いわての地球温暖化対策・資源・エネルギー 風車

新エネルギーに関する取り組み


県営屋内温水プールへの新エネルギー導入の取り組み
 〜いわて型チップボイラーと地下水利用型ヒートポンプ導入〜


1 はじめに
 県営屋内温水プール(愛称 ホットスイム)は、雫石地域地熱熱水供給事業実証調査の一環として、熱水供給の実用化を図り、地域振興、住民の福祉等に活用することを目的として平成5年度に供用開始した施設です。

屋内温水プール(ホットスイム)全景

 同施設には、50m公認プールやファミリープール、トレーニングルームなどがあり、一般遊泳はもちろん、家族連れの利用、各種競技大会、強化合宿などに広く利用されており、年間5万人以上の利用者があります。

50m公認プール

ファミリープール

トレーニングルーム

多目的広場

 ホットスイムの熱源となっていた地熱熱水は、平成17年度末で実証調査が終了し、熱水供給廃止となったことから、施設のあり方について、廃止を含む様々な面から検討を重ねた結果、ホットスイムは新エネルギーのモデル施設として存続することになりました。


2 新たな熱源設備
 この結果、新エネルギーを利用した熱源を新たな熱源として整備することとなりました。新たな熱源として、岩手の地域特性にあった新エネルギー設備を検討した結果、木質バイオマスを燃料とする『いわて型チップボイラー』と『地下水利用型ヒートポンプ』を組合せた複合設備を導入することとしました。

建屋全景(手前がチップボイラー棟(背の高い建物はチップ保管庫)、奥がヒートポンプ棟)


(1)いわて型チップボイラー
 県内では、これまで欧州製品が多く導入されていましたが、高含水率チップでも対応できるボイラーの開発が求められていたことから岩手県工業技術センター、岩手県林業技術センターが民間企業と共同で開発したものです。
・設備容量
  200kW 2台
  100kW 1台

・年間チップ使用量 約6,000m3

 チップ保管庫の容量は80m3

 最もチップを消費する冬期で、約2日分のチップを保管が可能です。

 ダンプ式のチップ運搬車が直接サイロに投入できるよう半地下構造になっています。


(2)地下水利用型ヒートポンプ
 今回設置したヒートポンプは、熱水実証事業で使用していた深井戸から自噴する豊富な地下水を熱源として有効利用しています。
 温度が安定している地下水を熱源としているため、外気を熱源とするものに比べ、年間を通じて安定した熱効率が得られます。 
・設備容量  200kW(50kW×4台)

・現地測定値
  地下水利用量 139g/分
  COP 3.9


 ホットスイムに到着した地下水は13℃程度です。ヒートポンプで5℃分の熱が取り出され、8℃程度で放流されます。
地下水供給源(深井戸)

 熱源としている地下水はホットスイムから約8km上流から運ばれています。
 熱水実証事業で使用していた配管を利用し、無動力で引き込む等、経費を削減する工夫がなされています。

 


3 熱供給の仕組み

(クリックすると拡大します)

 ホットスイムでは複数の熱交換器を用い、熱(熱水)を@暖房(パネルヒーター)、A給湯・シャワー、B床暖房、Cプール加熱と多段階で利用しています。

 施設で利用され40℃前後に下がったお湯は、ヒートポンプで45℃程度まで加熱され、再び貯湯槽に返されます。
 貯湯槽に返されたお湯は更にチップボイラーで加熱され、施設で利用するために必要な70℃程度まで加熱されます。

 実際のシステムでは、各箇所に取り付けられたセンサーが温水の温度・流量を測定し、施設へ必要な熱を供給できるよう、自動運転しています。


4 環境面・経済面での効果
 ホットスイムの新たな熱源として、地域特性を生かした新エネルギー設備であるチップボイラーとヒートポンプを複合利用したことで、環境面、経済面において様々な効果が期待されます。

(1)非化石燃料の利用
 石油などの化石燃料は有限な資源であり、資源の枯渇が心配されています。
 再生可能エネルギーである木質バイオマスを燃料とするチップボイラーや、エネルギー効率の非常に高いヒートポンプの利用はこの問題に対する有効な解決策のひとつです。

※重油ボイラーでホットスイムを維持した場合は、1年間に約456kL(200Lのドラム缶2,280本)の重油が必要となります。

(2)二酸化炭素排出量の削減
 木質バイオマスは、適切な資源循環がなされていれば、大気中の二酸化炭素の増加は無いと見なされていることから、これを燃料とするチップボイラー地球温暖化防止に優位となるボイラーです。
 また、ヒートポンプは消費電力の数倍の熱エネルギーを得ることができる非常に効率の良い設備で、二酸化炭素排出削減に有効な設備とされています。
 今回導入した新エネルギー設備を重油ボイラーと比較すると、年間1,320トンの二酸化炭素の排出を抑制できます。これは、一般家庭の二酸化炭素排出量の220戸分に相当します。
 また、最近の石油価格の高騰により、燃料費も重油ボイラーと比較して2割から3割程度安価となると試算しています。

(3)森林環境
 間伐材等の未利用木材をチップ化し燃料とすることは、資源の有効利用のみならず、適切な森林環境の整備につながります。
 ホットスイムでの年間チップ消費量は約6,000m3であり、全てを間伐材から生産した場合に整備される森林面積は約90ヘクタール/年と試算されます。
間伐の様子

5 今後の普及活動
 ホットスイムは、新エネルギーのモデル施設と位置づけられています。
 既設の太陽光発電設備(20kW)に加え、木質バイオマスのチップボイラーとヒートポンプを組合せた複合施設として稼動することから、他の地方公共団体や民間企業等への普及啓発を行っていく予定です。

太陽光発電(20kW)

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  FAX:019-629-5334
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