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(社)内外情勢調査会盛岡支部講演「復興に取り組む岩手とその未来」

ID番号 N22048 更新日 平成26年3月4日

とき:平成25年12月16日
ところ:ホテルロイヤル盛岡

1 はじめに

この内外情勢調査会で知事として講演するにあたり、本日は、「復興に取り組む岩手とその未来」と題し、お話しします。
今の岩手県にとって一番重要なのは、やはり東日本大震災津波からの復興でありますし、今年は「復興加速年」と位置付けまして、県を挙げて立ち向かいました。
東日本大震災津波の発生から2年9カ月が過ぎまして、応急復旧を終えて本格復興への基盤整備を進めてまいりました。しかし、未だ岩手県だけで、約3万5千人の方々が不自由な仮設住宅等での避難生活を送っています。
東日本大震災津波の発生直後に私が唱えました復興の二大原則、「被災者の幸福追求権を保障すること」、そして「犠牲者の故郷への思いを継承すること」、この2つをしっかりと心に刻み、被災された方々一人ひとりの復興が果たせるように、全力で取り組んでいかなければなりません。
一方、今年は、岩手県にとりまして未来が開けてくるような明るい話題がありました。ILC国際リニアコライダーの国内建設候補地が、研究者の組織によって岩手県北上山地に一本化されました。三陸ジオパークが日本ジオパークに認定されました。そして、久慈地域とその周辺を舞台としたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」が全国のお茶の間を賑わせ、社会現象にまでなりました。
来年は、このような岩手県の未来を開く要素を復興の力として、復興の推進とその先にある「希望郷いわて」の実現に向けて政策を展開して参りたいと思います。

2 復興加速年における県の取組

(1) 復興の状況

それでは、東日本大震災津波からの復興の状況についてお話をします。
県は、予算作成の段階から復興に取り組む初めての年となる昨年を「復興元年」と呼び、そして今年を「復興加速年」と位置付けました。こうした言葉の使い方は国のほうでも同様でありまして、岩手県も安倍内閣も「復興加速年」を共通のスローガンとした格好になっています。また、県の復興基本計画では今年は基盤復興期間の最終年であり、本格復興に向けた足固めとなる事業を展開してまいりました。
岩手県の現在の復興状況について、復興基本計画の3つの原則に沿って説明します。

ア 「安全」の確保

《災害廃棄物の処理状況》

まず、「安全」の確保。災害廃棄物の処理状況ですが、岩手県において発生した災害廃棄物の全体推計量は約525万トン。岩手県の一般廃棄物の年間発生量の約12年分にあたります。
その膨大な災害廃棄物の処理を、県内市町村の焼却施設や仮設焼却炉、そして、太平洋セメント大船渡工場などにおいて進めています。岩手県には焼却施設や最終処分場が少ないので、他の県の自治体にも処分のお手伝いをしていただいています。
これまで、東京都や静岡県、大阪府などの全国各地の自治体に災害廃棄物の処理を受け入れていただいています。今年の10月末時点で、全体の82.7%、約434.2万トンを処理しました。
処理したもののうち、87%にあたる350万トンは資源として再利用しています。今後も環境負荷の少ない方法による処理に努めてまいります。87%、350万トンが資源として再利用されています。
なお、津波堆積物約145万トン、それからコンクリートがら約180万トンについては、復興資材として県内の公共建設工事を中心に有効活用することとしています。
目標である来年3月までの、災害廃棄物処理完了の目途が立っているところです。

《復興道路整備》

次に、復興道路の整備の状況。今年度は、5月15日の釜石山田道路大槌町区間の着工式を皮切りに、各地の復興道路の整備予定地で起工式が行われています。
そして、10月13日には、本県の復興道路として位置付けられている「三陸沿岸道路」において、震災後初めての開通となる「普代道路」の延長4.2キロメートルが供用開始されて、開通式が行われました。
11月18日には、本県の「三陸沿岸道路」のうち、普代村から田野畑村にかけての「尾肝要普代道路」8キロメートルの起工式が行われました。これによりまして、震災後に新規事業化されたものを含め、岩手県内の三陸沿岸道路の延長213キロメートル全線において工事着手となりました。
これまで、復興道路の計画延長393キロメートルのうち、114キロメートル、29%しか供用されていませんでした。これに事業に着手した延長を加えますと、359キロメートル、91%となり、ほぼ全線で事業に着手したことになります。
大震災を契機に計画から着工への動きが格段に進み、これまでにないスピードで復興道路の整備が進められています。本県の道路の整備は、長年の課題であった都市間所要時間の短縮や、災害時の防災力強化などに大きな効果があります。三陸沿岸地域から県内全域に復興道路の整備効果を波及させ、震災からの早期復興につなげていきます。
かつて、カスリン・アイオン台風が戦後直後の岩手を襲い、大きな被害を出しました。当時、後に知事となる阿部千一副知事は、国に働きかけて、北上特定地域総合開発計画を実現させました。国の直轄事業を主体として北上川流域に5大ダムを造り、治水や発電、工業用水や農業用水も確保し、三陸縦貫鉄道の整備も進めるなど、一大開発を進めました。
岩手の三陸海岸を縦に貫き、沿岸部と内陸部を結ぶ復興道路の完成は、明治近代化以来の悲願である沿岸地域と北上高地の開発、そして岩手全体の総合開発をついに実現するものであります。復興のリーディング事業として大いに期待されるところです。

《三陸鉄道の復旧》

そして、あの三陸鉄道でありますが、今年4月、盛駅と吉浜駅の間で、南リアス線では震災後初となる運行再開が行われました。
残るのは、北リアス線の田野畑駅から小本駅間、それから、南リアス線の吉浜駅から釜石駅間です。これら区間については、来年4月の運行再開を目指しておりまして、今のところ予定通り来年4月に三陸鉄道は全線で完全復旧となります。
来年は三陸鉄道30周年の年でもありますし、そして「あまちゃん」放映1周年にもなります。
「あまちゃん」では、毎日、三陸鉄道の車両や北三陸の素晴らしい風景が映し出されました。県外からも多くの方々が、「あまちゃん」ロケ地を訪ねるいわば“聖地巡礼”が行われました。三鉄でも、「あまちゃん」にちなんだイベントや、三鉄のアイドル「久慈アリス」の誕生祭も開催され、多くの人で賑わいました。
今後は、北リアス線と南リアス線の間を走るJR山田線を早期復旧しなければなりません。

イ 「暮らし」の再建

《災害公営住宅整備》

さて、次に「暮らし」の再建についてです。現在、県と市町村において、応急仮設住宅に住む皆さんのための公営集合住宅である災害公営住宅の整備を進めています。
県が整備した初の災害公営住宅が今年3月に野田村に完成、8月には大槌町吉里吉里地区に完成しました。それぞれ村と町に引き渡してあります。応急仮設住宅等で不自由な生活を送ってきた被災者の方々が入居し、新しい生活を始めています。
岩泉町や釜石市、大船渡市などでも災害公営住宅が完成し始め、被災者の入居が始まっております。また、山田町や陸前高田市などで建設に着手されています。現時点での整備予定戸数は、県整備分2,905戸、市町村整備分3,181戸、合計6,086戸になります。

《医療提供施設の復旧状況》

震災では、病院などの医療機関が、沿岸部で180箇所、全県では418箇所、被害を受けました。そのうち、全壊や大規模半壊などの大きな被害を受けた施設は、全県で149箇所、そのうちほとんどの143箇所が沿岸部に集中しています。
被災した医療機関は、11月1日現在、沿岸部で137箇所が再開、全県で373箇所が再開しています。
全壊等により現状復旧が困難な医療施設については、仮設診療所を整備し被災した医師等に運営をしていただいております。建物の復旧が可能な医療機関については、国の災害復旧費補助や地域医療再生基金を活用した支援を行っています。このほか、歯科巡回診療車の整備や施設整備への融資に関する情報提供の支援を行っています。

《学校施設の復旧状況》

本県の沿岸部の小中学校や高校などの学校施設は、公立学校と私立学校を合わせて、94校が被災しました。地震による内陸部の被害も合わせると、438校の学校が被災をしました。
県では、これらの学校施設の復旧を図るとともに、大型バスの借上げなどによって通学手段を確保しています。中長期的には、学校の防災機能強化として災害時用物資等の備蓄倉庫、厨房等の避難者利用設備などの整備を推進していきます。
沿岸部の県立学校、これは高校と特別支援学校ですが、復旧工事は、10月末現在被災19校中17校で完了しています。沿岸部の市町村立学校、つまり小中学校では、被災67校中43校で完了。沿岸部の私立の学校、これは全て幼稚園でありますが、被災8校中7校で完了しています。

ウ 「なりわい」の再生

《農林水産業》

最後に、3つ目の原則「なりわい」の再生についてです。
岩手県の沿岸部の産業の柱である水産業の関係でありますが、1万4千隻あった岩手県の漁船は、津波によって、そのほとんどの1万3千隻以上が流されてしまいました。その後、私が国に強く訴えた漁協を核とした復旧の制度で漁船の一括整備が進みました。補助事業による新規登録漁船の今年度末整備目標は6,800隻ですが、10月末現在で6,107隻、89.8%の整備が完了しています。補助事業以外の漁船数と合わせますと、稼働可能の漁船は1万隻を超えています。
また、養殖施設についても、今年度末整備目標の19,885台に対して、10月末現在で17,082台、85.9%の整備が完了しています。
今年の5月には、釜石湾漁協が震災後初めてウニ漁を再開しました。先月には、陸前高田市のカキ養殖業者が、生食用殻付きカキを出荷するまでに復活しました。
今年4月から6月の3カ月間の本県産地魚市場の水揚量は約1万8千トンで、震災前の3年間の平均約2万1千トンの86%まで回復しました。岩手の漁業の主力であるサケは平成22年度の約7割、漁獲量全国一のアワビの今年の漁獲量は震災前の平成22年度を超えました。水産業の再生に向けた動きが、さらに活発化してきています。
続いて、農業について。沿岸被災地で、津波による多量の災害廃棄物や土砂堆積物、塩害などの被害を受けた農地は725ヘクタール。現在、復旧工事が進んでおりまして、本年8月までで248ヘクタールが復旧しています。このうち180ヘクタールについて営農が再開され、水稲を中心に、野菜、飼料作物等が作付されています。
岩手の沿岸、特に沿岸南部は比較的温暖で日当たりもよいので、ビニールハウスを使った園芸作物の新展開にも力を入れていきます。

《商工業》

商工業関係でありますが、「平成25年第2回被災事業所復興状況調査」を今年8月実施していますけれども、「再開済」または「一部再開済」と回答した事業所の割合が77.7%です。
一昨年から盛んに活用されている中小企業等グループ補助金は、現在、第9次の公募を行っています。累計で102グループ、1,193者に対し、約765億円の交付を決定しています。
なお、被災地では、まちづくりのための嵩上げや区画整理などに必要な事業用地の確保に、3年から8年程度かかると見込まれておりまして、商店の完全復活には相当の時間を要します。
そのため、グループ補助金の事業継続や小規模事業者に対する要件の緩和などについて国に要望していきます。また、商工団体と連携した専門家の派遣や巡回指導などの支援、産業復興相談センターの訪問相談や返済猶予・新規融資等に関する金融機関との調整などを通じて、被災企業への支援を行っていきます。

《観光業》

次に、観光業の状況について。
昨年4月から6月に実施した「いわてデスティネーションキャンペーン」、その後に実施した「いわてDCありがとうキャンペーン」、さらに平泉世界文化遺産による本県への誘客効果を維持・拡大させるため、県では、今年4月から9月にかけて「うまっ!いわて観光キャンペーン」を実施しています。
また、同じ時期、「あまちゃん」の効果で、岩手県の注目度は大きく高まっています。
今年の7月から9月における県内の主要観光地入込客数は約170万人回。前年の同時期と比べますと4.3%の減なのですが、震災前の平成22年と比較しますと、14.9%の増となっています。
特に「あまちゃん」関係では、大勢の方々がドラマのロケ地を巡る“聖地巡礼”を行いました。ドラマに出てきた“まめぶ汁”や“ウニ弁当”を食べ、三陸鉄道に乗ってくれています。中でも久慈市の小袖漁港では、ゴールデンウィーク期間中だけで、例年の年間来客数の2倍、約1万4千人の方々が押し寄せるという空前の入込数となりました。
それから、台湾で11月18日から「あまちゃん」が放映されています。台湾の方々も「あまちゃん」を観て、「あまちゃん」を好きになって、北三陸に来てみたい、岩手に来てみたい、という、いわゆる“聖地巡礼”する方々が大勢来ていただけると思います。
この「あまちゃん」効果はこれからも生かしていかなければなりません。今後も、県北沿岸地域への誘客に重点をおきながら、PRや誘客事業を展開していきます。
津波の被害を受けた沿岸部のホテル等大型宿泊施設も営業をどんどん再開しておりまして、より多くの方々に泊まっていただけるようになっています。

(2) 復興に向けた課題

このように、復興が順調に進んでいる分野もありますが、復興に向けては大きな課題も存在します。

ア 復興に携わる自治体職員の不足

まず、復興に携わる自治体職員の不足であります。
岩手県には、発災直後から現在まで、全国の自治体から多くの応援職員が被災市町村に入っていただいています。また、被災市町村でも任期付職員の採用や民間企業からの派遣受入れにも取り組んでおりまして、「地元自治体」プラス「全国からの応援」で対応をしています。
しかし、被災市町村の投資的経費の予算、普通建設事業費プラス災害復旧事業費の合計でありますけれども、これは、震災前の15倍という大幅増でありまして、被災地のまちづくりや災害公営住宅の建設等もこれからがピークを迎えるところであります。
復興事業がこれから本格化しますと、それを支える職員もさらに多く必要になるわけでありまして、被災自治体では、土木や用地関係を中心に、まだまだ多くの人財を必要としています。
そのため、県では、全国市長会、町村会等を通じ、また、直接県外の自治体を訪問して、応援職員の必要性を訴えて、職員派遣のお願いをしております。

イ 円滑な復興事業の用地確保

大きな課題の2つ目は、復興事業に必要な用地を確保するために、膨大な作業が必要であり、かなりの時間がかかっているということです。
県の事業だけで、防潮堤復旧事業や道路事業などのために取得すべき用地は、162地区の多数にのぼります。
10月末現在、その162地区うち146地区、契約件数にしますと4,759件分の権利者調査を実施しましたが、約3割にあたる1,501件に相続未処理や共有等の懸念事項が判明しています。
特に、相続未処理が633件と多数ありまして、権利調整の長期化が懸念されます。今後、相続調査や用地交渉の進展によって、懸案件数がさらに増加することも予想されています。
市町村事業も合わせますと、契約予定総件数は約2万件。そのうち懸案件数に入るかどうか分類できていないものが約6,400件もあるのですが、それを除いても、懸案件数は県事業と市町村事業を合わせると4千件程度あると見込まれます。
県や市町村では、用地確保、土地利用手続について、スピードアップを図るための様々な工夫や改善策に取り組んでいますが、そうした現場の努力を積み重ねても、まだ膨大な労力そして時間を要しますので、行政手続を抜本的に簡素化するために「事業用地の円滑な確保に向けた特例措置」、言わば「大震災特例」が講じられるように、国に要望してきているところであります。
国の復興庁では、岩手県の要望等を受けまして、「住宅再建・復興まちづくりの加速化措置」を打ち出すなど、一定の前進はあります。しかし、現行制度の中での運用改善にとどまっておりまして、法律や制度そのものを変えるところまでは踏み込んでいません。
そこで、岩手県では、6月から部局横断組織「土地制度設計検討ワーキング・グループ」を発足させ、8月からは岩手弁護士会と協働で、具体的な特例措置の設計を行っていました。
11月にその具体案がまとまって、11月27日、私が政府の関係省庁や与党などいくつかの政党に要望活動を行いました。
現行の土地収用制度では、どんなに急いでも、工事の着工までに約1年半から2年間かかります。岩手県の案では、復興事業の公益性認定の特例という形で土地収用の対象を拡大し、第三者機関である「機構」というところに私有財産との調整手続や補償金の支払手続等を担わせて、工事着工までの期間を約半年程度に短縮するというものです。
私が根本復興大臣に要望した際には、大臣の方から、私有財産に関する土地利用の拡大・簡素化に関して憲法上の懸念が示されたりしたのですが、用地確保の円滑化・迅速化に向けて、個別具体の事例に基づきながら今後さらに協議を継続していきましょう、ということになっています。
今後、被災市町村との連携も密にしながら、法律上の問題点について国側と協議を重ねて、大震災特例措置を講じていただけるように、引き続き強力に求めてまいります。

ウ 復興に必要な財源の確保

復興に必要な財源の確保。これまで、岩手県からも国に対し強く要望してきているところで、震災復興特別交付税の追加措置、震災遺構への復興交付金の充当など一定の措置が講じられてきています。
復興事業の本格化を目前に、政府が復興特別法人税を1年前倒しして廃止することを決めました。これについては、廃止見合い分の財源をしっかり確保していただかなければなりません。
復興に必要な取組を確実に実施するための財源の確保や、被災地の多様なニーズに迅速・的確に応えることのできる自由度の高い財源の措置などについて、引き続き、国に対して強く要望してまいります。

エ JR山田線の復旧について

東日本大震災津波から復興するために、沿岸を南北につなぐ鉄道の復旧を、被災した住民の方々も、そして自治体も待ち望んでいます。
そのうち、三陸鉄道は、先ほどもお話しましたとおり、国や国内外から、―クウェートからの寄付もいただいています―大きな支援のもと、来年4月の全線復旧に向けて工事を急いでいますが、JR山田線とJR大船渡線については、未だJR東日本から復旧方針が示されておらず、県も沿岸自治体も困っているところであります。
JR東日本には、地域の公共交通を担う鉄道事業者として、一日も早く山田線、大船渡線の復旧宣言をしていただき、力を合わせて復興を強力に進めていきたいと思います。
特にJR山田線は、三陸鉄道の北リアス線と南リアス線をつなぐ鉄道線であり、三陸鉄道の運行の観点からもその復旧が極めて重要であることを付け加えたいと思います。

(3) 動き出した「未来に追いつく復興」

さて、昨年の、この内外情勢調査会盛岡支部の私の講演では、「未来に追いつく復興」という話をしました。
「未来に追いつく復興」というのは、あの3月11日の時点に、復興計画期間の8年をかけて戻すというそういう復興ではなく、8年後の岩手のあるべき姿をビジョンとして描き、その未来に8年かけて追いついていく復興を推進していくこと、これが「未来に追いつく復興」であります。
県の復興基本計画には、長期的な視点に立ち、世界に誇る新しい三陸地域の創造を目指すためのリーディング・プロジェクトとして「三陸創造プロジェクト」というものを掲げています。
ILC国際リニアコライダーを核とした国際学術支援エリアの形成、三陸ジオパーク構想、再生可能エネルギーの利活用の促進、復興活動を契機とした交流人口の拡大などがその中に盛り込まれています。

3 大いなる岩手の未来を創造する

「未来に追いつく復興」の代表として、今まさに動いている、あるいは中長期的展望を持って取り組んでいる4つの中核的プロジェクトを紹介します。

(1) 「国際リニアコライダー」(ILC)は岩手に

まず、ILC、国際リニアコライダーです。
ILCは、岩手県が約20年前から調査研究を始め、誘致に向けて活動を行ってきました。今年8月23日に、研究者で組織するILC立地評価会議が日本の候補地の北上山地一本化を発表し、誘致活動は新たな局面に入ったと言えます。
ILCというのは、全長約31キロメートルから50キロメートルの直線地下トンネルに超伝導技術を駆使したハイテク装置を並べた加速器施設です。電子と陽電子を非常に高いエネルギーで衝突させ、宇宙ができた直後の世界を再現します。物質の質量をつかさどるヒッグス粒子を精密測定するなどして、宇宙創成の謎を解き明かそうとするものであります。
この施設は、世界のどこか1カ所に建設するということが研究者間で合意されていますが、正式に建設を表明した国はまだありませんで、世界の素粒子物理学者など関係者の間では日本に期待する声が高まっています。
日本政府は、東京オリンピック誘致の趣旨でもある「世界に貢献できる日本」という自覚をもって、ぜひ、科学研究の「日本が主導する初の国際プロジェクト」としてILC国内建設を、速やかに正式発表してほしいと思います。
ILCの拠点は、東北に造られる方向でありまして、ILCの建設を含む東北復興の姿、さらには日本再生のビジョンについて、国民的な合意を取りつけるべき時期にあると思います。
経済同友会や日本商工会議所など経済界も、日本政府が早急にILC建設を表明し、国としての受入体制を構築すべきという立場です。
ちなみに、日本学術会議では、建設予算の捻出の問題や国際的経費負担、研究者人員の確保等の問題を掲げ、ILC計画の我が国における本格実施を現時点において認めることは時期尚早であり、諸課題を政府が2、3年かけて検討を進めるということを提言しています。
ILCの国際推進組織でありますリニアコライダー・コーポレーション(LCC)は、最高責任者リン・エバンス氏一行が10月17日に岩手県を訪問し、現地視察をしました。
その際、私も訪問した皆さんと懇談をしましたけれども、建設地について「北上山地に限って検討していく」ということでありました。一方、「建設では多くの国の貢献も必要。その国際交渉を始めるに当たり、日本政府の意志表明がほしい」という意見もありました。
日本政府や関係筋に対する働きかけはもちろんですが、外国政府の理解を得ていくことも重要であります。
私が今年8月、復興報告会でアメリカを訪問した際も、ニューヨークとワシントンDCで、アメリカ政府関係者や民間団体の方々などにILCの実現に向け直接説明をし、働きかけを行いました。
今年9月には、東京の帝国ホテルで開催された「日本・米国中西部会」において、アメリカ中西部の州知事の皆さんや日米の財界人らに同様の説明をいたしました。
今後も機会あるごとに、国内はもちろん、外国の政府や要人の方々にも、東北でのILC実現を積極的に訴えていきます。
ILCは多くの国が参加する国際プロジェクトでありまして、建設地の周辺自治体には、外国人の研究者等が数千人居住することが見込まれます。ILCの受入れ環境整備など“国際化に向けた課題”に、地域として着実に取り組む必要があります。
現在、県庁内に、外国人研究者の子弟の教育、医療の体制整備、まちづくり、産業振興の4つのワーキンググループを設置して、検討を開始しています。関係する市や大学、民間団体、住民の皆さんとも連携して、具体的な受入れの準備を進めています。
地元としてあらゆる努力を惜しまず、やれることは何でもやるという覚悟で対応していきたいと思います。

(2) 「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会」の開催

さて2番目。平成28年10月に開催する第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」そして第16回全国障害者スポーツ大会「希望郷いわて大会」です。
『広げよう 感動。伝えよう 感謝。』これをスローガンに、現在、急ピッチで準備を進めています。
東日本大震災津波により、一時は、岩手県での開催が可能かどうか検討されるという時期もありましたが、ぜひやりたいという県民の声、特に沿岸被災地からの声を踏まえて、開催を決定しました。
県内の経済団体、関係団体、各市町村、さらには全国の関係機関、団体からのご支援と協力に、改めて感謝を申し上げます。
この「希望郷いわて国体」と「希望郷いわて大会」が開催される平成28年度は、県の復興基本計画における「本格復興期間」の最終年度に当たります。
震災からの復興に取り組んでいる真最中での開催です。「復興のシンボル」として復興の力となる国体をめざし、「県民との協働」を基本に、県民の総力を結集して開催したいと思います。
「希望郷いわて国体」は、平成28年10月1日から10月11日までの11日間、開会式と閉会式は北上総合運動公園北上陸上競技場において開催します。
正式競技37、公開競技4、特別競技としての硬式・軟式高校野球、デモンストレーションスポーツ29競技、県内の全ての市町村において実施をします。
全国障害者スポーツ大会「希望郷いわて大会」は、10月22日から24日の3日間、陸上・水泳などの個人競技6、バスケット・バレー・サッカーなどの団体競技7が行われます。
この2つの大会には、選手・監督・大会役員、観客など、延べ約93万人が来場すると見込まれます。観光面での経済波及効果は、82億円程度になると試算されます。
国体のそもそもの趣旨は、国民体育大会開催基準要項に定められているように、「広く国民の間にスポーツを普及し、スポーツ精神を高揚して国民の健康増進と体力の向上を図り、併せて地方スポーツの振興と地方文化の発展に寄与するとともに、国民生活を明るく豊かにしようとするもの」です。
しかし、ほとんどの国体で、開催都道府県が天皇杯、男女総合1位を獲得しておりまして、いわゆる「勝利至上主義」と揶揄する向きもあります。2002年の高知国体のみ、開催県の高知県が10位という成績でありました。
岩手県におきましては、現在、全国の自治体から多くの応援職員派遣をいただきながら、復興事業に人的・財政的資源を集中投入しているという事情もありまして、今のところ、天皇杯8位以内の入賞を目標にしております。日々、選手の育成・強化に努め、天皇杯8位以内の入賞を目標にしております。
今年9月から10月にかけて東京で行われた国体では、岩手県選手の目覚ましい活躍がありました。特に種目別で優勝した陸上少年女子B200メートル川村和巳選手、ハンドボール少年男子、成・少年女子共通400メートルリレーなどの大活躍が今も記憶に新しいところです。
本県のお家芸とも言えるホッケーやボクシング、サッカー、自転車なども準優勝や第3位獲得を果たすという活躍をして、今回は天皇杯23位と、昨年の岐阜国体の39位から大きく躍進をしました。
その他の競技も含め、2年10カ月後に迫ったいわて国体に向けて、今後の育成を進めてまいります。
それから、冬季大会について。これは、県議会の今年2月の定例会で開催を求める全会一致の決議がありました。そして8月には岩手県体育協会と関係競技団体から開催要望書の提出がありました。
こうした動きを踏まえて、県としては、第71回国民体育大会を冬季大会と合わせた『完全国体』として岩手で開催するということにいたしました。
「オール岩手」の体制で、全国の皆様を心のこもった温かいおもてなしでお迎えし、大震災からの復興に向かって力強く前進する岩手県の姿を見ていただき、全国からのご支援に対する感謝の気持ちをしっかりと伝えたいと思います。
両大会、冬季国体も含めまして、その成功に向けて、一層のご協力をよろしくお願いいたします。

(3) 平泉の文化遺産は世界の宝

ア 「平泉世界遺産の日」県条例の制定へ

次に、「平泉の文化遺産」についてであります。平泉は、震災の3カ月後、2011年、平成23年6月に東北地方では初となる世界文化遺産に登録されました。復興に向かう希望の光として、岩手のみならず東北全体に大きな勇気と誇りを与えてくれました。
平泉は、「人と人との共生」、「人と自然との共生」この理念を体現しています。「人と人との共生」というのは言い換えますと、平和。「人と自然との共生」とは、環境。今日の世界にとっても重要な理念であります。
このような普遍的理念を平泉が体現しているということが平泉の価値でありまして、これを県民の共通認識として、国内外への情報発信にこれまで積極的に取り組んできました。
今年6月には、平泉町と一関商工会議所等が中心となって、「平泉の日を実現させる会」が設立されました。「平泉世界遺産の日」を制定するよう、県と県議会に要望がありました。
この件について、沿岸市町村長の皆さんや有識者の皆さんに意見聴取やアンケートを行いましたところ、特段の異論は出されず、全ての関係者が趣旨に賛同の意を示してくださいました。
そこで、平泉の文化遺産について、県民の理解を深め、適切な保存により次世代へ継承していくとともに、遺産を活用した地域振興を図り、もって、人と人、人と自然が共生した持続可能な地域社会を築くため、6月29日を「平泉世界遺産の日」として、県条例を制定する方向で取り組むこととしました。
10月1日から1カ月間のパブリックコメントを終えて、条例案を検討しており、2月議会への提出を目指しています。

イ 平泉のカエル戯画キャラクターによるPR

さて、このカエルのイラストでありますけれども、これは平泉の柳之御所遺跡から出土した「平泉のカエル戯画」をイラスト化した県の新しい公認キャラクターです。名前を公募しまして、応募総数419作品の中から、「ケロ平(けろひら)」と命名されました。清衡、基衡、秀衡、泰衡、ケロ平という、そういう名前です。
去年10月に、柳之御所遺跡で折敷片(おしきへん)という木片が発掘されたのですが、そこにこのカエルの絵、扇を持つカエルの絵が擬人化されて墨で書かれていたということで、これは京都の国宝「鳥獣人物戯画」が描かれたのとほぼ同時期の12世紀後半のものと推定されています。
鳥獣戯画は日本のマンガの元祖と言われてきていますけれど、同じ時代に岩手にも同じようなマンガ元祖があったということで、そういう観点からも大変素晴らしいと思っております。この目が白丸の中に黒丸で描かれていて、これも鳥獣戯画と比べますと、平泉のカエルの絵の方が今のマンガにより近いので、こっちの方が日本のマンガ元祖と言っていいのではないかと思っております。
文化財としての由緒正しさというのも大事なのですけれども、同時に、クールジャパン・日本マンガ史上の重要性もアピールして、県では「ケロ平」を公認キャラクターとして、積極的に活用してまいります。

ウ 県内外・国内外への平泉理念の更なる普及、浸透

平泉については、このほかにも、テレビ、ラジオ、インターネット、広報紙などあらゆる媒体を用いて、県内外に発信しています。シンポジウムや講演会も盛んに開催しています。
また、私や教育委員会事務局職員が県内小中学校に出向いて「平泉授業」というのを行っています。子どもたちは積極的に平泉について学んでくれておりまして、次世代への継承に手ごたえを感じています。
さらに近年は、海外への情報発信にも積極的に取り組んでいます。海外事務所のある中国と韓国のほか、フランスのパリ、イギリスのロンドン、ブラジルのリオデジャネイロ、オーストラリアのシドニーなどのイベント会場で平泉のポスターを掲示し、パンフレットを配布するなどのPRを行っています。
今年8月の、アメリカ・ニューヨークでの復興報告会でも、私のスピーチの中で平泉について紹介しましたし、レセプション会場で平泉紹介ブースを設置しました。
平泉の文化遺産に込められた平和の祈り、また、この世に生まれたものは敵味方の区別なく、人間以外の生き物も含めて皆平等であるというような「平和と環境」の共生理念、これは、世界中で共有されるべきものでありますので、今後も普及活動に力を入れていきたいと思います。

(4) 「三陸ジオパーク構想」の日本ジオパーク認定

さて、4つ目の「三陸ジオパーク」。
今年9月24日に、三陸沿岸が晴れて日本ジオパークに認定されました。
「ジオパーク」というのは、日本ジオパークネットワークによりますと、「ジオ(地球)に親しみ、ジオを学ぶ旅、ジオツーリズムを楽しむ場所」、「山や川をよく見て、その成り立ちとしくみに気付き、生態系や人間生活との関わりを考える場所」そして、「足元の地面の下にある岩石から宇宙まで、数十億年の過去から未来まで、山と川と海と大気とそこに住む生物について考える、つまり地球を丸ごと考える場所」、と解説しています。
「三陸ジオパーク構想」は、三陸地域の自然や地形地質、災害の痕跡などの地球活動の遺産を保全し、それらの資源を教育やツーリズムなどに活用しながら地域の持続的な発展を目指すというものです。構想のテーマは『悠久の大地と海と共に生きる~震災の記憶を後世に伝え学ぶ地域へ~』としています。
平成23年2月、国・県・関係市町村・大学など34団体で「三陸ジオパーク推進協議会」を設立し、取り組んできました。
対象エリアは、今年5月、従来の陸中海岸国立公園を拡張する形で創設された「三陸復興国立公園」とほぼ同じエリアです。青森県八戸市から宮城県気仙沼市に至る3県16市町村にまたがる広大な地域。海岸線は300キロメートルを超え、日本最大のジオパークになります。
三陸ジオパークの中には、見所であるジオサイトが48カ所あります。浄土ヶ浜、北山崎、龍泉洞などの名所や、陸前高田市の高田松原や宮古市田老の防潮堤など東日本大震災の遺構も含まれます。具体的な構成遺産であるジオポイントは、地質遺産101カ所と震災の関連遺構29カ所の、計130カ所になっています。
風光明媚な自然景観に、ジオ(地球活動)という新たな切り口で、科学的な知識や歴史・文化に関する情報を掘り下げて楽しもうというジオパークの活動は、21世紀の高度情報化社会において頭も使って体も動かし、自然と人間がより高い次元で一体になろうとするものであり、震災で疲弊している三陸が観光・地域づくりで未来に向かう創造プロジェクトになります。
日本ジオパークの認定は、三陸地域にとって大きな希望。推進協議会が先進地域のジオパークの事例を学びながら、これまで以上に三陸ジオパークの魅力向上に取り組み、それが三陸地域の活性化や持続可能な地域づくりに結びついていくことを期待します。
そして、次は、「世界ジオパーク」の認定を目指すための活動を進めていきます。

4 若者と女性が活躍する岩手

さて、復興を進め、未来に向かう岩手にとりまして、決定的に重要なのが、「若者」と「女性」であります。
1980年以後に生まれた若い世代を、アメリカでは世紀の変わり目に育ったという意味で「ミレニアル世代」と呼んでいます。中国では「八〇後」の中国語読みで「パーリンホウ」と呼んでいます。どちらも国の未来を背負って立つ大きな期待が寄せられていまして、日本も負けてはいられないと思っております。
そして、「女性」については、日本の経済・社会での「女性」のさらなる活躍の必要性が指摘されており、安倍内閣も力を入れている分野です。
大震災を経まして、現在、多くの若者や女性が復興の現場で大きな力を発揮しています。その皆さんが、復興の一歩先を行っているなという印象を受けています。
「若者」と「女性」のさらなる活躍が、“復興”と、そして“大いなる岩手の未来創造”のために大変重要であると感じています。
「あまちゃん」でも、元気な若者や女性が前面に出て引っ張っていくことで、地域振興を成功させ、日本を元気にし、復興を力強く進めるという様子が描かれました。これを現実のものにしていきたいと思います。
被災地で既に活躍している例としては、釜石に住む女子中学生が「SHIBUYA109」の運営会社社長あてにしたためた手紙がきっかけとなって、「SHIBUYA109 KAMAISHI」というイベントが、8月16日から18日、「シープラザ釜石」内でオープンして、東京の人気モデルと地元女子中学生によるファッションショーが実現しました。
大船渡市内の小学校全児童が12センチメートル角の用紙に「自分の夢」や「将来の大船渡像」の絵を描き、集まった約1,600枚の絵を縮小してつなぎ合せて『復興未来図』を作りました。8月3日に、JR大船渡駅前イベント特設会場で「大船渡復興グルメフェスティバル」が開催され、そこで披露されました。
大槌小学校の6年生が、9月に行われたワークショップ「ふるさと大槌・夢ケーキワークショップ」で描いたイラストをもとに、「夢ケーキ」として本物のケーキを作りました。みんなで完成したケーキを食べながら「自分の夢」を語り合いました。
被災地の復興の中で、多くの若者や女性が様々な形で大きな力を発揮しています。
県としても、今年の9月から部局横断的に若者と女性の活躍を推進する体制を強化しておりまして、今後、様々な施策を展開してまいります。

(1) 若者の活躍で地域の活性化を

実際に県内の若者と話してみますと、地元で暮らしたい、働きたいという地元志向が強くなっているなと感じます。地元のため、岩手の復興のために貢献したいという志の高い若者が多くなっていまして、大変心強く感じます。
これまでは地元に残りたくても、なかなか希望する仕事に就職できなかったわけですが、来春卒業予定の県内高校生の就職内定状況を見ますと、10月末時点の就職内定率が全体で78.1%、県内就職希望者は75.1%で、それぞれ昨年同期よりも4.7ポイント、6.2ポイント上昇しています。県内就職内定者数は1,567人、前年同期より73人、4.9%増加しています。
県内就職者数が全体に占める割合も61%と、過去10年間で最も高い割合になっています。
「若者」の活躍に対する時代の要請、そして地域の必要性、これに岩手の若者たちは既に応えはじめていますし、行動を起こしています。県も負けてはいられないということで、県として、「若者が活躍する地域づくりプロジェクト」を立ち上げました。
これは、岩手の地域づくり・復興を担う若者の自主的活動を促進し、また、これを支える組織・人脈・ネットワークを形成することを通じて、県内外の多様な主体のつながりによる元気な地域づくりに資することを目的とするものです。
来年の1月か2月に、若者の活動・参画の場となる「いわて若者会議」を設置することを考えています。取組開始にあたっては、キックオフイベントや、地域行事で活躍している県内の大学生・専門学校生による意見交換会などを考えています。
ちなみに、私が知事に就任して以来、県庁内の若手職員に部局横断的に政策を研究・企画してもらうため、様々なチームを発足させて、自由な発想で柔軟に検討してもらうということをいろいろやってまいりました。例えば「Web戦略チーム」ですとか、「IWATEの中の岩手探し2020WG」などといった取組がありました。
今回も、県庁内に「若者施策に係る庁内クロスファンクショナルチーム」、そして「庁内若手職員による若者施策研究会」というのを設置しまして、それぞれ夢のある、同時に具体的なプロジェクトを検討してもらいました。
先月、この「庁内若手職員による若者施策研究会」、「若手ゼミ」と呼んでいますけれども、この「若手ゼミ」の方から、私や副知事・部局長がそろったところでのプレゼンテーションがありました。詰めが足りないところもありましたが、従来の発想にとらわれない内心舌を巻くような提言もあり、「後生おそるべし」と思いました。
来年度予算の作成にあたりましては、この提言の趣旨も生かして事業を検討するよう、各部局長に指示しているところです。

(2) カギを握る女性の力

ア 女性の視点を生かした岩手の復興

次に、「女性の力」の方ですけれども、まず、東日本大震災の発生直後から、岩手県は、女性の視点を生かした復興を進めてきたということを紹介します。
具体的な事例をあげますと、
・被災者の内陸への一時移動に際し、妊産婦さんの受入体制をいち早く整備しました。
・NPO法人「いわて子育てネット」と連携して、住む所を失った妊産婦と新生児の受入支援事業を立ち上げ、ホテルなどの各宿泊施設が災害救助法による「福祉避難所」となるように国と調整しました。
・県産婦人科医会と連携し、災害救助法による「福祉避難所」の対象とならない民間アパートについても、その費用の一部を県が負担することとして、受入れ促進を図りました。
・洗濯した後、下着を干すのに困るという女性の声に応えて、誘致企業である株式会社東芝さんに、ドラム式洗濯乾燥機の無償提供を依頼して、平成23年4月8日、大震災からまだ1カ月経っていない頃ですけれども、100台を被災地に届けるなど、やっておりました。
また、被災地における女性・子供を狙った性犯罪の防止のため、私から警察に警備体制の強化をお願いするというようなこともありました。
そして、避難所の運営に女性の参画を促しました。
「岩手県復興計画」を平成23年8月に策定して、翌24年8月、去年の8月に実施計画を改訂、そして、今年度は第2期復興実施計画を策定中ですが、それぞれにおいて、県内各界を代表する女性の方々からご意見をいただき、各計画に反映させています。
さらに、今年度は、日本のジェンダー研究の第一人者であります東京大学社会科学研究所の大沢真理教授に、「東日本大震災からの復興に係る専門委員」に就任いただきました。
今年6月、本県にお招きし、ジェンダーと多様性の観点に立った被災地の復興のあり方について、私はじめ県幹部及び関係部局との意見交換を行っておりまして、岩手県の男女共同参画全般にわたる各種施策の参考にもしております。

イ 復興を支える女性の活躍

復興の様々な分野や地域振興において、県では、女性が元気に活躍するための施策を展開しています。

(ア) モノづくりなでしこ

1つ目は、県南広域振興局が担当となって推進している「モノづくりなでしこ」です。
これは、東北地方に集積が進む自動車産業への参入・取引拡大を目指して、岩手県の次世代経営者支援モデル事業として、昨年2月に設立したものです。
当初は、「モノづくりなでしこiwate」として岩手県内の地元企業3社、株式会社サトウ精機、株式会社千田精密工業、株式会社長島製作所の若手女性後継者のお三方と、県の支援機関との協働で設置しました。昨年9月、秋田県の山崎ダイカスト株式会社の娘さんが加わって、「モノづくりなでしこEast Japan」と名前を変えています。
自動車産業関連の情報収集、共同受注、基盤技術の研鑽、モノづくり人材の育成に取り組んでいます。
これまでの成果としまして、
・エンジン周辺部品の共同研究を行って、大手部品メーカー経由でトヨタ自動車東日本岩手工場(金ケ崎町)への納入が実現しています。
・共同研究による溶接ラインの自動化で、製造効率をアップできています。
・東北地方のほかに、トヨタ自動車株式会社本社がある愛知県三河地区の大手自動車関連企業等とも情報交換しています。
今後は、なでしこメンバーそれぞれと、その会社4社がさらに研鑽を積み、コラボ(協働)による取引や業容の拡大を図るという方向性になっています。このなでしこの取組が地域産業振興の牽引役となるように、この成果やノウハウを普及させてまいります。
そして、他の地元企業とのコラボにも波及させながら、本県全体として、自動車関連部品の地元調達率のアップや関連産業における取引拡大にもつなげるようにしていきます。

(イ) anecco.(あねっこ)

2つ目の事例は「anecco.(あねっこ)」です。東京にある岩手県のアンテナショップ「いわて銀河プラザ」を拠点にして様々な活動を展開している、岩手を応援する女子会anecco(あねっこ)です。
岩手の方言で若い女性という意味ですけれども、同時に、岩手の魅力がより多くの人の心に「根っこ」のように「根づく」ようにという思いも込められているそうです。
このメンバーは、東京近郊に住む岩手出身のOLなどで、現在25名ほど。職業は、企業で経営企画を担当している方や、メディア関係、医師、歌手など多彩で、様々な特長を持つあねっこの皆さんが、様々な企画やイベントをボランティアで実行してくれています。
例えば、
・岩手の特産品や観光スポットなどを“女子目線”で取り上げ紹介する企画広報誌「anecco.通信」を定期的に発行して、銀河プラザや岩手と縁のある都内レストランなどで配付しています。
・高島屋東京店の岩手物産展「大いわて展」に参加しています。
・いわて銀河プラザのイベントコーナーで、定期的に「anecco.デー」を開催し、岩手の旬の食材を使った商品の試食をプレゼンテーションして、アンケートを行っています。
・東京でのわんこそば大会に参加して、体験レポートを「anecco.通信」に掲載し紹介しています。
・いわて銀河プラザのファン、「銀ぷらファン」を集め、岩手のお酒、弁当、お菓子を持って、都内の公園に行くという「anecco.ピクニック」を開催しています。
いかにも「女子力」というような魅力的な企画をどんどん実施して、首都圏の岩手ファンの拡張、掘り起こしに貢献してくれています。

(ウ) 岩娘會(がんこかい)

3つ目、岩娘會(がんこかい)。岩手の特産品に関する取組みをしています。
岩手の物産と言いますと、従来、ともすればシニア向け・お土産需要といった限定的な市場がメインでありましたが、それはそれで良いのですけれども、県の出資団体で、私が会長を務める岩手県産株式会社で、「30代から40代の女性が高い頻度で購入する商品」という新規市場の開拓を目指すことにしました。
この商品開発に当たって、そのターゲット層と同年代の女性チーム「岩娘會(がんこかい)」を結成して、マーケティング・商品企画、隠れた名品の掘り起こしを行っています。
「岩娘會」というのは、「ターゲットとするお客様のためを一途に考え、岩手の女性(娘)が“がんこ”に商品開発を行う」という意味だそうであります。メンバーは県内在住のデザイナー、IT起業家、卸、メーカー、行政など様々な背景を持つ元気な女性の皆さんです。
県と岩手県産株式会社では、岩手県オリジナルのプライベートブランド「pecco(ぺっこ)」シリーズを、今後3年で100アイテム開発することとしています。
明日12月17日は、岩手県産株式会社の49周年の創業記念日なのですけれども、この「pecco(ぺっこ)」の第1弾が発売されます。岩娘會の開発した南部煎餅やゆべしなどの、おなじみの岩手のお菓子30品が大きく変身して、小さく食べやすく買いたくなるような姿でお目見えしますので、ぜひ皆様にもご購入いただきたいと思います。

以上、若者や女性が活躍して、岩手の産業や地域社会を元気にしていくような県の取組みについて紹介をしました。
来年度から復興計画の「本格復興期間」に入ります。今、その期間の第2期復興実施計画を策定しているところですが、「若者」や「女性」の力をさらにさらに引き出して、復興のプロセスをより確かなものに、より豊かなものに、そしてより希望あふれるものにしていきたいと思います。

5 「アマノミクス」で「じぇじぇじぇ改革」を

(1) 「あまちゃん」が示してくれたもの

さて、今日のまとめとしまして、「アマノミクス」で「じぇじぇじぇ改革」ということをお話したいと思います。「あまちゃん」について、やはりきちんと触れないわけにはいかないということで、それぞれ皆さん、頭の中で「あまちゃん」のオープニングテーマを再生して、それをBGMにして聞いていただきたいと思います。
私も放送開始以来、ツイッターなどで「あまちゃん」の感想や解説を盛んに発信してきまして、おかげさまで「あまちゃんファン」、「あまちゃん評論家」として定評をいただき、雑誌3件、書籍2件でインタビューを受けたり、また有識者との対談を行ったりしております。
東日本大震災を受けて、そして東日本大震災の被災地を舞台にし、かつ東日本大震災そのものとそこからの復興を朝ドラで描くという、その「あまちゃん」は、復興支援作品と呼ぶことができると思います。
そして実際、毎朝、軽快な音楽とともに、三陸鉄道の車両をはじめ、岩手の美しい海、山、川などの自然が映し出されて、岩手県にとって大変力強い応援になりました。私自身も、大変に励まされたし、県の職員も三陸鉄道の社員も大いに励まされました。これは、県民皆さんもそうだったと思います。
「あまちゃん」が空前のヒットになり、インターネット上でも大いに盛り上がって一大社会現象にまでなったのですけれども、これは、おもしろい作品をつくり上げる技術と能力の高さということもさることながら、大震災のことや、復興のことを真剣に思うスタッフとキャストの皆さんの気持ちがあったからだと思います。
「あまちゃん」からは多くの教訓を引き出すことができ、地方自治にとっても真剣に参考にすべきところがたくさんあると思います。
まず、夏ばっぱ、春子さん、アキちゃんという、老年、壮年、青年の3代のこの絆の大切さ。この3つの世代が無理解でいますと、いろいろとうまくいかないのですが、老、壮、青がお互いを理解し合って協力し合えば、地域振興も成功するし、日本も元気になるし、復興も推進できるという教訓がありました。
それから、北三陸という“場の力”を夏ばっぱがアキに授けて、80年代の“時代の力”を春子さんがアキに授ける。その力を合わせてアキが成長していくということがありました。
私も、若者に対して、この岩手の場の力というものを授けていかなければならないと思います。また、私は1964年東京オリンピックの年に生まれて、70年の大阪万博イコール岩手国体の年の翌年に小学校に入るということで、バブル経済のころ大学から社会に出ております。日本が希望に満ちていたころの時代の力というのをいただいてきたと思っておりまして、これも今の若者に授けていかなければならないと思っています。
ちなみに、この80年代というのが、「あまちゃん」の主役級の存在でもありました。この80年代というのは「あまちゃん」でも盛んに言われてましたが、地方の時代になるはずだった時代です。しかし、そうはならなかった。このキョンキョン演じる春子がアイドルになると言って東京に出て、アイドルにはなれず、鬱屈した時間をその後過ごしていくのですけれども、あれはバブル崩壊の中で、財産を失ったり、あるいは夢や希望を失った多くの人たち、そして、失われた20年とか長期デフレを経験した日本全体を象徴していると思います。
80年代は、実は、地方が真の豊かさを得て日本が世界のリーダーになる、そういう可能性は確かにあった時代であります。そして、それを本気でめざす高い志や熱い情熱が本当にあった時代であります。
その80年代の凄さというのが「あまちゃん」の物語を動かす原動力にもなっていたわけでありまして、その80年代の失敗を繰り返すことなく、その80年代の可能性、凄さを今の時代にうまく甦らせることができれば、今日の閉塞感を変えていくことが出来、失われた20年をやり直せることができると思います。80年代というのを知っている私たちには、そういうことができるし、知らない世代に対して、そういう変革をして、新しい時代を一緒に進んでいくという義務が、我々世代にはあると思います。
「あまちゃん」では、岩手県北三陸の場の力というのが、ドラマを動かすもうひとつの原動力でありました。80年代をやり直して、今度こそ成功させるには、地方に徹底的にこだわって、地方の力を最大限に引き出すことに、皆が取り組むべきであります。その取組の最たるものが復興、東日本大震災からの復興に他なりません。復興の現場から全てがやり直されて未来が見えてくるということが、あの「あまちゃん」の最後の1カ月で描かれていたところでございます。
大震災に真剣に向き合って、復興に真剣に取り組んでいくということは、被災地の我々にとって大事であるのはもちろんですけれども、被災地ではないところの人たちも含めた日本全体にとって大事なこと、あるべき自分を取り戻して、80年代の失敗を乗り越えやり直すことができるんだということが、あの「あまちゃん」のドラマで描かれていたと思いますし、それが説得力があるというのは、実際の現実がそのような状況にあるからと言っていいと思います。

(2) 地元に「潜る」、「好き」に支えられる地域経済の可能性

「あまちゃん」というのはそのように非常に奥が深いと私は思っておりまして、その奥深い「あまちゃん」から「アマノミクス」という政策論を導き出すことができます。
「あまちゃん」では、海に潜ってウニを獲り、それをウニ弁当にして北鉄の車内で販売していましたが、これはまさに地域資源の付加価値を高める「農林水産業の6次産業化」という取組であります。
私が「アマノミクス」とこう呼びますのは、こういう地域資源の発掘、磨き上げ、これを基本にして、観光振興や、産業振興、地域振興を進めていくということであります。こういう地域資源の発掘、磨き上げを基本に観光振興、産業振興、地域振興を進めるというのは、内需拡大型の経済構造改革ということで、あの80年代に出た前川レポート、80年代に日本全体が目指そうとした、当時言われた経済構造改革の中身でもあります。内需拡大型ということです。
この地域資源を発掘して磨き上げるカギになるのは「潜る」ことです。海に潜ったり地面に潜ったりして地域資源を掘り出す。地元に「潜る」ことでウニや琥珀もそうですけれども、独特の郷土料理とか地方鉄道、地域産業、祭りなどなど、そういう地元の宝物を掘り出していく。それをインターネットやテレビを使って全国に発信し、全国のファンとつながって、そのファンの人たちも、この地元のディープな世界に潜っていく。そして、地域振興を実現していく、というこの「潜る」ということをカギとするのが「アマノミクス」で、「アマノミクス」の「アマ」は、潜る人「海女」の「アマ」ですから、そういう意味になるわけです。
ここで指摘したいのは、「好き」ということの重要性です。これも「あまちゃん」というドラマのテーマの一つなのですけれども、アキちゃんのセリフで、ウニを潜って獲るのも、それを弁当にして売るのも、ローカル鉄道と一緒にやるのも「好き」だからやるんだというのがあります。そこに東京から駆けつけて、写真を撮ったり、鉄道に乗ったり、ウニ弁当を買って食べたりするのも、これは「好き」だからやる。
生産やサービスを提供する側も、それを消費する側も「好き」であることを原動力にしている、そういう経済も「アマノミクス」と呼びたい。「アマノミクス」とはそういう経済、愛があふれる「愛好経済」と意味付けることもできると思います。
こういう「アマノミクス」と関係する動きが、11月28日に、山形県で発足した「やまがた里山サミット」です。山形県内の里地・里山の多彩な資源による産業振興や雇用の確保などを推進するもの、ということで、吉村山形県知事が、森のエネルギーなどを生かす「やまがた森林(モリ)ノミクス」というのを宣言しています。山形の方では「モリノミクス」と呼んでいるわけです。
これも発想は「アマノミクス」と同じでありまして、こういう取組は、これから全国で立ち上がってくると思います。
岩手県は、県内いたるところに豊かな地域資源、自然に由来する、文化・伝統に由来する、あるいは新種の希少で新機軸として打ち出される様々な資源があります。これを、皆で潜って獲って、そして付加価値をつけて、多くの人に喜んでもらいながら地域振興を進めていく、岩手まるごと「アマノミクス」というふうに進めていければと思います。

(3) 「地元の底力」+「様々なつながりの力」

この「アマノミクス」という内需拡大型の経済構造改革をはじめ、「あまちゃん」をヒントにした県政の改革を進めようというのが「じぇじぇじぇ改革」であります。この言葉は、時事通信に寄稿した私の文章で初めて使ったものでありまして、岩手県の部課長研修の知事講義でも使っている「じぇじぇじぇ改革」という言葉、こういう所にまで使われれば、「じぇじぇじぇ」が流行語大賞になるのもむべなるかなと思っております。
じつは、復興イコール改革でありまして、復興は、復興ロードマップを作って発表するというような「情報公開」や、また、現状を様々なアンケートで検証し計画を見直していく「政策評価」、そして、「新しい公共」という手法、伝統的な改革手法ですが「財政規律と定員管理」でありますとか、そしてより地方が自主的に力を持って進めていくという意味で「分権改革」でもありますし、「情報化や国際化」というような、そういう地域社会全体の改革も進めていくことであります。
「国際リニアコライダー」というものも、これは「情報化」や「国際化」ということとも関連する一つの改革と位置付けることもでき、復興の大きな柱であり、同時に「じぇじぇじぇ改革」の一環としても位置付けられると思います。
この復興の仕事を通じて実感しておりますのは、「復興の力」というものは「地元の底力」プラス「様々なつながりの力」なのだなということです。「地元の底力」プラス「様々なつながりの力」イコール「復興の力」、これを復興の公式と私は呼んでおりますけれども、これは「アマノミクス」「じぇじぇじぇ改革」でいうところの地域振興のカギでもあり、この「地元の底力」プラス「様々なつながりの力」は、イコール「地域振興の力」でもあって、「アマノミクス」の第一定理と呼んでもいいのではないかと思っております。

6 おわりに

さて、おわりになりますが、あらためて復興の目的というのを考えますと、それは被災された方々一人ひとりが復興していくことが復興の目的だと思います。一人ひとりにそれぞれの復興。一人一復興でありまして、それが集まって一世帯一復興、一企業一復興、そして地域ごとの復興、市町村の復興計画、県の復興計画、国としての復興、そういうふうになっていると思います。壊れたものの復旧とか、経済的な数字が良くなるということは、それはいいことであり、かつ、復興に資することなのですが、生身の被災者の生活が再建できないとか、仕事に復帰できないという状態では、他のことがいろいろ進んでも復興とは言えません。
「地方自治法」第1条の2に、地方自治の目的は「住民の福祉の増進」であると掲げられています。この住民一人ひとりが目的にされているというところが、復興の構造と同じであると思っておりまして、一方、国政の方は、国益の名の下に一部の国民が切り捨てられるということがあるわけです。戦争が極端な例なのですけれども、勝利という目的のためには犠牲はいとわない、というようなところが国政の方にはありまして、今、TPPの交渉も国益のためにやると言いつつ、ただ、最終的に合意すること、国際協定を結ぶことが国益だという話になると、国益のために、ではどこまで犠牲にするかという話になってしまいます。
一方、地方自治の方は一人ひとりの福祉の増進が目的ですから、福祉が増進できない、暮らしがどんどん悪くなっているような住民がいるようでは地方自治の目的は達成されたとは言えませんし、復興も同様に、取り残される人がいたのでは復興の成功にはならないし、まして、復興においては切り捨てというようなことがあってはならないわけです。
国政の方も、世の中が進んできて成熟してくるにしたがって、国益、国の形とか国全体としての何かを目的とするのではなく、国民一人ひとりの自己実現、国民一人ひとりの幸せを目的としていくように、国の在り方も地方自治型の在り方に変わっていかなければならないと思いますし、変わっているところもあるのだと思います。
例えば、「テロ対策」というのは、国民一人ひとりを守るという点で、伝統的な戦争とは同じ安全保障でも取組の方向性が全然違うのです。戦争というのは、勝利が目的で犠牲が当然なのですが、テロ対策というのは犠牲を出してはならないというのが目的なので、その辺は地方自治の感覚に近いし、また、復興の在り方にも近い。
いずれ、私たちはこの復興ということに取り組んで、被災者一人ひとりの、新しい安全を、新しい生活を、新しいなりわいを実現していくことを進めていくわけですけれども、その営みというのは、国に、日本全体としてこうやっていくべきではないかという、新しい在り方を迫っていくものでもあると思います。
こうやって地方自治が強くなり、地方自治が進化していくことで失われた80年代、日本の80年代の失敗というのが乗り越えられて、真に豊かな地方から成る世界のリーダーにもなれるような日本というものの再生につながっていくものと思いますし、そうしなければならないと思います。
繰り返しますが、そのためにもまずは東日本大震災からの復興がなによりでありまして、現状を把握して、課題にしっかり向き合って、視野を未来に広げ、若者と女性がもっと活躍できるようにし、そして「あまちゃん」のテーマをBGMにしながら明るく力強い復興を進めていきたいと思います。
以上で本日の講演を終わります。ありがとうございました。

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