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岩手山の火山防災マップが、10月9日に公表された。マップは、西側での水蒸気爆発に加えて、東側の薬師火口でのマグマ噴火を想定したもので、7種類の災害の被災区域が示されている。 岩手山は、富士山と肩を並べる日本有数の成層火山であり、過去数十万年にわたって大きな噴火を繰り返してきた。しかし、1732年の焼走り溶岩流の噴出以降、260年余の間、顕著な活動がなかったことにより、山麓に住む住民には、岩手山が生きている火山であり、ひとたび噴火が起きた場合には大きな被害をもたらすとの認識が欠如していたといえる。 鑑みれば、県土の人口密集地である北上平野は、過去に繰り返された大洪水によって平坦化されたものである。そのような事態に対して人間はなす術をもたない。環境問題への関心が高まり、環境にやさしく、環境を保全するとの活動は意義あるものである。しかし、我々は地球環境という大きなシステムの中ではちっぽけな一生物でしかない。これまでも”生かされてきた”、今も”生かされている”そしてこれからも”生かされていく”のである。 自然に対する畏敬の念を改めて呼び起こし、火山と共に生きる心構えをもつことが望まれる。その認識が、”自然の息吹”ともいえる災害による被害を少なくするのである。火山防災マップの作成は、その第一歩と位置付けられよう。 マップを理解する上で心に留めて戴きたい点を掲げたい。噴火の場所・形態・規模を予測することは困難であり、想定はあくまで可能性の一つである。実際の噴火の場合には、当然、想定と異なる場合が起こり得るものであるから、実態に即応した対応が必要とされる。当然ながら想定以外の区域の安全を保障するものではない。一方で、被害区域は風向・地形条件等で限定されるものであり、描かれたすべての区域が同時に被災するものではない。 冷静な行動には、情報の真偽を正しく判断することが求められる。何月何日に噴火が起きるとのお告げが各地で流布されている。また、四十四田ダムが決壊するとか、地熱開発が刺激して9月3日の地震を引き起こしたかもしれないなど、学術的に根拠のない風評もみられる。一部の研究機関から、総合的な検討を経ない不確かな火山観測デ−タが公表され、住民の方々の不安を増長させている例もある。住民の判断能力の育成と選別された正確な情報の報道が求められよう。 火山防災の課題は山積している。火山観測デ−タの地元への集約と行政に役立つ情報提供のシステム、避難勧告などの住民への迅速な伝達体制の整備、冬場の観測体制の改善(太陽電池などでの計測は不能となる)、さらに噴火の場所を迅速に把握するシステムの開発(夜間、悪天候時は視認が不能)など緊急に対応が求められている。 火山防災マップは火山との共生の認識を深め、減災の体制を構築するための出発点である。行政、研究機関、マスメディアなどが住民の安全を目的に連携し、自然と共に生きる県土を目指したいと願う。 |
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