジオパークにしようとする動きがはじまっています。

関連行事

■展示解説会
12月5日(日)・平成23年1月16日(日)・2月20日(日)いずれも14:30-15:30
入館料が必要です。

■県博日曜講座
平成23年1月9日(日)13:30-15:00 教室 当日受付・聴講無料
「大地(ジオ)を楽しむ旅へ」
大石雅之(当館学芸第一課長)

■講演会
平成23年2月3日(木)13:30-15:30 講堂 当日受付・聴講無料
「宮沢賢治の地的世界」
加藤碵一氏(産業技術総合研究所地質調査総合センター代表)

月曜休館 ただし月曜が祝日の場合は開館し、翌平日に休館します。
期間中の休館日:12月6日(月)、13日(月)、20日(月)、27日(月)、29日(水)〜平成23年1月3日(月)、11日(火)、17日(月)、24日(月)、31日(月)、2月7日(月)、14日(月)、21日(月)

入館料
 一般300円(140円)、学生140円(70円)、高校生以下無料
( )内は20名以上の団体料金。
身体障害者手帳等をお持ちの方と介護者は無料です。

アクセス
博物館への行き方はこちら


岩手県立博物館
〒020-0102 岩手県盛岡市上田字松屋敷34番地 電話 019-661-2831 FAX 019-665-1214
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