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平成27年9月県議会定例会知事演述

ID番号 N39435 更新日 平成27年10月2日


平成27年9月県議会定例会知事演述の動画

1 はじめに

 本日、ここに第2回県議会定例会が開会されるに当たり、今後の県政運営について、私の所信の一端を申し上げます。

 私は、このたび、希望マニフェストを掲げ、三度、知事に当選いたしました。
 あらためて、岩手県を代表し、東日本大震災津波で犠牲になられた方々の御冥福をお祈りし、未だ、応急仮設住宅等で不自由な暮らしを余儀なくされている方々をはじめ、被害を受けた皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
 今、東日本大震災津波からの復興事業のピークを迎え、これからの4年間で復興計画のゴールに向かうという重要な時期に、県政を担当することとなり、あらためてその責任の重大さを痛感し、身の引き締まる思いがいたします。
 今回の選挙では、「復興」と「ふるさと振興」を進め、希望郷いわての実現を目指すことをマニフェストに掲げました。
 県内各地で、一日も早い復興を願い、日々取り組んでいる方々、元気なふるさとを次世代に引き継ごうと地域づくりに励んでいる方々、県外から岩手に入り、今も岩手のために活動しているボランティアの方々など、多くの人たちが頑張る姿に出会いました。
 「地元の底力」と様々な「つながりの力」により、復興の量の確保と質の向上に努め、ふるさと振興を軌道に乗せるべく全力を尽くして参りますので、県議会議員各位並びに県民の皆様の御支援と御協力をよろしくお願い申し上げます。

 (これまでの県政運営)
 平成19年、岩手が直面する危機を希望に変えることをスローガンに、私は、戦後民選となって以降、県政7人目の岩手県知事に就任しました。
 人口流出や県民所得の低迷、雇用不足、地域医療の崩壊等の危機に対し、県政は正面から向き合い、産業振興による雇用の創出や奨学金を活用した医師の養成などに取り組み、着実に成果を挙げて参りました。
 そうした状況の中、平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波は、それまでの危機をはるかに上回る大きな危機でした。この未曾有の災害に対し、県は、県政史上かつてない規模と体制で、復旧・復興に取り組み、平成26年度からの3年間を本格復興期間と位置づけ、現在、将来にわたって持続可能な地域社会の構築を目指し、復興に邁(まい)進しています。
 復興計画の第2期で掲げた事業は、おおむね着実に進んでおり、今後は、第3期の準備とその実行を視野に取り組んで参ります。
 一方、全国的な人口減少が、地方消滅ひいては日本消滅に至るのではないかという危機感を背景に、政府は、まち・ひと・しごと創生法を成立させ、昨年12月、まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定しました。
 岩手では、私の知事第1期就任後に策定した「いわて希望創造プラン」において、人口減少対策を重点目標の1つに掲げ、いち早く取組を進めていました。
 昨年6月、国の動きも踏まえ、岩手県人口問題対策本部を立ち上げ、年度末に人口問題に関する報告をとりまとめました。今月には、地方版まち・ひと・しごと創生総合戦略となる岩手県ふるさと振興総合戦略を策定します。
 東日本大震災津波からの復旧・復興、そして、ふるさと振興は、岩手にとって喫緊の課題であり、同時に、岩手が主体的に取り組む地方自治の改革です。
 これまでの復興、人口減少対策の取組の成果を土台に、県の総力を挙げ、強力に推進して参ります。

2 今後4年間の県政運営の基本的な考え方

 (復興の推進)
 本年6月、政府は平成28年度以降5年間の復旧・復興事業の規模と財源を閣議決定しました。
 復興事業の一部で地元負担が拡大することとなったことは、誠に残念でありますが、三陸沿岸道路の全額国費による整備の継続や復興交付金効果促進事業の一括配分の上限引き上げなど、その規模と財源は、概ね県の主張を汲(く)んだものとなりました。
 今後も市町村と連携しながら、政府に対し、被災地や被災者の実情をしっかりと説明し、市町村、県、国が一体となって復興に邁進して参ります。
 これまでに災害廃棄物の全量撤去や三陸鉄道の全線運行再開を実現し、住宅再建補助制度の創設や医療機関の早期再開、さらには、漁港や漁船、養殖施設の復旧整備等、「安全の確保」、「暮らしの再建」、「なりわいの再生」の各分野の基盤復興の成果を土台として、岩手の復興は、本格復興のステージに移行しています。
 工事のピークを迎えている海岸保全施設や災害公営住宅の整備など社会資本の復旧・復興に関しては、引き続きロードマップをお示しし、県民の皆さんの御理解をいただきながら、迅速に進めて参ります。
 応急仮設住宅等での生活の長期化に伴う心と体の健康の問題や、将来の生活への不安など、被災者一人ひとりが抱える課題に寄り添った支援を進めて参ります。
 また、復興まちづくりの進展に合わせ、地域に根差したコミュニティの再生や新たなまちのにぎわいの創出に向けた取組を強力に進めて参ります。
 さらに、三陸における交通ネットワークの整備や新たなまちづくりの進展による今後の環境変化を見据え、中長期的な視点に立った三陸地域の振興方策の具体化を図って参ります。
 こうした取組には、これまで以上に、県と市町村、国や民間の協力、そして何よりも県民の力の結集が必要です。
 若者や女性をはじめ、多くの県内外の方々の参画をいただきながら、誰もが社会の中でつながり、支え合うソーシャルインクルージョンの観点に立ち、すべての県民が希望を持てる復興を進めましょう。

 (ふるさと振興の展開)
 ふるさと振興は、地方があらゆる人々にとって希望を持って生きていくことができる場になるための、人々の暮らし方や働き方、結婚や子育ての在り方など、これまでの地方における社会、経済、行政の仕組みを改革していく取組です。
 国が掲げる東京一極集中の是正と合わせ、岩手の人々が直面する進学や就職、結婚、出産、転居などの岐路に、丁寧に向き合う施策を展開し、誰もが、「働きやすい」、「結婚しやすい」、「子どもを産みやすい」、「子どもを育てやすい」、「家庭を持ちやすい」と感じる社会経済環境の実現を推進して参ります。
 人々の生きにくさを解消し、「岩手で働く」、「岩手で育てる」、「岩手で暮らす」、この3つのふるさと振興の柱に沿った施策の着実な実現により、私たちの子や孫の世代につながる将来に、希望への道筋をつけることが、求められています。
 子どもからお年寄りまで、あらゆる世代が生き生きと暮らす岩手、県外とつながり、新しい発想にあふれる岩手の実現を目指し、ふるさと振興の推進に全力を尽くして参ります。
 なお、ふるさと振興総合戦略については、これまでの県議会や有識者会議における議論、県内各層から寄せられた意見を踏まえ、今般、最終案をお示ししています。今議会等で出される御意見を基に、更に内容の充実した総合戦略を作り上げ、県民総参加の取組を展開して参ります。

 (若者と女性の活躍に向けて)
 復興や地域振興の現場では、若者や女性の活躍が著しく、県として、その活躍を更に支援していくことが重要です。
 意欲ある若者や女性が、岩手で一段と力を発揮できる土台づくりを、行政と民間が一体となって進めて参ります。
 若者や女性がやりがいを感じ、生活を支える所得が得られるよう、産業界と連携した働き方の改善や、創業支援の充実に取り組みます。
 こうした支援を官民挙げて推進するため、新たに、県をはじめ、経済団体や教育関係者等で構成する推進組織を設立します。
 県の調査では、男女の不平等感は未だ根強く残っていることが示されています。男女共同参画の考え方を幅広い世代に普及し、男女が対等な立場で意見を交わすことのできる社会、ともに支え合う社会を形成していくことが重要です。
 「いわて女性の活躍促進連携会議」などを通じ、女性がいきいきと活躍できる取組を官民一体となって推進します。

 (希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成功に向けて)
 「広げよう 感動。伝えよう 感謝。」をスローガンとする希望郷いわて国体本大会・希望郷いわて大会の開催まで、一年となりました。希望郷いわて国体冬季大会は、いよいよ目前に迫り、全国から多くの方々に来県していただき、復興のシンボルとなる両大会を成功させようとの思いが、一層高まっています。
 大会の成功に向け、実施本部の設置など全庁的な職員体制を構築し、準備に万全を期して参ります。
 両大会の盛り上がりが、岩手のあらゆる地域に浸透し、1人でも多くの方が、より深く参画することができるよう、スポーツの枠を超え、文化芸術とも連動した広がりのあるおもてなしと新たな趣向を加えます。
 デジタルコンテンツやメディアとの融合も図りながら、地方が主役となる東京オリンピック・パラリンピックの新たなモデルとなる、人的、文化的な相互交流の実現を目指します。
 130万人みんなの力で開催する両大会を成功させるとともに、地域振興の広がりを全国に発信していきましょう。

 (「県民」とともに推進するいわて県民計画)
 6年前、私は、県民総参加で、「いわて県民計画」を作り上げ、県民一人ひとりが希望を持ち、岩手全体に希望があふれる希望郷いわてを目指して参りました。
 県勢発展の要は県民の皆さんであり、県民が岩手を作り、また岩手が県民を作るという考えのもと、県民が中心となった計画という意味で「いわて県民計画」と名付けました。
 この計画に基づく第1期、第2期のアクションプランを実行する中では、岩手宮城内陸地震、東日本大震災津波、その他にも多くの苦難が岩手を襲いましたが、県は、県民の皆さんやNPOの方々、企業、市町村や国と力を合わせ、これらの困難に立ち向かい、乗り越えてきました。
 求人不足の解消や、一人当たり県民所得の4年連続の向上、人口の社会減の6年連続縮小傾向など、岩手が直面する重要課題については、着実に成果が出始めています。
 一方で、求人不足数の解消にも関わらず、昨年度は人口の社会減が拡大に転ずるなど、従来の施策や県単独の取組では解決が困難な課題が顕在化しています。
 こうした課題の解決に向け、国への働きかけを強めるとともに、復興計画や今後策定するふるさと振興総合戦略を包含する「いわて県民計画」第3期アクションプランを策定します。
 これからの4年間は、県民計画の最終期間であると同時に、その先の岩手発展のための準備期間ともなる重要な4年間です。
 従来追求されてきた経済的・物質的な豊かさに加え、岩手ならではの「ゆたかさ」や「価値」を大切にし、それらを共有していく取組も含め、次代を見据えたプランを県民の皆さんと作り上げ、希望郷いわての実現を図って参ります。
 また、希望郷いわての実現を、より確かなものにできるよう、新たに「幸福度」を行政評価の指標に取り入れます。岩手の詩人、宮沢賢治は、「世界が全体幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」との言葉を残しました。こうした言葉が育(はぐく)まれる岩手の歴史や風土なども参考に、岩手ならではの幸福度を研究し、施策への反映に向けた具体化を進めて参ります。

 (厳しい財政運営と復興の両立)
 復興とふるさと振興の力強い推進には、安定した財政基盤の確保が重要です。
 県の財政は、過去の公共投資のために発行した県債の償還が、高い水準で推移するなど、依然として厳しい状況にあります。
 こうした中、東日本大震災津波からの復旧・復興に関しては、平成28年度から、一部、自治体負担が拡大されることとなりました。
 しかし、断じて復興を遅らせてはなりません。
 引き続き、歳入歳出両面での見直しを行うとともに、新たに生じる負担に対する地方債の活用も検討しながら、知恵を絞り、工夫を凝らして、復興の推進と財政健全化に向けた取組を両立して参ります。

3 いのちの尊厳について

 (いじめを絶対に許さない)
 昨年来、いじめに関連して、県内の中学生が自ら命を絶つという痛ましい事案が発生しました。
 私は、本年7月に、教育委員会委員長とともに、命の大切さといじめが絶対に許されないことを、県内全ての子どもたちに向けて訴えました。
 亡くなった生徒の尊厳を起点に、岩手で同様の事案が二度と起きないよう、対策を講じていかなければなりません。
 今議会においても、いじめ対策に関わる条例とともに、関係予算を提案しています。
 命を守るという信念を持ち、総合教育会議の場も活用し、いじめの根絶に向けて粘り強く取り組んで参ります。

4 復興とふるさと振興の総合的な展開

 今後4年間の復興とふるさと振興の具体的な取組は、復興計画の3つの原則と、ふるさと振興総合戦略の3つの柱に基づいた施策を、総合的に展開して参ります。

 (復興計画の着実な推進)
 まずは、復興の推進です。
 「いのちを守り 海と大地と共に生きる ふるさと岩手・三陸の創造」を目指し、復興計画の第2期、さらには第3期を通じて、ゴールに向かう復興の推進に取り組んで参ります。

 (「安全の確保」に向けた取組)
 計画の3原則の第一、「安全の確保」についてであります。
 災害に強く、安全で安心な暮らしを支えるため、多重防災型まちづくりを推進します。海岸保全施設などの整備に合わせ、防災文化を醸成するための取組を推進します。
 関係機関と連携し、高田松原津波復興祈念公園や津波伝承施設の整備を推進するなど、未曽有の大災害からの教訓を確実に継承し、将来に生かすことで、岩手の防災力の向上を図ります。
 県民の暮らしやなりわいを守るため、引き続き、放射線影響対策に取り組みます。農林業系副産物などの廃棄物処理をはじめ、市町村の課題に対し、必要な支援を行って参ります。
 また、東京電力に対し、市町村と連携しながら、今後も賠償請求を行います。
 災害時の確実な緊急輸送や三陸沿岸地域の産業振興、水産業等の復興支援に、復興道路は不可欠です。
 平成30年度までには、東北横断自動車道釜石秋田線の釜石花巻間が全線開通するほか、三陸沿岸道路でも多くの区間が開通します。
 また、三陸鉄道への移管受入が決まったJR山田線宮古釜石間の復旧工事も、本年3月から始まっています。
 点から線、線から面へ、岩手を一つにつなぐため、被災JR線の早期復旧をJR東日本に働きかけるとともに、復興道路などの整備を着実に進めます。

 (「暮らしの再建」に向けた取組)
 次に、「暮らしの再建」です。
 まずは、住宅の確保を図ることが急務です。
 被災された方々が、安心して暮らせるよう、平成30年度までに、全ての災害公営住宅を整備します。
 また、住宅再建のための支援を継続し、持ち家再建を希望する方の負担軽減を図ります。
 恒久的住宅への移転が進む一方、もうしばらくの間、応急仮設住宅等で不自由な暮らしを余儀なくされる方々もおられるなど、それぞれ被災された皆さんの抱える事情により、復興のスピードは違います。
 より一層、親身になって寄り添うことが必要であり、子どもからお年寄りまで被災者一人ひとりの事情に正面から向き合い、心身両面を支える取組を続けます。
 健康面、経済面での不安を少しでも解消すべく、被災者の国民健康保険の医療費窓口負担等の免除について、更に1年間延長します。
 被災地の人手不足については、引き続き重要な課題です。若者の就業支援や職場定着向上、女性の再就職のための取組を行い、企業等の人材確保を支援します。

 (「なりわいの再生」に向けた取組)
 次に、「なりわいの再生」です。
 沿岸地域の基幹産業である水産業に関し、地域再生営漁計画の実行を支援することにより、地域漁業の人や現場、新たな価値を創造し、漁業の再生を進めます。
 また、漁獲から流通、加工までの一貫した高度衛生品質管理サプライチェーンの構築や販路の回復・拡大、高付加価値化を推進します。
 被災地域の経済を支える中小企業や商店街に関し、グループ補助金と県独自の資産復旧事業を両輪に、被災企業の再建を支援するほか、まちづくりの進行に伴い本格化する商店街の再生について、将来を見据えた計画策定から事業の実施に至るまで、地元市町村と一体となって、具体化を進めて参ります。
 三陸の未来を切り拓くため、地域資源を生かした観光など、産業振興や三陸ブランドの活用に向けた事業を総合的に展開する新たな推進体制の整備を進めます。
 三陸の物流や人々の移動にこれまでにない変化をもたらす復興道路の整備や三陸鉄道の完成に合わせ、三陸が一体となって盛り上がる新たなイベントを企画して参ります。
 また、海洋生態系の研究をはじめ、三陸が有する海洋再生可能エネルギーを生かし、国際的な研究拠点の形成を目指します。
 さらに、三陸を含め岩手の復興の象徴となり、地域と世界が直接結ばれる大きな原動力となるのが、ILC、国際リニアコライダーです。その実現により、日本全体はもとより、世界全体へ大きく貢献していきましょう。

 (「ふるさと振興」の推進)
 「ふるさと振興」の3つの柱に沿った総合的なプロジェクトを県民総参加で進めて参ります。
 まず、1つ目の柱「岩手で働く」取組です。
 有効求人倍率が、岩手でも近年1倍を超える状況が続く一方、昨年、人口の社会減は拡大しました。長期・安定的な雇用の創出、拡大など雇用の量の確保と合わせ、労働環境の改善をはじめとした質の向上の取組が重要です。
 特に、岩手の人口の社会減で顕著な若者の県外転出を防ぐため、若者がやりがいを感じ、生活を支える所得が得られる仕事を創出していく取組を推進します。
 ものづくり産業や食産業、伝統産業など、仕事につながるあらゆる産業を振興し、雇用を創出します。
 これらの産業における雇用の質を向上させるため、「カイゼン」の導入を進め、一人当たりの労働生産性を上げ、所得の向上を促進します。
 また、正規雇用の拡大や勤務時間をはじめとした処遇の改善など、安心して働き続けることのできる労働環境の整備を促進して参ります。
 こうした県内企業の魅力向上に加え、県内の若者への企業情報の発信が重要であり、県内で就業を希望するすべての若者の就職が実現できるよう、企業と若者のマッチングを強力に推進します。
 経済活動のグローバル化が進行する中、多くの人口を有し、経済発展により購買力の高まっている東アジア地域は、県内産業の成長にとって大きなチャンスです。経済交流の拡大に向け、県産品輸出の一層の促進をはじめ、事業者の海外ビジネス展開の支援を進めて参ります。
 岩手の基幹産業として、強い農林水産業と活力ある農山漁村の確立を進めます。
 国の農地中間管理事業や、ほ場整備事業の活用による担い手への農地集積の促進、米の県オリジナル新品種のブランド化などを進め、生産性、市場性の高い産地形成を推進します。
 農林水産物の高付加価値化は、新たな雇用を生み出し、所得の更なる向上をもたらします。「あまちゃん」で描かれたような6次産業化も推し進め、岩手の強い農林水産業を作り上げます。
 また、地域コミュニティ機能の発揮等による地域資源の維持や都市住民との交流、移住、定住の促進による農山漁村の活性化を推進します。
 交流人口の拡大については、産官連携の「いわて観光キャンペーン推進協議会」の活動などを通じ、オール岩手の体制で、国内外からの誘客を促進します。
 特に、岩手を訪れる外国人観光客の過半を占める台湾との定期便就航を実現し、一層の交流拡大につなげます。
 岩手が有する自然環境や豊かな文化、歴史などに加え、魅力ある雇用の場を創出することにより、岩手に住みたい、働きたいと願う人々の思いに応えて参ります。
 首都圏での情報発信や相談体制の強化による移住者の増加を目指すほか、移住後のフォローを充実し、住んでよかったと思っていただける魅力ある地域づくりを進めます。
 次に、「岩手で育てる」取組です。
 合計特殊出生率は、依然として低い状況が続いています。
 この背景には、育児と仕事の両立が困難であることや出会いの機会の減少、子育てに対する支出の増加などの要因が指摘されています。「働きにくさ」「結婚しにくさ」「子育てしにくさ」を解消していくことが重要です。
 就労、出会い、結婚、妊娠、出産から子育てに至るライフステージに応じた支援を、切れ目なく実施して参ります。
 企業と一体となって、長時間労働の抑制や労働条件の改善に取り組み、ワーク・ライフ・バランスを推進し、働きやすい、子育てしやすい環境づくりを促進して参ります。
 今月から、盛岡市と宮古市で、“いきいき岩手”結婚サポートセンター、「i-サポ」の業務をスタートさせました。新しい出会いの形を岩手で生み出し、結婚を望む方々の希望に沿ったパートナー探しを支援します。
 また、子どもを持つことを望んでも、不妊に悩む夫婦も大勢いらっしゃいます。新たに不妊治療費助成を男性にも拡充し、妊娠・出産を望む方々を経済的に支援します。
 さらに、来年8月から未就学児及び妊産婦に係る医療費助成の現物給付化を実現します。
 また、放課後児童クラブの充実、保育士・保育所支援センターの利用促進等により、子育てしやすい環境づくりを強力に推進します。
 最後に、「岩手で暮らす」取組です。
 商店街の活性化やひとにやさしいまちづくりの推進、通信インフラなどの利便性の向上を図り、まちの魅力を高めます。
 また、地域住民の足である路線バスや鉄道などの公共交通について、利用促進や利便性の向上、観光面での活用などを進め、交通基盤の維持確保を図ります。
 こうした基盤の強化と合わせ、地域おこし協力隊などの地域づくり人材や、消防団員など、地域コミュニティの担い手の確保を推進します。
 エネルギーについて、風力、地熱など、地域の特性を生かした再生可能エネルギーの導入を進め、電力自給率の向上を図ります。
 医療・福祉については、まず、県民の皆さんが健康で安心して、岩手で暮らすことのできる地域医療の充実を図ります。
 岩手の医師数は、依然として全国水準を下回っており、これまで充実してきた奨学金制度による養成と、適切な配置により、医師の不足と偏在の解消を進めます。
 また、かねて岩手県が提案している「地域医療基本法」の実現を全国に呼びかけ、日本の地域医療の在り方を岩手から発信して参ります。
 さらに、高齢者がより元気で安心して暮らすことができるよう、医療や介護、住まい、生活支援等のサービスが切れ目なく提供される地域包括ケアシステムを構築し、いきいき健康社会を実現します。
 自殺は、社会全体にとって大きな課題です。地域コミュニティや企業、団体等、様々な主体と力を合わせ、県民の皆さんとともに自殺対策を推進して参ります。
 教育や文化芸術、スポーツについては、次代を担う人を育て、心豊かで、健康的な暮らしを実現して参ります。
 東日本大震災津波の被災後、海外からの支援をいただき、岩手の子どもたちは、ニューヨークやパリ、台湾など、多くの世界の人々とのつながりを持ちました。
 こうしたつながりも生かし、世界と岩手をつなぎ、地域に根差したグローバル人材を育成します。
 また、伝統文化・生活文化の継承とともに、若者をはじめ県民の皆さんが芸術を発表する場や、鑑賞する場を提供し、県民一人ひとりが豊かな文化芸術とともに生きる地域社会を形成します。
 プロ野球の菊池雄星、大谷翔平両選手やサッカー日本代表岩清水梓選手をはじめ、岩手発のトップアスリートの活躍が、岩手に大きな夢や希望を与えています。
 こうしたトップアスリートの育成とともに、豊かなスポーツライフの振興や、スポーツを通じて内外の人々との交流が広がる地域づくりを進めます。
 また、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の盛り上がりを、2019年に釜石で開催されるラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック・パラリンピックへと途絶えることなく継続させ、岩手にスポーツ文化を根付かせて参ります。
 「復興」と「ふるさと振興」を持続的なものとしていくため、人が人を育てる好循環を作っていくことが重要です。
 岩手の将来を担う子どもたちに「生きる力」をしっかりと身に付けさせ、社会で輝く産業人材や地域づくり人材の育成、さらには、高齢者や障がい者などあらゆる立場や世代の方々が生涯にわたり学び続けることのできる環境づくりを進めて参ります。

5 むすび

 本年7月、釜石市の橋野鉄鉱山が、新たに世界遺産に登録されました。
 既に世界遺産に登録された平泉、及び世界遺産暫定リストに登録されている一戸町御所野遺跡と合わせ、縄文から平泉の時代を経て、近代にいたる歴史を振り返ると、日本の歴史における岩手の役割の大きさに深く感じ入ります。
 特に、今般、世界遺産となった橋野高炉跡は、鉄の連続生産に成功した日本最古の洋式高炉として世界に高く評価され、「岩手なくして日本の近代化なし」ともいうべき誇りある歴史が、広く知れ渡ることになりました。
 この橋野高炉跡は、鉄鉱石が豊富に採取できる環境があったという地理的要件に加え、盛岡藩の大島高任という人材なくしては実現しなかったであろう遺産です。
 大島は、盛岡藩士として、藩政改革書を記し、殖産興業に始まり、義務教育の普及を謳い、後の日本の近代化路線を先取りする先進性を示しています。
 岩手の国を、土地は広大、天下無双と称し、山の金銀銅鉄、海の魚・塩、野の牛馬、田の五穀など、数えきれない産物を生かせば、天下無双の富を得るとする改革書は、地域資源を生かし、発展を目指す今日の岩手にも通用する力強い指針です。
 東京一極集中型の政策が地方消滅ひいては日本消滅に行きつくのではないかとの危機感が広がる中、今、求められるのは、地方が主役になるような社会経済政策を地方主導で進めていくことです。
 東日本大震災津波からの復興の取組を通じて得られた「地元の底力」と「つながりの力」で、岩手の力は大いに高まっています。
 大島や幕末の岩手が示した天下無双の志を持ち、新しい地方自治としての「復興」と「ふるさと振興」を、県民の力を合わせて進めていきましょう。
 私も、県民の皆さん一人ひとりとともに、県民総参加で岩手の未来を切り拓いていくべく、これからの4年間、岩手の「復興」と「ふるさと振興」に全力を注いで参ります。
 ここにおられる議員の皆様並びに県民の皆様の深い御理解と更なる御協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明を終わります。

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平成27年9月県議会定例会知事演述全文

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〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
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