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平成23年9月県議会定例会知事演述

ID番号 N5903 更新日 平成26年1月17日

平成23年9月県議会定例会 知事演述要旨

はじめに

本日、ここに第2回県議会定例会が開会されるに当たり、今後の県政運営について、私の所信の一端を申し上げます。

私は、このたび、県民の皆様の信託をいただき、再び知事に当選いたしました。
この重要な時期に、県政を担当することとなり、その責任の重大さを痛感し、身の引き締まる思いがいたします。

2期目の選挙に臨むに当たり、東日本大震災津波からの復興を最重要課題とし、「岩手県東日本大震災津波復興計画」を推進することが、「いわて県民計画」に掲げる「希望郷いわて」の実現につながるものと考え、これらの計画を実質的な選挙公約としたところであります。

選挙を通じて、大震災津波による被害の中で、互いに助け合い、力強く復興に向けて努力している多くの県民の姿に接し、県民の底力を目の当たりにしました。

また、津波被災地においては、多くの被災者の方々から感謝の言葉をいただきました。
被災者支援、復旧・復興への県の責任をあらためて強く感じているところであり、県議会議員各位、並びに県民の皆様の御支援と 御協力をよろしくお願い申し上げます。

(これまでの復旧・復興に向けた取組)

平成23年3月11日に発生した、三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震は、非常に大きな津波を引き起こし、かけがえのない数多くの人命を奪い、太平洋沿岸を中心に甚大な被害を与えました。
あらためて、亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りいたしますとともに、被災されました皆様に対し、心からお見舞いを申し上げます。

県は、発災と同時に災害対策本部を設置し、電気、ガス、水道や、道路、鉄道、情報通信網などが大規模に寸断され、燃料が不足し、物流機能が麻痺する中で、人命の救助と被災者の支援を最優先に、関係機関と連携し、前例のない対応にも取り組んで参りました。
具体的には、情報が途絶えた被災市町村の状況把握と行政機能の回復を支援するため、県職員の派遣や衛星携帯電話の配付などを行いました。

また、避難所での生活が長期にわたることが見込まれたため、内陸市町村等と連携し、内陸地域の宿泊施設で一時的に被災者を受け入れる体制を確保するとともに、応急仮設住宅の早期建設に取り組み、発災から5か月をもって全棟を完成させたところであります。
この間、国の政府現地連絡対策室や東日本大震災復興対策本部岩手現地対策本部、岩手県沿岸市町村復興期成同盟会と連携し、被災地における課題解決に取り組んできたほか、自衛隊や、全国の地方公共団体、国内外の多くの関係機関などの支援をいただきながら、オールジャパンの力で一致団結して復旧・復興に取り組んできました。

今回の大震災津波では、国内外から多くのお見舞いや激励、寄附などをいただいており、多大なる善意の御支援に対し、心から感謝申し上げます。
さらに、天皇皇后両陛下、並びに皇太子同妃両殿下をはじめ皇族の方々におかれましては、被災者のお見舞いのため御来県いただき、温かいお言葉や励ましのお言葉を賜り、被災者のみならず、県民に大きな勇気を与えていただきました。

私が大震災津波直後に被災地を訪れた際、その想像を絶する姿に一瞬言葉を失いましたが、「答えは現場にある」との考えのもと、被災地の実態や、現場で何が必要か、何をなすべきかを把握し、復旧・復興対策を推進して参りました。

これからも、「現場力」を発揮しながら、県、市町村、国がしっかりと連携して、被災者一人ひとりに寄り添った行政を進め、沿岸地域と内陸地域が一体となって、岩手全体の復興に向けた取組を進めるよう努めて参ります。

今後4年間の県政運営の基本的な考え方

(ふるさと岩手・三陸の創造を目指して)

発災から1か月目となる4月11日、私は被災地において、犠牲となった方々への哀悼の思いを復興へのすべての起点とし、復興に向けて力強く立ち上がろうとの決意を込め、「がんばろう!岩手」宣言を行いました。

その中で、被災された方々が「衣・食・住」や「学ぶ機会」、「働く機会」を確保し、再び幸せな生活を送ることができるようにし、また、犠牲となられた方々の「ふるさと」への思いをしっかり受け止め、引き継いでいくことを宣言しました。

この復興の原点といえる考えは、県で策定した「復興に向けた基本方針」の中で、2つの大きな原則として盛り込み、この方針に基づき、先般、県議会の承認をいただき、「岩手県東日本大震災津波復興計画」を策定いたしました。
この計画は、「人命が失われるような津波被害は今回で終わりにする」との決意のもと、復興の目指す姿として「いのちを守り 海と大地と共に生きる ふるさと岩手・三陸の創造」を掲げ、科学的、技術的な必然性と、社会・経済的な必要性に基づき、県民的な議論を踏まえ、策定したものであります。

今回の大震災津波では、全国の自治体や世界の国・地域からの支援、様々な民間のボランティア活動などが展開されておりますが、こうした復興に向けた多様な連携の輪を更に広げることが重要であるため、復興計画では「開かれた復興」を掲げ、幅広い「つながり」を力としながら、復興を成し遂げていきたいと考えております。

このため、NPOや企業、団体など「新しい公共」の多様な担い手が主体となった復興への支援や、「開かれた復興」の取組の情報発信などを行いながら、様々な主体の総力を結集し、一丸となって、被災以前よりも安全、安心、ゆたかな岩手の実現に向けて、着実に復興を進めて参ります。

(「希望郷いわて」の実現に向けて)

沿岸地域の復興を確かなものにしていくためには、内陸地域の経済基盤をより高めていくことが必要であります。
県においては、災害に強いものづくり産業の拠点形成を進め、内陸地域がしっかりとした基盤を築き、沿岸地域を強力にサポートし、県全体の産業振興を着実に進めていく体制を築くことが重要であると考えております。

このためには、地場企業と誘致企業の連携、産学官民の分野や県、市町村、国の枠を越えた連携として、全国や世界とつながっていくことが必要であります。

こうしたつながりづくりを、6次産業化や農商工連携、複数の観光地を結ぶ観光商品づくりなど、農林水産業、観光等の様々な分野にわたって進めて参ります。
このような多様な「つながり」の中で、岩手を担う「ひと」が、地域資源を発掘し、磨き上げながら、付加価値を高め、岩手の「ゆたかさ」を育むことにより、県民一人ひとりが希望をもつことができる「希望郷いわて」の実現を目指して参ります。

今後の施策の方向性

(復興計画の着実な推進)

復興に向けた歩みを着実に進めるため、復興計画では、「安全の確保」、「暮らしの再建」、「なりわいの再生」を、復興に向けた3つの原則として掲げています。
復興に当たっては、この3つの原則に基づいて、津波により再び人命が失われることなく、雇用と医療・福祉が充実し、産業が元気な社会の実現を目指すものでありますが、これは福祉政策と産業・雇用政策を組み合わせた、いわゆる生活保障の考え方に相通じるものであります。

生活保障は、福祉政策と産業・雇用政策を分断することなく、両方の政策を融合させ、「安全の確保」といった土台の基に、「暮らしの再建」や「なりわいの再生」に同時に取り組み、総合的に県民一人ひとりの生活を保障するものです。

こうした生活保障の考え方に基づく本県の復興への取組は、21世紀の日本や世界のあるべき姿を、国内外に示すことにほかならないと考えております。
具体的には、「安全の確保」については、津波被害をできるだけ最小化する「減災」の考え方に基づき、海岸保全施設、まちづくり、ソフト対策の適切な組み合わせによる「多重防災型まちづくり」を進めます。

また、今回の大震災津波で「命の道」として機能した三陸縦貫自動車道をはじめとした沿岸地域の縦貫軸や、内陸と沿岸地域を結ぶ東北横断自動車道釜石秋田線などの横断軸を、「復興道路」として位置付け、集中的投資による3年間での重点的な整備を国に強く要請し、災害に強い交通ネットワークの早期の構築に取り組みます。

「暮らしの再建」については、被災者が希望をもって故郷に住み続けることができるよう、住宅の再建や雇用の確保、心身の健康を守るシステムの再構築、地域コミュニティ活動への支援などを推進します。

「なりわいの再生」については、沿岸地域の基幹産業である水産業の復旧・復興なくして、沿岸地域の復旧・復興を成し遂げることはできません。水産業の両輪である漁業と流通・加工業の再生に向けて、漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築と、産地魚市場を核とした流通・加工体制の構築を一体的に推進します。

企業等の二重債務の解消に向けた支援を行うため、国や県内金融機関などと共に、復興支援ファンドとして、新たに「岩手県産業復興機構」を設立することとしております。加えて、新規融資や助成など企業再生に向けた支援をしっかり進めて参ります。

さらに、本県でも多くの県民が懸念している、東京電力福島第一原発の事故に伴う放射性物質の拡散の影響については、知事を本部長とする「原発放射線影響対策本部」を設置し、組織体制を強化するとともに、「原発放射線影響対策の基本方針」を定め、県内の小・中学校や高校、幼稚園、保育所等の放射線量の測定や土壌の除染、牛の全頭検査の実施、検査機器の導入などを進めているところです。

今後も、県産農林水産物の放射性物質の検査を実施し、県産食材の安全確保に万全を期すとともに、外部の専門知識を有する方々の技術的な助言を得ながら、放射線量の測定体制の強化や測定対象の拡充、迅速で適切な情報の公表を行い、出荷制限、風評等で被害を受けた農家を支援するなど、県民の安全・安心の確保及び風評被害の防止に全力で取り組んで参ります。

(第2期アクションプランの策定)

今回の大震災津波では、工場が停止し、部品の供給が滞るなど、サプライチェーンの寸断によって、被災地のみならず、広く経済的な影響が及び、全国的な生産活動の低下が生じました。
また、電力供給の制約や原子力災害の影響など、家計や企業の経済活動に大きな影響を及ぼし、国内の景気は今なお厳しい状況にあります。

さらに、欧米などの世界経済の先行き不安による円高と世界的な株安傾向が、復興に向けた日本経済の景気回復の妨げとなり、企業の海外移転を加速させ、国内産業の空洞化が懸念されております。
こうした状況において、被災地はもとより、日本全体の活力を取り戻すため、国には、更なる金融緩和や積極的な財政政策を実施し、日本経済の一定の成長基調のもとで、国家プロジェクトとして総力を挙げて復興に向けた取組を推進することが求められております。

なお、環太平洋パートナーシップ協定に関しては、被災地における農林水産業をはじめ、国内の産業基盤が損なわれることのないよう、慎重に検討すべきものと考えております。
このような社会経済情勢のもとで、大震災津波からの復旧・復興の取組と併せ、「いわて県民計画」に掲げる「希望郷いわて」を実現するため、今後、重点的、優先的に取り組む施策などを、県民の皆様にお示しすることが必要であります。

このため、これからの4年間に具体的に取り組む施策や目標などを盛り込んだ、第2期アクションプランを今年度中に策定いたします。

これまで、第1期アクションプランに基づき、重点的に施策を推進し、県民一丸となって課題解決に取り組み、本県人口の社会減に歯止めがかかるなど、一定の成果を得ることができました。
第2期アクションプランの策定に当たっても、沿岸地域の復興には内陸地域の活力が不可欠であるとの認識のもと、個々の施策や取組について復興との関連性や優先度を考慮しながら、全県一体となった取組を進めるよう策定して参ります。

(健全な財政運営に向けて)

発災からこれまで、6度にわたる切れ目のない補正予算を組みながら、被災地における復旧・復興対策を重点的に推進してきたところですが、今後更に厳しさを増す財政状況を踏まえ、あらゆる手法による歳入の確保や、事業の選択と集中による一層の歳出の見直しなど、財政の健全化にも配慮した取組を進める必要があります。

今後も、復興財源の確保が不可欠であり、復興一括交付金等の自由度の高い仕組みの創設、国庫補助負担率の引上げや補助対象の拡大、地方負担に対する財源措置の充実、確保など、これまでの例にとらわれない強力な財政支援について引き続き国に対して要請して参ります。

今年度の主要施策の概要

平成23年度における施策の具体的な推進についてでありますが、平成25年度までの3年間での復興基盤の構築を目指し、復興計画で掲げる「安全の確保」、「暮らしの再建」、「なりわいの再生」の3つの原則に基づく取組を集中的に進め、復興に向けた大きな第一歩を踏み出して参ります。
さらに、「いわて県民計画」に掲げる「希望郷いわて」の実現に向け、「岩手の未来をつくる7つの政策」に基づき、様々な施策を推進して参ります。
以下、復興計画の3つの原則に基づく10分野の取組と、「いわて県民計画」の7つの政策に沿って、主な施策の内容について申し上げます。

(「安全の確保」に向けた取組)

まず、「安全の確保」の原則に基づく、2つの分野における取組であります。
第1に、「防災のまちづくり」の分野における取組でありますが、津波対策の基本的な考え方を踏まえた多重防災型まちづくりにより、防災都市・地域づくりを推進して参ります。

甚大な被害を受けた湾口防波堤や海岸保全施設については、概ね5年以内の完成を目指し、市町村が策定を進めている復興計画と一体となった復旧・整備に取り組みます。

さらに、市町村復興計画で定める、津波に対する安全な住環境を整備するための宅地のかさ上げや、高所移転のための制度の創設・拡充、土地利用規制の手続の迅速化など、引き続き国に対して要望して参ります。

生活に支障が生じる災害廃棄物については、すべての被災市町村で一次仮置場への撤去が完了したところであります。今後は、「岩手県災害廃棄物処理詳細計画」に基づき、リサイクルを推進しながら、平成26年3月までの完了を目指し、着実に災害廃棄物の処理を進めます。
また、今回の災害応急対策の検証を踏まえ、今年度中の地域防災計画の見直しなど、防災対策を強化するほか、被災した衛星通信装置の復旧など、災害に強い防災通信機能の整備を進めます。
第2に、「交通ネットワーク」の分野における取組でありますが、円滑な物流等の確保を図るため、被災した道路や港湾施設などの早期復旧に向けて取り組みます。

さらに、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークの構築のため、復興支援道路や復興関連道路の整備に取り組みます。

駅舎、線路、橋梁等が流出、損壊するなど、甚大な被害を受けた三陸鉄道については、平成26年4月の全線運転再開に向けて、沿線市町村と共に早期復旧に向けた支援を行うほか、JR各線については、沿線市町村の復興計画の策定状況をみながら、復旧に向けた早期の着工をJRに対して要請して参ります。

(「暮らしの再建」に向けた取組)

次に、「暮らしの再建」の原則に基づく、5つの分野における取組であります。
第1に、「生活・雇用」の分野における取組でありますが、一部に回復の兆しがみられるものの、沿岸地域では多くの企業が被災し、雇用の場が失われるなど、県内の雇用情勢は厳しい状況にあります。

このため、沿岸地域においては、水産業を軸として広範な産業支援策を講じ、産業基盤の早期の再生に努め、雇用の場の確保を図ると同時に、離職を余儀なくされた方々に対しては、各種相談や就業支援を行い、緊急雇用創出事業等を活用し、雇用の下支えを図りながら、民間の産業振興による雇用の立ち上がりを積極的に支援します。

加えて、内陸地域においては、経済活動の回復を更に着実なものとし、ものづくり産業での雇用を拡大するほか、平泉の世界遺産登録を契機とした観光需要増大の効果を雇用に結び付けていきたいと考えております。
恒久住宅確保対策については、持ち家の再建を希望する被災者の支援に取り組むほか、災害復興公営住宅の整備などにより、安全で良質な住宅の供給に努めて参ります。
被災者の生活再建に向けては、義援金や被災者生活再建支援金の支給等の支援のほか、「被災者相談支援センター」を中心とする総合的な相談支援体制を構築し、被災者台帳システムの整備や市町村による運用の支援を行います。

第2に、「保健・医療・福祉」の分野における取組でありますが、被災者の心身の健康を守るため、仮設診療所等の設置や再開可能な医療機関への支援など、被災した病院、診療所、福祉施設等の機能回復を図るとともに、医療・福祉従事者などの確保に努め、災害に強く、質の高い保健・医療・福祉提供体制を整備します。

また、応急仮設住宅地域での相談、デイサービス、訪問介護、生活支援等を包括的に提供するサポート拠点の設置・運営を支援します。
精神的負担を抱えている住民に対しては、「震災こころの相談室」での心の悩みなどの相談や診察を行うほか、長期的な心のケアを見据え、きめ細かな専門的なケア体制の構築に取り組みます。

さらに、沿岸地域に「子どものこころのケアセンター」を設置し、大震災津波により親を失った子どもたちの心の健康の回復を支援します。
第3に、「教育・文化」の分野における取組でありますが、学校施設の復旧整備や防災機能強化はもとより、大震災津波で心にダメージを受けた児童生徒や幼児へのきめ細かな心のサポート体制の充実を図り、児童生徒が安心して就学できる教育環境等を整備します。

また、被災体験を踏まえ、防災教育をはじめ、キャリア教育や道徳教育などを総合的に学ぶ「いわての復興教育」プログラムの構築を進め、子どもたちの未来を切り拓く力を育みながら、本県の復興を担うひとづくりを進めます。

今回の大震災津波を契機に県で設置した「いわての学び希望基金」には、国内外から多くの寄附金が寄せられており、この基金を原資として、奨学金の給付を行うなど、大震災津波で親を失った子どもたちの暮らしと学びを支援します。
第4に、「地域コミュニティ」の分野における取組でありますが、住民相互のコミュニケーションを維持しながら、地域の結束力が強まるよう、「新しい公共」の担い手である様々な主体と市町村との協働の取組を支援し、地域コミュニティ活動の環境整備を行います。

また、高齢者等の孤立防止を図るため、応急仮設住宅や在宅の被災者に対する生活相談や安否・見守り活動を行い、安心して地域で生活できるよう取り組みます。

第5に、「市町村行政機能」の分野における取組でありますが、今回の大震災津波では、内陸市町村や他県の地方公共団体などによる大規模な自治体間の支援が展開され、連携によって自治の力を高めていくという新たな自治の姿を示しました。
今後も、被災市町村が早急に十分な行政サービスを提供することが可能となるよう、人的支援や技術的助言を行って参ります。

(「なりわいの再生」に向けた取組)

次に、「なりわいの再生」の原則に基づく、3つの分野における取組であります。
第1に、「水産業・農林業」の分野における取組でありますが、漁業協同組合による漁船、養殖施設等の生産手段の一括購入・共同利用システムの構築のほか、共同利用施設やサケふ化場、アワビ等種苗生産施設、産地魚市場の施設・設備などの復旧・整備を支援します。

また、地域の防災対策や地域づくり、水産業再生の方向性などを踏まえた漁港・漁場や海岸保全施設の復旧・整備を推進し、地域に根ざした水産業の再生を進めます。
早期の営農再開に向けては、津波が浸水した農地の除塩や、農地、農道、水利施設等の農業生産基盤の復旧・整備を進めるほか、共同利用施設の復旧、農業機械の導入などを支援します。

さらに、県産木材を活用する合板工場等の施設・機械設備の復旧・整備を支援し、木材加工体制の再生を進めます。

第2に、「商工業」の分野における取組でありますが、沿岸地域の経済を支える中小企業や商店街の早期の事業再開を図るため、仮設店舗、工場などの整備支援や、事業再開に必要な融資・助成支援及び経営相談体制の充実など、一貫した企業再生支援体制の整備に取り組みます。
また、壊滅的な被害を受けた水産加工業の早期の生産機能回復を支援するほか、いわて農商工連携ファンドやいわて希望ファンドを活用し、農商工連携を進めながら、地域産業の振興を図ります。

自動車関連産業などのものづくり産業については、地場企業の競争力強化や企業の誘致、沿岸地域と内陸地域との連携によるものづくり体制の強化など集積促進を図るほか、いわて発の高付加価値コバルト合金の医療機器材料の開発をはじめ、地域資源を活用した研究開発により、新たな産業育成に向けた取組を推進します。

第3に、「観光」の分野における取組でありますが、大きく落ち込んだ観光需要の回復に向け、本県の多様な観光資源を更に磨き上げ、誘客の促進を図り、「おもてなしの郷いわて」の実現に向け取り組んで参ります。
来年の「いわてデスティネーションキャンペーン」の実施に向けては、平泉の世界遺産登録の効果を全県的に波及させるよう取組を進めます。

また、災害を考慮した自然公園施設の復旧を行い、安全・安心な観光地づくりを進め、ジオパークなど新たな魅力を付加した観光振興に取り組みます。

以上、申し上げました復興に向けた10分野の取組に加え、復興計画では、長期的な視点に立ち、分野横断的な取組として、5つの「三陸創造プロジェクト」を掲げております。

このプロジェクトについては、多様な主体と連携し、幅広く県民、団体などの意見や提言を伺いながら、具体的な取組を検討し、その着実な推進を図ります。

また、本県では、国際リニアコライダーを中核とする国際学術支援エリアや国際海洋研究拠点の形成を目指す「TOHOKU国際科学技術研究特区」や、太陽光、風力、地熱、木質バイオマス等の再生可能エネルギーを活用し、自立・分散型のエネルギー供給体制を構築する「再生可能エネルギー導入促進特区」などの復興特区制度の創設を国に対して提言しており、プロジェクトの推進に当たっては、復興特区制度との連動を図りながら、本県の復興の核として取組を進めて参ります。

(「いわて県民計画」に基づく7つの政策の推進)

次に、「いわて県民計画」に掲げる「岩手の未来をつくる7つの政策」に基づく主な施策の内容について申し上げます。
政策の第1は、「『産業創造県いわて』の実現」であります。
自動車産業における国内の第3の拠点形成に向け、関連企業の更なる集積を図るほか、技術開発支援やものづくり人材の育成、県内企業の取引拡大などを進めます。

また、昨年の上海万博への出展により形成された人的ネットワークなどを活用しながら、本県特産品の販路拡大や、県内企業の海外ビジネスの展開支援など、積極的な海外市場の開拓を図ります。

政策の第2は、「『食と緑の創造県いわて』の実現」であります。
本県の農林水産業を取り巻く厳しい状況の中で、核となる担い手の確保・育成に向け、生産基盤の計画的な整備や、認定農業者等の経営の規模拡大と多角化、地域けん引型林業経営体と連携できる事業体等の育成を推進するほか、新規就農者等の経営能力向上や栽培技術の習得支援などに重点的に取り組みます。

また、環境への配慮や低コスト生産を可能にする高度な生産技術の開発・普及など、安全・安心で高品質な農林水産物の生産拡大に取り組むほか、6次産業化や農商工連携などを推進し、農林水産物の高付加価値化を図って参ります。

政策の第3は、「『共に生きるいわて』の実現」であります。
高齢者等が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、地域包括支援センターを中核として、適切な医療・介護・福祉などのサービスが効果的に提供される地域包括ケアシステムの体制を整備します。

また、岩手県自殺総合対策本部を中心に、全庁的な自殺防止の取組を進めるほか、今年度中に自殺対策アクションプランを策定し、市町村、関係団体等と連携を強化しながら、総合的な自殺対策を推進します。

さらに、救急医療体制の充実を図るため、平成24年度のドクターヘリの本格運航に向けた取組を推進します。

政策の第4は、「『安心して、心豊かに暮らせるいわて』の実現」であります。
自主防災組織の育成・強化や防災訓練の実施、避難体制の整備など、地域防災力の向上に向けた取組を進め、防災教育等による防災文化の醸成・継承に努めます。
また、「いわて希望塾」の開催を通じ、地域づくりを積極的に担う心豊かで意欲に満ちた青少年の育成を進めるほか、男女共同参画を推進するサポーターの養成など、男女が共に参画する社会の形成に向けた取組を推進します。

政策の第5は、「『人材・文化芸術の宝庫いわて』の実現」であります。
学校と家庭・地域との協働による目標達成型の学校経営を推進し、いわて型コミュニティ・スクールと教育振興運動との連携を図りながら、学力・体力の向上、生活習慣の改善、キャリア教育の推進、心の教育や特別支援教育の充実などに取り組むほか、私立学校における特色ある学校づくりを支援します。

また、平泉の文化遺産に関する保存管理や価値の普及、追加登録に向けた取組を進めるほか、「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」や、本県の史跡が含まれる「九州・山口の近代化産業遺産群」の世界遺産登録に向けた取組を着実に推進します。

平成28年の国民体育大会の開催については、縮小開催の検討や国の支援の可能性も踏まえ、関係機関と協議しながら、総合的に判断して参ります。
政策の第6は、「『環境王国いわて』の実現」であります。
固定価格買取制度等の再生可能エネルギーの普及に向けた国の動向を踏まえ、「岩手県地球温暖化対策に関する実行計画」を今年度中に策定し、本県に豊富に賦存する再生可能エネルギーの活用を促進します。

さらに、青森・岩手県境の不法投棄産業廃棄物については、平成24年度の完了を目指し撤去を進めるほか、汚染土壌の浄化等により原状回復を図ります。

政策の第7は、「『いわてを支える基盤』の実現」であります。
平泉の世界遺産登録を契機とした観光振興を図るため、いわて花巻空港の利用促進に加え、主要観光地の景観保全やアクセス道路の整備などに取り組みます。
また、道路環境の改善、地震、洪水等の自然災害への対策などを通じて、県民誰もが安心して暮らすことができる基盤づくりに取り組みます。
大震災津波により来年3月末まで延期された地上デジタル放送への完全移行に向けては、県で設置した地上デジタル放送電話相談窓口を通じて、県民の問い合わせへの対応や不安解消に努めて参ります。

むすび

平成23年6月、フランスのパリで開催された第35回ユネスコ世界遺産委員会において、「平泉 仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」が世界遺産に登録されました。
この文化遺産として東北地方で初となる登録は、岩手、東北に大きな勇気と誇りを与えました。
私も、世界遺産委員会に出席し、登録決定の際には、スピーチをする機会をいただき、東北の人々を代表して、世界遺産登録に対する御礼と次世代への遺産の継承への決意、今回の大震災津波への世界中からの多大な御支援に対する感謝の気持ちを伝えました。

委員国をはじめ各国の代表が平泉の世界遺産登録を温かく祝福し、その思いが大震災津波への共感と重なって、会場内に大きな拍手が広がり、この登録を通じて、あらためて世界との「つながり」を強く意識したところであります。

奥州藤原氏の初代清衡公は、東北地方の中心に位置した平泉に拠点を置き、激しい戦乱で荒廃した国土を復興し、戦乱のない平和な理想郷を実現するため、「人と人との共生」、「人と自然との共生」の理念のもと、この世の浄土を創ることを目指しました。
こうした、自然への畏敬の念を忘れず、人間の尊厳を尊重するという考え方は、災害に見舞われた東北の復興に向けた理念と共通することから、先般、「東北復興平泉宣言」を発表し、この崇高な理念のもとに、県民と共に復興を進める決意を宣言したところであります。

くしくも、平泉が世界遺産に正式に登録となった6月29日という日は、松尾芭蕉が約300年前に平泉を訪れ、有名な「五月雨の 降のこしてや 光堂」の俳句を詠んだ日と一致します。
芭蕉の句にある、中尊寺金色堂の金色に輝く光は、被災地を照らし続ける復興の象徴であり、希望の光であります。

今回の登録を「開かれた復興」の契機とし、国内外で培われた新たな「つながり」の芽を大切に育みながら、誰もが再び人間らしい日々の生活を取り戻すことができる人間本位の復興を成し遂げ、県民一人ひとりが希望を持ち、黄金に光り輝く岩手となるよう、全力で邁進していく覚悟であります。

最後に、ここにおられる議員の皆様並びに県民の皆様の深い御理解と更なる御協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明を終わります。

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