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平成28年2月県議会定例会知事演述

ID番号 N42687 更新日 平成28年2月18日


平成28年2月県議会定例会知事演述の動画

1 はじめに

 本日、ここに第4回県議会定例会が開会されるに当たり、今後の県政運営について、私の所信の一端を申し上げます。

 冒頭、今月6日に台湾南部で発生した地震により、貴い命を落とされた方々の御冥福をお祈りいたします。また、被害を受けられた皆様に心からお見舞い申し上げます。

 東日本大震災津波の発災から間もなく5年となります。
 あらためて、この災害で犠牲になられた方々に対し、謹んで哀悼の意を表します。また、未だ応急仮設住宅等で不自由な生活を送られている方々をはじめ、被害に遭われた皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。
 平成27年度は、復興道路や災害公営住宅の整備を中心に、災害廃棄物処理を除く予算としては過去最大の予算を編成して、本格復興に邁進してきました。
 また、「地方消滅」、ひいては「日本消滅」の危機が指摘される中、昨年10月に県民総参加で「ふるさと振興総合戦略」を策定しました。
 「復興」と「ふるさと振興」の取組は、今を生きる県民の切実な要望に応え、今、目の前にある課題を解決する取組に他なりません。
 人間一人ひとりを大切にする、人間本位の取組を進め、引き続き、希望郷いわての実現に向けて、復興とふるさと振興に全力で取り組んで参ります。

 (希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成功を目指して)
 本年は、二度目の国体となる「希望郷いわて国体」と、全国障害者スポーツ大会「希望郷いわて大会」が開催され、県内全市町村で競技が行われます。完全国体の幕開けとなる冬季大会が先月ついに始まり、スケート・ショートトラックでの村竹啓恒さんの優勝を筆頭に、数多くの上位入賞を果たし、総合順位も二巡目以降の国体では最高の8位となるなど、幸先の良いスタートを切りました。
 そして、この週末からはスキー競技も始まります。
 昨年、群馬県で開催された冬季大会スキー・コンバインドで2位を獲得した永井健弘さんや、クロスカントリー3位入賞の若松翔さんなど、今大会でも上位を狙える有望な選手が数多く出場し、本県選手団の勢いを更に増してくれるでしょう。
 昨年の和歌山国体以降の本県選手の顕著な活躍は、これまでの選手強化の取組が結実したものであり、岩手におけるスポーツ力の高まりを感じます。
 こうした岩手の力を秋の本大会につなげ、目標とする天皇杯順位8位以内を目指します。
 また、開催県として、天皇皇后両陛下をはじめとする皇室の方々、全国の選手団や観客の皆様を温かくお迎えし、両大会を成功させるため、関係機関・団体と連携し、心のこもった岩手らしい開・閉会式の開催、参加者の配宿や安全で確実な輸送・交通の確保、空港や主要駅への総合案内所の設置、ホームページなどによる全国への情報発信など、大会の成功に万全を尽くして参ります。
 さらに、5,000人を超える運営ボランティアの参加や、花いっぱい運動をはじめとする県民運動の一層の展開など、企業や団体など県民の皆さん、まさにオール岩手の大会参画が図られており、130万県民を挙げ、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を盛り上げて参ります。
 この1月から、絵画、音楽、地域の伝統行事など、両大会の開催に併せて多彩な「文化プログラム」が県内全域で展開され、訪れた全国の皆さんに向けて、本県の豊かな文化芸術が幅広く発信されています。
 こうした取組に加え、「国体・大会プラス」として、スポーツの枠を超え、文化芸術イベントや民間団体主催のイベントと連動した新機軸も展開し、更なる盛り上げを図ります。
 県議会の皆様をはじめ、市町村、関係機関、団体、県民の皆さんと岩手の総力を結集し、「復興のシンボル」としての両大会を成功させ、岩手の歴史に新たなページを記していきましょう。

2 本格復興の完遂に向けて

 (本格復興2か年の成果と課題)
 岩手が直面する最も重要な課題は、東日本大震災津波からの復興です。
 現在、県は、復興計画に基づき、第1期の基盤復興の成果を土台とし、第2期の本格復興に邁進しています。
 その中で、復興道路は新規事業化された全ての区間で工事着手されたほか、災害公営住宅の約8割が着工し、被災事業所については一部再開を含め約8割が再開するなど、「安全の確保」、「暮らしの再建」、「なりわいの再生」それぞれ着実に進んでいます。
 資材の高騰、沿岸地域の深刻な人手不足など、新たな課題に対しても、補正予算による迅速な対応や事業者の宿舎確保などにより解決を図ってきました。復興の現場ニーズを的確に捉え、今後も、復興の歩みを進めて参ります。

 (本格復興完遂年の取組)
 平成28年度は、第2期の本格復興期間の最終年度として、次の期間につなげる重要な年であり、実施計画に掲げた事業を確実に成し遂げるという意志を込め、本年を「本格復興完遂年」と位置付けました。
 被災された方々の暮らしの再建に向け、平成28年度末までに災害公営住宅の約9割の完成を目指します。水産業を支える漁港に関しては、平成28年度末の復旧完了を目指します。
 こうした社会資本の復旧・整備に加え、こころと体の健康の問題や将来の生活への不安など、被災者の皆さん一人ひとりが抱える課題に寄り添った支援や、地域に根差したコミュニティの再生など、今後より一層重要性を増す課題にも取り組んで参ります。
 応急仮設住宅等に入居している方々が一日でも早く恒久住宅へ移行し、安定した生活に戻れるよう、被災された皆様の生活の安定や住宅再建に向けた資金面での支援を継続するほか、内陸に避難されている方への相談体制についても充実させます。
 国や全国の自治体、復興の最前線でまちづくりに取り組む市町村と一体となって、これら本格復興完遂の取組を進め、復興を更なる展開に導く第3期復興実施計画を策定します。

3 軌道に乗せるふるさと振興

 (ふるさと振興総合戦略の推進)
 復興と並ぶ喫緊の課題が、ふるさと振興です。
 「岩手県ふるさと振興総合戦略」を実行に移す年として、「岩手で働く」「岩手で育てる」「岩手で暮らす」の3つの柱に基づく取組を進め、人口の社会減ゼロ、出生率の向上に向けて、全力を挙げて取り組んで参ります。
 まずは、社会減ゼロに向けた取組です。
 国は、総合戦略において、東京圏への転入超過10万人を解消するとしており、岩手においても、この目標に呼応する形で人口の社会減ゼロを目指します。
 国が掲げる東京一極集中の是正と合わせ、岩手において、若者や女性がやりがいを感じ、生活を支える所得が得られる仕事を創出します。
 産学官や金融機関、教育機関など、関係機関で設立した「いわてで働こう推進協議会」を中心に、県内就職の促進や創業の支援に加え、長時間労働の抑制や年次休暇の取得促進など、働き方の改善の取組を、官民を挙げて推進します。
 こうした取組と併せて、若者の地元定着を促す手段の一つとして、地元産業界等と連携し、奨学金を活用した取組の具体化等についても検討を進めます。
 また、出生率の向上に社会全体で取り組みます。
 昨年制定した「いわての子どもを健やかに育む条例」では、社会全体で県民の就労、結婚、妊娠、出産、子育てを支え、県民が安心して子どもを生み、育てることができる社会の実現を目指しています。
 着実に登録者数が増えている“いきいき岩手”結婚サポートセンター、「i-サポ」の運営を通じた結婚支援や保育サービスの充実など、子育て世代のライフステージに応じた施策を展開し、子どもたちの笑顔があふれる岩手を目指します。

4 若者と女性の活躍に向けて

 若者と女性の活躍を大きな力に、復興とふるさと振興を推進し、希望郷いわての実現を目指します。
 特に、岩手の未来を担う若者が、復興の現場や、スポーツ、文化など様々なフィールドで躍動する姿は、県民に勇気と力を与えてくれます。
 こうした各方面で活躍する若者同士のネットワークを作る仕組みを拡充し、新たなつながりを生かしながら若者の力を更に引き出して参ります。そして、今年の「いわて若者文化祭」を、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会のプレイベントとして開催し、意欲ある若者に日頃培った文化芸術の発表・交流の場を提供するとともに、両大会との相乗効果で、更なる盛り上げを図ります。
 また、女性が輝き、女性が持つ力を最大限発揮できる環境づくりも大切です。
 農業では、新しい視点で生産や加工などに取り組む農業女子や、岩手の製造業を女性の力でけん引する「モノづくりなでしこiwate」など、岩手では既に多くの分野で、女性の活躍が見られます。
 「いわて女性の活躍促進連携会議」を通じて、経済団体・産業団体との連携を強化し、官民が一体となって、女性が活躍しやすい環境を整えて参ります。

5 科学技術による地域イノベーションの創出とILCの推進

 本県の豊かな地域資源を生かした科学技術の発展には、大きなチャンスが広がっています。
 ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんが、「知の地平線を拡大する作業」と例えられたように、科学技術は、私たちの生活を豊かにし、経済を発展させることに加え、意識改革を通じて人と社会のあり方全体を大きく変える力を持つものです。
 産学官金が連携して、地域資源を活用したイノベーションの創出や、次代の科学技術を担う人材の育成に取り組みます。
 また、海洋エネルギー関連産業の創出を目指し、釜石市沖の実証フィールドの利活用の推進や、洋野町沖合の洋上ウィンドファームの実現に向けた取組を進めて参ります。 
 昨年11月、岩手県立大学の鈴木厚人学長が「基礎物理学ブレークスルー賞」を受賞されたことは、本県が目指すILC、国際リニアコライダー誘致の実現に向け大きな力になるものです。
 国の有識者会議は、日本への誘致に向け、具体の議論を進めており、今後、実現に向けて重要な時期を迎えます。
 県としても、引き続き国等への働きかけを行うほか、12月に、本県で開催される国際会議も追い風とし、外国人研究者の受入環境の整備、県内企業の加速器関連産業への参入支援、県民への普及啓発に取り組んで参ります。
 今後も、様々な関係団体と連携を強化し、広く国民、世界の方々の理解も得ながら、ILC実現に向けてあらゆる取組を進めて参ります。

6 本県文化遺産の持つ価値の継承

 本年は、平泉世界遺産登録から5年目となる節目の年でもあります。「世界遺産サミット」を本県で開催し、平泉の遺産が体現する「自立と共生」の理念を広く発信、共有し、拡張登録に結び付ける機会として参ります。
 また、昨年7月に新たに世界遺産として登録された橋野鉄鉱山は、幕末日本における岩手の先進性を表す貴重な遺産です。世界遺産登録を目指す一戸町の御所野遺跡も併せ、本県が有する様々な文化遺産の価値や意義を全国の皆さんと共有し、次代に引き継いで参ります。

7 いわて県民計画第3期アクションプランの推進

 (第3期アクションプランの策定)
 今般、県では、今年度からの4年間、ゴールに向かって復興を進めるとともに、ふるさと振興を軌道に乗せ、県民一人ひとりが希望を持てる希望郷いわての実現に向け、復興計画と軌を一にし、ふるさと振興総合戦略を包含する第3期アクションプランを策定しました。

 (県民と共に進めるアクションプラン)
 プランでは、東日本大震災津波の発生や、近年の岩手を取り巻く環境変化を踏まえ、人口や県民所得、雇用環境などの7つの政策推進目標を具体化しており、目標実現に向け、県民、企業、NPOや市町村など、あらゆる主体が総力を結集する「地域経営」の考え方に基づき、取組を進めて参ります。

 (次期長期計画につなぐ施策展開)
 第3期アクションプランの計画期間の4年間は、いわて県民計画の最終期間であると同時に、次の長期計画につながる大切な4年間です。
 県民の幸福を追求する自治体「岩手」として、いわて県民計画の先を見据え、岩手ならではの「ゆたかさ」を育む観点も取り入れた第3期アクションプランを着実に推進して参ります。

 (幸福に関する指標の導入
 こうした取組に加え、希望郷いわて実現をより確かなものとするため、物質的な豊かさに加え、岩手ならではの生き方や豊かさを重視し、個人の幸福と集団全体の幸福との関係性にも着目して、「幸福度」や「幸福量」という考え方を導入し、施策の展開に生かしていくことを考えています。
 今後、県民の皆様や有識者の御意見も伺いながら、試行的に幸福に関する指標の導入と評価等への活用を行い、次期長期計画での本格導入に向けて、検討を進めて参ります。

8 行財政基盤の確立

 (予算編成方針)
 平成28年度の当初予算は、被災地の安全、暮らし、なりわいを支える復興事業を着実に進め、ふるさと岩手の「本格復興」をやり遂げ、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を成功に導き、ふるさと振興を推進する「本格復興完遂予算」として編成しました。
 来年度から一部拡大する復興事業の地方負担については、本格復興を確実にやり遂げるため、新たに県債を発行し対応します。
 一方で、社会保障関係費の増や公債費の高水準での推移など、今後も続く厳しい財政状況に鑑み、引き続き、歳入歳出両面での見直しを行いながら持続的な財政運営に努めて参ります。

 (本格復興を支える体制の整備)
 本格復興の完遂に向けた体制整備も、引き続き重要な課題です。
 平成28年度も、技術職員を中心に専門的知識を有する人材の確保が必要であり、任期付職員の採用や他県からの応援職員、民間企業からの派遣職員の受入れなどにより、今年度とほぼ同規模のマンパワーを確保します。
 また、メンタルヘルス対策など、応援職員を支える取組も進め、本格復興の完遂を支える体制の整備に努めて参ります。

9 平成28年度の主要施策の概要

 平成28年度における具体的な施策についてでありますが、復興とふるさと振興の取組を、いわて県民計画に掲げる7つの政策に基づいた施策と一体的に推進して参ります。
 以下、具体的な施策の内容について申し上げます。

 (復興計画に基づく施策の推進)
 はじめに、復興計画の3原則の第一、「安全の確保」であります。
 災害に強く、安全・安心なまちづくりは、被災地の暮らしとなりわいを支える大切な基盤です。防潮堤など津波防災施設の早期復旧・整備を推進します。また、水門・陸閘に自動閉鎖システムを導入するなど、引き続き、人命を第一としたまちづくりを進めて参ります。
 こうしたハードの整備に加え、ソフト面の取組も重要です。
 震災津波関連資料を収集し、大震災津波の教訓を国内外や後世に伝える仕組みを構築します。
 高田松原津波復興祈念公園の整備と併せ、震災伝承や防災教育、防災文化継承の拠点となる震災津波伝承施設の整備に向けた調査・設計を進めます。
 また、防災集団移転促進事業により、市町村が買い取った土地の利活用を促進するため、被災者の方々との土地交換に係る不動産取得税の減免措置を講ずるなど、被災市町村のまちづくりを積極的に支援して参ります。
 県民の安心の確保のため、引き続き、放射線影響対策に取り組みます。空間線量率の測定や食品の検査結果を速やかに公開するほか、農林業系副産物などの処理を進めるため、市町村を支援して参ります。
 なお、今後も、市町村と連携しながら、東京電力に対し必要な損害賠償請求を行うほか、支払合意に至らない費用について、和解仲介の申し立てを行うため、今議会に関連議案を提案しております。
 被災地域の方々が安心して暮らすことができるよう、警察官の緊急増員を継続します。また、宮古警察署など被災した警察施設を復旧させるほか、復興事業の進捗に併せた交通安全施設の整備を進めます。
 国により整備が進められてきた復興道路は、昨年11月に三陸沿岸道路「吉浜道路」が開通したほか、来月には宮古盛岡横断道路の一部が供用開始となります。引き続き、国の整備と併せ、県においても復興支援道路、復興関連道路の着実な整備に取り組みます。
 復興道路と港湾の復旧・整備を見据えた、フェリーの就航や企業立地の動きが見られ、被災地の経済活動が着実に再生しています。
 こうした動きを確かなものとするため、釜石港におけるガントリークレーンの整備をはじめとした港湾施設の機能強化や、利活用促進の取組を進めます。
 被災地における住民の足を確保するため、JR山田線の早期運行再開や、JR大船渡線BRTの利便性の向上などに向けた取組について、沿線市町と連携しながら進めて参ります。

 次に「暮らしの再建」に向けた取組であります。
 被災者の方々が一日でも早く安定した暮らしを取り戻すことができるよう、災害公営住宅の整備を着実に進めます。
 また、住宅の自力再建に向けた資金面での支援を継続するほか、内陸部に避難されている方を含めた生活再建のための相談体制など、被災された方お一人おひとりに寄り添った支援施策を充実させます。
 被災地の人手不足の解消に向け、安定的な雇用の創出、女性の再就職に向けた訓練など、企業の人材確保を支援します。
 被災地域における保健・医療・福祉提供体制の整備に引き続き取り組みます。
 応急仮設住宅での暮らしが長引く一方、災害公営住宅への入居も進み、被災された方の状況に応じた健康づくりの支援やこころのケアを継続します。また、県立の大槌、山田、高田病院の再建を着実に進め、大槌、山田の平成28年度中の開院を目指します。
 被災地の将来を担う子どもたちを継続的に支援して参ります。
 震災により傷ついた子どもたちのこころのケアを実施する「いわてこどもケアセンター」を引き続き運営するほか、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置を充実します。
 また、「いわての復興教育」を定着させ、郷土に愛着や誇りを持ち、岩手の復興・発展を支える人材を育成して参ります。
 被災地では、NPOなどが復興を進める大きな力となっています。
 被災地における中長期的な課題に対応できるよう、経営能力や運営基盤の強化を支援し、自立したNPOの育成を進めます。

 次に、「なりわいの再生」に向けた取組であります。
 活力ある農林水産業が被災地の本格復興には欠かせません。
 三陸沿岸の主力産業である水産業の再生のため、「地域再生営漁計画」などに基づき、中核的な経営体の育成や水産物の販路開拓などの取組を進めます。また、新たな担い手の確保・育成に向けた市町村協議会の設置など、就業しやすい環境づくりを進めます。
 さらに、漁獲から流通・加工までの一貫した高度衛生品質管理の体制を構築し、消費者から選ばれる産地形成を進めます。
 沿岸の基幹産業である水産加工業における労働生産性や付加価値の向上が重要です。カイゼンの取組を引き続き進めるほか、専門家と連携し、売れる商品づくりや販路開拓の支援を進めます。
 農林業の再生について、被災農地と周辺農地の一体的な整備を進め、復旧農地の有効活用に向けた営農体制の構築を支援します。また、潮害や風害を防ぐ海岸防災林の再生整備を進めます。
 原木シイタケ出荷制限の早期解除や原木の安定供給に向け、検査やほだ場の環境整備、原木購入経費への支援等を行い、シイタケの産地再生を進めます。
 また、県産農林水産物の販路の回復・拡大に向けて、様々な広報媒体を活用して、安全・安心で、おいしい県産食材の魅力を発信します。
 被災地域における中小企業や商店街の再生に向け、引き続き、グループ補助金などを活用し、被災商店街の本設店舗への移行を支援して参ります。
 また、新たな商店街の整備に向けた事業計画の策定や、復旧後を見据えた知識やノウハウの取得を支援し、被災商店街におけるにぎわいの回復を目指します。
 さらに、創業や経営安定化などに向けた支援を行い、被災地域における新たなチャレンジを促進します。
 被災地における観光の振興を図るため、世界遺産「橋野鉄鉱山」や三陸ジオパークなどの観光資源を生かした誘客や、震災学習を中心とした教育旅行や企業研修旅行の誘致を進めます。
 また、復興後を見据えた三陸地域の総合的な振興を担う新たな推進体制の整備を進めて参ります。

 (いわて県民計画に基づく7つの政策の推進)
 次に、いわて県民計画に基づく取組について、ふるさと振興の取組と併せ、申し上げます。
 まず、第1は、「『産業創造県いわて』の実現」であります。
 地域経済をけん引するものづくり産業の振興を図るため、重点分野である自動車・半導体関連産業の集積促進に加え、これらに続く成長分野の企業を育成します。
 また、企業の誘致や、県内企業の生産性・付加価値向上を図るほか、優れたものづくり産業人材の育成と県内への定着を促進します。
 県内企業数の大半を占める中小企業は、県民の暮らしや地域を支える大切な存在です。今議会に提案している「岩手県中小企業振興基本計画」に基づき、企業の経営革新に対する支援や、事業活動を担う人材の育成等の支援の充実・強化など、中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進します。
 また、県産品に対する信頼を一層高め、販売の拡大を図るため、商品の魅力向上や新たな購買層の開拓につなげる取組を進め、岩手ブランドの確立を図ります。
 本県経済の活性化のため、国内外との交流を広げます。
 希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の開催や北海道新幹線開業の機会を捉え、観光キャンペーンを実施するとともに、世界遺産をはじめとする本県の魅力を発信し、オール岩手での誘客の拡大を図ります。
 また、外国人観光客の受入れの拡大を目指し、海外向けのプロモーションの実施や受入態勢の整備を進めるほか、東アジア地域に加えて、昨年のミラノ国際博覧会で構築した欧州におけるネットワークも活用しながら、岩手をまるごと売り込んで参ります。
 県北圏域において、地域をけん引している食産業やアパレル産業における販路拡大や認知度向上の取組を強化するなど、地域の特性を生かした産業振興を後押しします。

 第2は、「『食と緑の創造県いわて』の実現」であります。
 EPAやTPPなど、経済のグローバル化の流れが加速する動きもあり、本県農林水産業の競争力強化や生産者の経営力向上に向けた取組が一層重要となっています。
 そのため、まず農業に関し、地域農業マスタープランを踏まえ認定農業者やリーディング経営体を育成します。
 また、若者・女性などの新規就農者の確保・育成に取り組みます。
 さらに、農地中間管理事業とほ場整備事業の連携による農地の集積・集約を加速し、経営の規模拡大や効率化を促進します。
 生産性・市場性の高い産地づくりに向けて、昨年発表した県のオリジナル水稲新品種「銀河のしずく」やそれに続く「岩手118号」を核とした県産米のブランド化を進め、「いわての美味しいお米生産・販売戦略」に基づいた、低コスト化や県産米の消費拡大に取り組みます。
 また、園芸では、産地の生産力を高めるため、ICTなどの新たな技術の導入や共同利用施設の整備を支援します。
 さらに、畜産では、飼養規模の拡大や生産性の向上、若者や女性の技術力向上とネットワークの構築に取り組んで参ります。
 林業に関し、合板等の原料や木質バイオマス燃料としての木材需要の増加を受け、伐採・利用から造林へとつなげていく森林資源の循環利用を進めることが必要です。
 まず、地域の林業経営を担う若年就業者の確保・育成を進めるため、就業希望者が知識・技術を体系的に習得できる「いわて林業アカデミー」の開講準備を進めます。
 また、将来にわたり森林資源を安定的に確保するため、関係団体による協議会を設置し、低コストでの再造林技術の普及・定着の取組を支援して参ります。
 さらに、意欲ある木材加工事業者の技術力向上や、木材製品の販路拡大を支援して参ります。
 水産業に関し、被災した施設の復旧・復興の取組に加え、地域漁業の再生に向け、漁業者と流通加工業者等との連携や、漁家女性グループ活動の活性化に取り組みます。
 本県の農林水産物の高付加価値化と販路拡大に向けて、地域の多彩な農林水産物を活用した6次産業化の推進と輸出の促進は大切です。
 地域ならではの魅力ある商品の開発やブランド化など、生産者や商工・観光業者などが一体となった活動を支援し、地域ぐるみで6次産業化を推進します。
 また、アジア地域やアメリカなどをターゲットに、米や牛肉、水産物などを重点品目に掲げ、海外への販路拡大に戦略的に取り組みます。
 こうした本県の優れた農林水産物を育む、活力ある農山漁村の創造に向け、今年度策定する「いわて農業農村活性化推進ビジョン」を踏まえ、集落が行う活性化の取組を支援して参ります。

 第3は、「『共に生きるいわて』の実現」であります。
 県民誰もが、地域において安心して保健・医療・福祉のサービスを受けられる体制の確立に向け、取り組みます。
 今年度内に策定する地域医療構想を踏まえ、今後の高齢化の進展を見据えた医療提供体制を構築していくため、病床機能の分化と連携の推進や在宅医療の体制整備などの取組を進めます。
 医師の確保や定着に向けて、奨学金による医師養成や勤務環境の向上等に取り組みます。また、地域偏在等の解消に向け、養成医師の計画的な配置調整を行うとともに、偏在解消につながる新たな制度の構築に向け、国などへ働きかけを行います。
 看護職員の県内定着を図るため、修学資金の貸付を行うほか、新卒者の県内就業率向上や離職防止の取組を進めます。
 救急医療体制の充実・強化を図るため、ドクターヘリの安全・円滑な運航の推進や、ヘリポートの整備、北東北3県による広域連携運航に取り組みます。
 高齢者が住み慣れた地域で安心して生活し続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築を支援するほか、介護人材の確保・育成に取り組みます。
 障がい児療育の拠点としての更なる役割を果たすよう、重症心身障がい児に対応した病床の再編や診療科の増設など、機能を強化した新しい岩手県立療育センターの整備を推進します。
 地域における子ども・子育て支援体制の充実を図るため、保育士等の人材確保を進めながら、保育所定員の拡大や放課後児童クラブの運営など、「子ども・子育て支援新制度」による市町村の取組を支援します。また、年々増加する児童虐待相談に対応するため、児童相談所の体制を強化します。
 子どもの貧困対策として、今年度内に「いわての子どもの貧困対策推進計画」を策定し、ひとり親家庭の自立を支えるなど、総合的な取組を推進します。
 本県の喫緊の健康課題に、県民一丸となって取り組みます。全国で最悪となっている脳卒中死亡率の改善と、健康寿命の延伸を目指し、「第二次健康いわて21プラン」に基づく取組を進め、脳卒中予防対策を推進します。
 また、自殺対策にも引き続き注力して参ります。自殺死亡率の低下を目指し、相談支援体制を強化するなど、「岩手県自殺対策アクションプラン」に基づいた取組を、県民と一体となって推進します。
 安心して子どもを生み育てられる環境づくりに取り組みます。
 不妊に悩む方への支援の一環として、特定不妊治療費助成の増額や男性不妊治療費助成の拡充など、妊娠・出産を望む方々を経済的に支えます。
 さらに、本年8月からは、子育て家庭を支援するため、未就学児及び妊産婦に係る医療費助成の現物給付を実施します。

 第4は、「『安心して、心豊かに暮らせるいわて』の実現」であります。
 まず、災害への備えを進めます。
 全国的に火山活動が活発化していることから、栗駒山における火山ハザードマップや、岩手山における具体的な避難計画の作成に向け、県と関係市町村等で組織する火山防災協議会で検討を進めるなど、火山防災対策を強化して参ります。
 こうした対策や防災体制整備などの「公助」の取組に加え、県民の防災意識の高揚を図るとともに、自主防災組織の活性化や若者・女性の消防団への加入促進に向けた市町村の取組を支援するなど、「自助」、「共助」による地域防災力の強化に取り組んで参ります。  
 また、交通事故を抑止するため、来年度策定する「第10次岩手県交通安全計画」に基づき、事故実態に基づいた効果的な指導取締り等を実施し、特に、交通事故死者の約6割を占める高齢者の犠牲を減らすための普及啓発活動を推進して参ります。
 さらに、消費者被害対策に関し、相談体制の強化、学校における消費者教育など、消費者行政の充実・強化に引き続き取り組みます。
 男女が共に個性と能力を発揮し、活力ある地域社会の形成に向け、男女共同参画やDVの根絶に関する意識啓発などに引き続き取り組んで参ります。また、就労、起業、子育て支援など、女性の職業生活に関する相談窓口を設置し、女性の活躍を幅広く支えて参ります。
 青少年の健全な育成を支えるためには、様々な関係機関がネットワークを形成し、それぞれの専門性を生かしながら、発達段階に応じた支援が必要です。また、ニートなど社会的に困難を抱える子ども・若者の支援に取り組んで参ります。

 第5は、「『人材・文化芸術の宝庫いわて』の実現」であります。
 本県の将来を担う人材の育成のため、新たな教育委員会制度のもと、教育委員会との連携を一層深め、本県教育の振興に取り組んで参ります。
 学びの質を保証するため、小中高それぞれの学力調査の結果分析に基づき、児童生徒の学力向上の取組を支援します。また、私立学校における特色ある教育活動を支援します。
 岩手と世界をつなぐ、グローバル人材を育成するため、イーハトーブ・イングリッシュ・キャンプや海外派遣などを通じ、国際的な視点を持ち、復興とその後の地域の発展を担う人材を育てます。
 さらに、教育環境の充実を図るため、県立盛岡となん支援学校や県立久慈高等学校などの学校施設の整備を進めるほか、特別支援学校へのICT端末の導入を推進します。
 いじめは、絶対に許されません。今年度設置したいじめ問題対策連絡協議会における関係機関・団体との連携を更に強化し、いじめの再発防止や早期発見・早期対応に取り組みます。また、児童生徒の発するこころのサインを見逃さない教育相談体制の充実にも取り組んで参ります。
 一人ひとりが豊かな文化芸術とともに生きる地域社会を目指し、海外との絆も生かしながら、優れた文化芸術に触れ、参加する機会を確保することに加え、豊かな文化遺産や伝統文化の保存・伝承を進めます。
 また、昨年のラグビーワールドカップ・イングランド大会における日本代表の活躍は、国民に勇気と力を与え、改めてスポーツの魅力を実感させました。2019年の釜石市開催に向け、市と連携した開催の準備や機運醸成に取り組んで参ります。

 第6は、「『環境王国いわて』の実現」であります。
 本県の豊かな自然や良好な環境は、県民の生命と暮らしを支える基盤です。
 低炭素社会や循環型地域社会の形成に向け、地球温暖化に関する意識啓発や再生可能エネルギーの普及に取り組みます。
 一戸町の高森高原風力発電所の建設を進めるほか、県内市町村と連携しながら、昨年策定した風力発電導入構想の具体化に向け、立地希望事業者への支援に取り組んで参ります。
 また、新たな産業廃棄物最終処分場の整備基本計画の策定や、環境影響評価などの取組を進め、産業廃棄物の適正処理と自県(圏)内処理の推進に向け、引き続き取り組んで参ります。
 野生動物との共生も課題となっています。特に、本県農業に甚大な被害をもたらしているシカについては、市町村や狩猟者団体と連携し、捕獲の強化に重点を置いた取組を進めます。

 第7は、「『いわてを支える基盤』の実現」であります。
 近年、全国各地で局地的な集中豪雨による洪水・土砂災害が頻発しています。自然災害から県民の生命と財産を守るため、治水施設や土砂災害対策施設等のハード整備と併せ、水位周知河川の指定や土砂災害のおそれのある区域の調査等のソフト対策を一体的に推進します。
 広域的な交流・連携や物流の基盤となる道路ネットワークの構築、スマートインターチェンジの整備に取り組み、地域経済や観光の振興を支えます。
 また、いわて花巻空港の国内路線の維持・拡充や、台湾との国際定期便の就航を目指し、受入態勢の強化を図りながら、チャーター便の誘致・拡大に取り組みます。
 さらに、路線バスや鉄道など、地域住民の足となる公共交通の利用促進や利便性の向上を図ります。
 社会資本の安全性や信頼性を確保するためには、適切な維持管理が必要です。復旧・復興事業により整備を進めている施設も含め、県内の社会資本がその機能を発揮し続けるよう、計画的な維持管理を進めます。

10 むすび

 いまから46年前、本県で初めてとなる国体が開催されました。 
 「誠実・明朗・躍進」というスローガンのもと、県民がたゆまぬ努力を積み重ね、素朴ながらも温かいおもてなしに満ちた大会は、訪れた県外の方から、岩手らしい「誠実国体」と評されました。
 期間中、過去の国体に例を見ない74万人もの観覧者を集め、その熱気と県民の力強い後押しを受けた本県選手団の活躍は目覚ましく、見事、男女総合優勝を果たし、念願の天皇杯を獲得し、大会は多くの思い出と感動を残し、大成功のうちに終了しました。
 この岩手国体により、岩手の若者にスポーツの持つたくましい精神が育まれただけではなく、開催に向け、国道4号や45号をはじめとする道路の整備が進み、鉄道の輸送力は増強され、情報通信網は高速化が進みました。
 しかし、何より大きな成果は、この50年に一度の大事業を、自らの力で成し遂げたという強い自信と誇りが、県民の心に生まれたことです。 
 岩手国体で発揮された県民の誠実さと、これを契機に培われた自信は、国体の遺産として、その後、岩手が更なる躍進を遂げる原動力となりました。
 東北新幹線や三陸鉄道の開業、高速自動車道の開通、花巻空港のジェット化など、高度経済成長という時代を背景に、さまざまな社会資本が整備され、地域経済発展の基盤となりました。
 また、県民の命を守る高次救急センターの設置や、県立大学の開設、県民会館や県立美術館の整備など、教育・文化の振興に向けた土台も整えられてきました。
 そして、いま、二度目の国体を迎えています。
 平成23年3月11日の東日本大震災津波は、これまでにない大きな被害と、県民の心に深い傷跡を残しました。
 しかし、国内外からの多くのつながりの力を得ながら、岩手が持つ地域の底力を最大限に発揮し、この苦難に立ち向かい、乗り越えるべく、懸命に復興へと邁進しています。
 「地方消滅」が指摘される中にあって、ここ最近の全国的な大会における本県の若者の活躍は、勇気と力を与えてくれます。
 昭和45年の大会がそうであったように、今回の国体においても、高まる岩手のスポーツ力を追い風に躍動する選手たちの姿は、私たちに大きな希望を与え、復興を成し遂げる力、ふるさと振興を軌道に乗せる力となるでしょう。
 この希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を必ずや成功させましょう。
 希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成功は、「地元の底力」と様々な「つながりの力」を一層高め、希望郷いわての実現をより確かなものにし、そして、現行いわて県民計画に続く次の10年の礎を築くことになるでしょう。
 ここにおられる全ての議員の皆様並びに県民の皆様の深い御理解と更なる御協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

添付ファイル

平成28年2月県議会定例会知事演述全文

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