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平成28年度 第1回いわて復興未来塾を開催しました

ID番号 N48395 更新日 平成28年9月7日

平成28年度 第1回いわて復興未来塾を開催しました 

 平成28年6月18日(土)、ホテル東日本盛岡において、「平成28年度 第1回 いわて復興未来塾」を開催し、一般県民の方々、企業、NPO等支援団体、行政機関など約170名の方々に参加いただきました。

 最初に、復興庁前事務次官岡本全勝(おかもと まさかつ)氏より「国における復興の取り組み~これまでとこれから~」と題し、国における復興事業へのこれまでの取組についてご挨拶をいただきました。

 次に、キリン株式会社 CSV推進部長 林田 昌也(はやしだ まさや)氏より「復興から未来へ~キリン絆プロジェクトの取り組みについて~」と題し、キリン株式会社のCSVの理念と復興に対する取組と思いについて基調報告をいただきました。

 続いて、一般社団法人東の食の会 事務局代表 高橋 大就(たかはし だいじゅ)氏より「「サヴァ缶」に見るマーケティングの重要性」と題し、「サヴァ缶」のプロデュースを通じたブランドづくりの過程などについて基調報告をいただきました。

 最後に、株式会社IBC岩手放送 アナウンス部 部長 江幡 平三郎氏をコーディネーターに、林田 昌也氏、高橋 大就氏、有限会社ヤマキイチ商店 専務取締役 君ヶ洞 剛一(きみがほら たけいち)氏、そして岩手県知事 達増 拓也の4名によるパネルディスカッションを行いました。「三陸の本格復興に向けて」をテーマに各パネリストからこれまでの取り組みや今後の展望についてお話をいただくとともに、三陸の魅力についてのそれぞれのお考えなども伺い、活発な議論を行いました。 

 全体会終了後には交流会が行われ、多くの一般県民をはじめとする参加された方々の貴重な情報交換や交流の場となりました。
 

開催概要

日時

平成28年6月18日(土曜日) 13時30分から16時50分

場所

ホテル東日本盛岡4階「鳳凰の間」(盛岡市大通3-3-18)

開催形態

主催 いわて未来づくり機構(事務局:岩手県復興局)
後援 復興庁

挨拶

岡本 全勝(おかもと まさかつ) 氏       (復興庁 前事務次官)

基調報告I(テーマ「復興から未来へ~キリン絆プロジェクトの取り組みについて~」)

林田 昌也(はやしだ まさや) 氏       (キリン株式会社 CSV推進部長) 

基調報告II(テーマ「「サヴァ缶」に見るマーケティングの重要性」)

高橋 大就(たかはし だいじゅ)氏       (一般社団法人東の食の会 事務局代表)

パネルディスカッション(テーマ「三陸の本格復興に向けて」)

○パネリスト
 林田 昌也(はやしだ まさや)   氏    (キリン株式会社 CSV推進部長)
 高橋 大就(たかはし だいじゅ)  氏   
 (一般社団法人東の食の会 事務局代表)
 君ヶ洞 剛一(きみがほら たけいち) 氏  (有限会社ヤマキイチ商店 専務取締役)
 達増 拓也(たっそ たくや)          
 (岩手県知事)
 

○コーディネーター
 江幡 平三郎(えばた へいざぶろう)  氏 (株式会社 IBC岩手放送 アナウンス部 部長)

講演録

岡本前事務次官ご挨拶

・本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。これまでの5年3ヶ月、長かったようで短かったようだなと思い返している。

・今回の東日本大震災は、千年に一度の大津波、日本が初めて経験する大規模な原子力災害があり、従来どおりの手法では絶対復興しないと考え、それをどのように打ち破るか。日本政府の底力が試されると思って取り組んできた。それが被災者支援、住宅の再建、産業の再生です。

・従来、災害からの復旧・復興とはインフラの復旧を指していた。しかし、三陸沿岸地域の道路と防潮堤を復旧すれば住民の方々が戻るかというと戻らない。産業となりわいが戻らない限り、地域は戻らない。
・キーワードは産業の再生と被災者支援。被災者支援では、人と人のつながりをどのように支援するかということで、仮設住宅での見守り支援を最初に行った。阪神淡路大震災の時の経験から、孤独死をどう防ぐか、NPOや市町村の方々に手伝ってもらいながら、国が仕組みを示し、財政的な支援をした。

・これからの課題は産業再生とコミュニティの再建。先般の熊本地震の際、総理が直ちに命じたのは被災者支援であった。今はインフラの復旧だけではなく、産業の再生、被災者支援を含めた3点が常識となっている。

・インフラの復旧については、日本の国土交通省とゼネコンの持っている能力で大丈夫だと思うが、産業の再生は別である。そこで、地場産業の要である水産業をどのように興していくか、補助金の交付だけでは不十分である。つまり、自立をしないと産業の再生は出来ないということ。地元の生産者と、東京の大企業、あるいはノウハウ持っている人々をどのように繋げていくか、それが次の仕事になります。

・さらに難しいのは被災者支援のうち、コミュニティの再建です。財源を充てただけではコミュニティが出来る、ということはありません。NPO法人等に市町村が委託をして仮設住宅の見守りをしてもらったりした。

・次に産業の再生ですが、実は災害復旧で中小企業に補助金を直接出したのは今回が初めてであった。工場や商店街が継続して事業を行っているだけで地域の活力が全然違う。こうした助成は多くの方々に喜んでもらえた。しかし、ここからは国がいくら財源を充てても効果がない。そのために東京や大阪等の民間の事業者等とどのように繋いでいくかが重要。

・駆け足になりましたが、5年間本当にお世話になりました。あとはこれからの若い世代の担い手や、東京や大阪からの来ていただいている支援者、そして地元の皆さんの活躍が重要だと思います。5年後には晴れやかな達増知事の完了宣言を聞かせていただきたい。


基調報告I 「復興から未来へ~キリン絆プロジェクトの取り組みについて~」

・キリンの林田と申します。キリン株式会社では、「復興応援キリン絆プロジェクト」を平成23年7月から継続している。私の部門はCSV推進部といいますが、この「CSV」というのは、簡単に申しますと、色々な社会課題に取り組むという視点を通じて(或いはそこを入口として解決に努力したり、継続的に取り組み、)同時に企業価値、経済的価値も並行して生んでいく、という考え方がCSVである。

・パネルディスカッションでも最大のテーマになる「ブランド」というものが、企業にとって最大の価値、唯一の財産だと考えている。企業ブランド(キリン)、商品ブランド(一番搾り)というものの創出と同じレベルで「CSVの実践」というものを掲げている。

・商品や事業活動を通じて社会的価値を創出していきたい。元々、CSR(企業の社会的責任)という言葉があったが、仙台工場が被災したこともあって、キリンでは改めてその概念を置き直した。それが、Creating shared value(CSV)。Value:価値には、経済的な価値、社会的な価値、の2つの軸があり、企業は横軸である「経済的価値」を生み出すことを目的としているが、それだけでなく、イノベーションを起こし、「社会的価値」をそこに付加していきたいということ。

・しかし、元々、社会の課題の解決の役に立つ、というものが早々にある訳ではない。従来の利益追求から社会的価値をどのように付加していくのか、純粋なCSR活動に経済的意味合いをどのように付けて行くのか、その両方を考えている。とはいえ、ひとつの企業が世の中を良くは出来ないし、得意分野も限られている。そこで、我々が最も貢献できる、情熱を傾けられるテーマにフォーカスしていこうということになり、社内の議論の結果として、(1)「人や社会のつながりの強化」、(2)「お客様の体、心の健康」の2つを、CSVのテーマとしている。

・キリン絆プロジェクトでは、3年間で60億円という金額を決め、そして出来る範囲、得意分野ということで、「地域食文化、食産業の復興」を最大のテーマに支援を開始した。まず、インフラの部分では、農業、水産業のインフラ(重機、漁具、岩手でもトラクターや、ワカメの養殖施設等)支援を最初に実行した。これが絆プロジェクトとしての最初の活動だった。インフラの再建、産業の再生・コミュニティの再生、といった復興の3つの必須要素で置き換えると、まずインフラの部分を多少なりともお手伝いさせていただいた。次に地域の食文化食産業の復興支援を軸に地域社会、地域活性化のご支援をさせていただいた。具体的には、生産から食卓へ。をテーマに、(1)「地域ブランドの再生育成」、(2)「6次産業化の推進販路拡大の推進」、(3)「担い手リーダーの育成」この3つの側面で支援している。

・こうした農業、復興支援をプロジェクト化し、地元のリーダーをバックアップし、ブランド作りのお手伝いをしている。例えば、釜石で6次化研究会という組織を立ち上げ、新商品を開発したり、販路の拡大等、具体的なブランド作りのお手伝いしている。

・こういった活動を通じて地元の生産者と東京の事業者と掛け合わせることや、地域のキーマンや行政と「クラスター」を作ることが極めて重要であると考えている。時間はかかるが、それぞれのパートナーシップをより強くしていくことが重要だと思う。こうした取り組みの中で5年間が経過したが、磐石になったものはまだ一つもない。これからも被災地と伴走させて支援させていただきたい。

・食産業は地域のコミュニティ事業基盤そのもの、その発展は事業の発展につながる。お茶やビールを飲んでいただくことは事業の発展につながっていくと同時に、商品だけではなく、様々なネットワークづくり、創出、人材育成につながると考えている。

・こうしたCSVの考え方を持った企業として、何でも出来る訳ではないが、是非我々を使ってほしい。即物的なアウトプットではなく、各エリアでの本当の意味での課題、強みは何なのか、それを形作っていけば、新たな価値創出ができると思う。復興はまだまだ道半ばだと思う、キリンとしても継続的に支援することを約束します。


基調報告II 「「サヴァ缶」に見るマーケティングの重要性」

<自己紹介>
外務省に勤務していた折、日本を救うのは経済の力だと知った時に、自分は1円も稼げない、自らを鍛えないと、外で稼ぐ力をつけよう、ということで、元々、「農業」という産業を海外に打ち出すには、何が出来るかを考えていた事もあってコンサルティング会社へ移った。
3年ほどコンサルティング会社で働き、念願の農業プロジェクトが終わったその日に、東日本大震災が発生した。如何にしてこの問題に取り組むかと考え、バックパックで現地に入り緊急支援活動を行っていたが、、その後、長期的に東北の食産業の復興に取り組むために、一般社団法人「東の食の会」を立ち上げた。

<東の食の会の紹介>
東の食の会は、東京の企業家のメンバーを中心に結成し、私が全体の事務を統括している。東北の素晴らしい生産者と首都圏の販売企業を繋げるマッチング、東北の商品のプロデュース、生産者に対する人材育成を行っている。
これまで「サヴァ缶」の他にも、岩手と宮城の生産者で共通のブランディングを行う地域横断プロジェクトとして海藻「アカモク」をプロデュースした。現在では、東京でもアカモクの認知度が上がってきている。このようにして5年間、マッチングやプロデュースに取り組んできたが、震災から5年の節目に、次の5年間のために定めた目標が「ブランド」である。

これからはブランドを作っていかないといけない。東北が日本で1番、食のブランドが生まれる地域にしたい。目標は1つのグローバルブランド、3つの全国ブランド、10のローカルブランドをそれぞれ生み出すこと。その中でグローバルブランドになり得るのは「三陸」ブランドではないかと思う。我々もブランドを評価するようなポジションというよりも、寧ろブランドを作るプレイヤーであると考えている。素晴らしい生産者の方々でまずは三陸を世界ブランドにしようと取り組んでいる。

<マーケティングとは>
そもそもマーケティングとは、端的にいうと、「どう売るか」ではなく、「どう選ばれるか」。スーパーの鮮魚売り場にはたくさんのお刺身が並んでいる。それを作った生産者はそれぞれにプライドを持っており、自分の商品が一番だと思っており、地域にも誇りも持っている。但し、買う側のお客様が実際に接する場面は、整然と並べられた売り場。この中から三陸を選ぶ理由を作るのが「マーケティング」である。買う側の視点、お客の視点に立った時、選ぶ理由はなんなのか、日本の水産業は盛んで素晴らしい選択肢が他にもたくさんある。その中で「三陸産」の海産物を手にする理由を作ることがマーケティングだと思う。つまり、「何を売るか」ではなく、お客様の視点に立った時に「なぜ買うのか」ということ。私は実際に、小売の側として商品の販売もしているが、頭で理解していても、気がつくとお客様の視点を忘れてしまう。お客様の側に立てるか、これが「販売」と「マーケティング」の視点の大きな違いである。
 

<左脳と右脳と心>
マーケティングについては、様々なセオリーが巷に溢れているが、私なりにまとめたマーケティングの必勝パターンは、「左脳と右脳、そして心、の3点を撃ち抜く」ことだと考えている。左脳は「機能的価値」(健康、美味しい、簡単・便利など)、右脳は「デザイン的価値」(かわいい、おしゃれ、素敵、わくわくする)、心は「共有価値」(何か社会の問題を解決している、とか、人の役に立っている)によって訴求する。それが全て揃えば売れると整理している。

<マーケティングの理論>
まず、左脳。いわゆる一般的なマーケティング理論になるが、基本的にはまず、お客様を知らないといけない、「市場」を知るところから入っていく。そして、それに対して自分はどのような価値を提供するのか。ポイントは「価値を」ということ。更にそれを具体的にどのようにして商品やサービスで具体的に提供していくのかという順番になる。ここで気をつけなくてはいけないのが「商品をどう売るか」から入らないこと。あくまでお客様の視点から入ることが大切。マーケティングとは、どのようなお客様にどのような価値を提供する為に、どのようなサービスや商品を、いくらで、どのような販路で提供し、どのような宣伝をして、選ばれるサービスになるか、ということを決めて実行すること。

<SWOT分析>
まず、市場を知ること。世の中の環境がどうなっているのか、(経済、社会、政治、技術など)をまず押さえること。その上で市場の中でどのような機会や脅威があるか、例えば、今度、消費税上がるとか、技術が発展するとか、水産物の輸入が増えているとか、その他、為替相場や株式市場の動向等も踏まえ、更に競合相手は何をしているのか、それに対して自分はどのような強み、弱みを持っているかということを掛け合わせで考える。これをSWOT(スウォット)分析という。外部の状況と、自分の状況を掛け合わせ、如何にして強みを生かし、弱みを克服するかという「戦略」が生まれてくる。

<3C分析>
市場を知るもう一つの分析に3C分析がある。お客様(カスタマー)のC、競合(コンペティション)のC、自社(カンパニー)のC。お客様のニーズと、競合の戦略、そして自社の強みを掛け合わせ、戦略を生み出すのが3C分析である。

サヴァ缶の事例で言うと、お客様のニーズとしては、当時は、ちょうど缶詰ダイエットが盛り上がっていた。また、中食(なかしょく)需要の高まり、「ちょい高」といって、少し高価格帯の商品が売れ始めていた。競合の部分では、缶詰売り場の棚を見に行ったが、メリハリがなく、色彩も単調、そしてほとんどが「和」の味であった。あまりデザイン性も無い。これはチャンスだと思った。

自社の強みとしては、岩手缶詰・岩手県産株式会社という強い企業と組んでいること、東の食の会では地元の生産者と強い繋がりがあること、デザインの関係者が多く在籍している、首都圏に流通の販路を持っている、ブランディング経験のある仲間もいる、他に比べて地域貢献と言う社会性が強い。といったことが挙げられる。
それに対して弱みは、缶詰市場に新たに参入していくことや、東の食の会の知名度が低いということ、そういう状況下でいかに大手缶詰会社と戦っていくかということ。

それらを掛け合わせた時にどのように戦うのかと考えたのが「簡単、ヘルシー、少し高めの価格帯で販売する」ということ。また、今までにない洋風の味で、かつ、圧倒的なデザインの商品を作るという戦略の方向性が定まった。

<ターゲット顧客と提供価値>
方向性を定めた次は、「誰に、何の価値を」という観点を絞った。つまりターゲットとなる顧客と提供する価値を絞ること。商品を作っている人は、その商品に自信を持っている。そして出来るだけ多くの人に買ってもらいたいと思っている。しかし、そうした思いとマーケティング上のターゲットを絞ることは別の話である。私はターゲットを絞ると、商品の可能性が広がると思っている。顧客を絞る上で重要なのは、「どのようなニーズを持っているか」である。そのため、属性(年齢性別等)よりもどういったニーズを抱えているか、どのような生活していて、どのような欲求や消費傾向を持っているのか、という「行動」の方がより重要な切り口になる。そういった切り口で「顧客のセグメンテーション(小さく切り分け、ターゲットを絞ること)」をして、「こういったニーズを持ち、こういった行動をする人」をターゲットにする。

例えば、「泳ぐホタテ」について言えば、これを安くて手早く簡単に食べたい独身のサラリーマンの男性に提供しても合わない。それはニーズと全く合っていないから。「少し豊かなもの」を求めている人に提供していくような、お客様の具体的なニーズに対して、商品を当てていくことが重要である。

お客様が商品を買うシーンをどれだけ具体的に描けるかが重要になる。具体的なお客様の顔と家族構成、その日の1日の過ごし方等を仮に設定する。そしてお客様のバーチャルの像を作り上げる。このようにしてお客様自身やニーズを知り、価値を提供する、それがマーケティングの基本戦略。

サヴァ缶の場合は、ヘルシーで高価格帯の缶詰となると、ターゲットは女性。中食(なかしょく)買うのはほとんどが女性。また、ヘルシー需要の高まりや、缶詰市場に全くデザイン性がないところに目をつけた。ここに「ヘルシー×おしゃれ、かつ簡便さ」という価値が生まれた。そして、これを女性に当てていくこととした。

ターゲットセグメントは1つである必要は無く、我々がひとつのターゲットとしたのは「若手の独身女性」だった。サヴァ缶には水煮と味噌煮しかなかった。つまり和の味しかない。デザイン・見た目も男らしい。あれでは女性1人では買いづらい。彼氏に味噌煮の缶詰を見られたら恥ずかしい、でも美味しい。では部屋に飾っていても大丈夫な、デザインが良いものを作れば売れると考えた。

もうひとつのターゲットは主婦の方。特にお子さんがいる方は時間が無い。だが、「レンジでチン」では罪悪感がある。健康も不安。ヘルシーで簡単に作れるが、手抜きに思われない需要というのは非常に強いと感じた。そしてやはり洋風だろうと思った。最初に作ったオリーブオイル味なら、パスタにしたり、サラダに乗せるだけで、ヘルシーかつ美味しく、手抜きにも見えない、この2つのセグメントを狙い、かつ、圧倒的に目立つ缶詰を作ったということ。

<4P政策>
次のステップは、具体的に、何を(製品)、いくら(価格)で、どこで(流通)、どのようにして(プロモーション)売るのか、ということ。ターゲットと価値は決めたが、それは具体的にどういった商品なのか。どこで、いくらで売るのか、商品が知られていないと売れない。どのように販売促進していくのか、ということを具体化していくことがマーケティングの4P(Product、Price、Place、Promotion)。

これを具体的に「サヴァ缶」に当てはめると、商品(Product)は、原料はサバだと原価率がいい。水煮、味噌煮以外の味、我々はオリーブオイル漬けにした。そして、現在の市場にはないインパクトのあるパッケージにしようと考えた。

価格(Price)は、缶詰が1個100~120円では安すぎる。東北の食でその3倍の価格でも売れるものを作れれば、生産者はかなり勇気付けられるだろうと思った。ここで利益の話をすると、東北の事業者の方々には、「この商品は良い商品だから7割で卸します、それ以下は譲りません」という事業者が多い。しかし、買い手のバイヤーが何を考えているかというと、彼らは原価率という指標の目標を課されている。5割、又は6割くらいで仕入れないといけない。そうすると商談は無くなってしまう。やはり私が重要だと思うのは、そうではなくて、Win-Winの関係、小売側も儲けないと、いくら生産者が儲けても続かない。逆もしかり。すなわち両方にちゃんと利益が出るプライシングが大切。これを実行すれば、今までの商品よりも生産者側の利益も小売側の利益も上がる。価格を3倍にすることは非常に大変なことだが、それでも買ってもらえるにはどうしたらいいか、ということを考えた。

販売のチャネル(Place)としては、BtoBは、岩手県産株式会社が量販店等の卸チャネルに強く、これだけ地元の商品を売っている企業はない。BtoCは会員企業のネットスーパーで直接売ったり、インターネットの大手通販サイトでも売っていくことでチャネルを増やしていった。あとは高級スーパーとか。カラフルかつお洒落。また、食品以外のチャネルにも入って販路をさらに拡大していくことを考え、サヴァ缶がインテリアショップで売られることを目標にしていた。最近そういったお店でも売っている。

宣伝・プロモーション(Promotion)としては、女性、食関連の雑誌やウェブメディアを回ったり、女性向けのイベントを開催した。

この一連の流れが基本的なマーケティング。

<右脳と心>
一般的なマーケティングは今見てきたように、左脳に対する機能的価値の提供だが、現在はこれだけで勝てない世界になって来ている。右脳も撃ち抜く、すなわちデザイン性がビジネスの競争力として必要になった。サヴァ缶の例でいえば、これまでの缶詰にないデザインで、圧倒的に目立つ、理屈抜きに興味を引くものを狙った。

そして最後は「心」も撃ち抜かないといけない。サヴァ缶のキャッチコピーは、「岩手からサヴァ?(元気ですか?)」。これまでずっと岩手は全国に応援されてきた。これからは日本を岩手から元気にするという思いを込めて、サヴァと名付けた。


<まとめ>
まとめになるが、いかにお客様の視点に立てるか、更に一緒に価値を作っていけるか、社会に対して商品がどのように貢献しているか、これが加わると磐石の商品になる。
あらためて、左脳には機能的価値、右脳にはデザイン的価値、心には情緒的価値で、それぞれを撃ち抜いていけばヒット商品が生まれる。これからも岩手から、或いは福島からもこういった商品を作っていきたい。
 

パネルディスカッション 

「三陸の本格復興に向けて」

江幡氏:まず、林田様、基調報告の概要は「キリン」という企業においてこれまで復興の取組の中で、企業単体ではなく、地域や行政と関係性を構築して様々な活動をしていく。そうした枠組みの作り方に重きを置いていると感じたのですが、キリンとしての取組は今、どのあたりにあるとお考えですか?

林田氏:発災後、我々自身も被災者であった。そこで何かしたい、我々も何かしたい、ということからスタートした。いわゆるハード面の支援の部分は難しい話ではなかった。しかし、その先のブランドを作っていく等のソフト面の支援は、我々の中にノウハウがある訳ではなかった。ネットワークもなかったため、色々な活動をされている方々、地方創生に取り組んでいる方々の間に入って勉強させていただいた。そうする中で、現地で困っている方のニーズも見えてきた。そういったプロセスであり、まだまだ途上と考えている。
取組がどこまでいっているか、これは2つの側面があると思う。1つは、なりわいの部分やコミュニティの部分で言うと、少しずつ芽は出てきているが、それが本当に安定した形で稼動していくかというと、まだ半分もきていないと思う。もうひとつは、キリン社内で、まだ全ての社員が「CSV」を判断・行動基準に置いて動けていない点です。私はCSV推進部長であるが、私の部がなくなること。つまり推進役がなくなることがゴールです。

江幡氏:これまで我々が鯖の缶詰を買う時に持っているイメージとは全く違う形でアプローチして、これだけのヒット商品を生み出したが、三陸の水産物というと、まだまだ幅があるので、その可能性をどのように御覧になっているか。
高橋氏:簡潔に、基本的には「世界に行く」ということだと思う。

江幡氏:君ヶ洞さんの平田の生簀も大きな被害を受けたが、これまで5年間の取り組み、その中で新しい部分も見えてきていると思うが、振り返っていただけますか。
君ヶ洞氏:ヤマキイチ商店では、「泳ぐホタテ」を軸に通信販売をしているが、全国のお客さんに支えられている。震災直後も、そうした方々にホタテを届けたいという思いで取り組めたのが大きかった。店の復興は自己都合であるものではなく、お客様に美味しいものを届けたい、喜んでいただきたいという思いでやること事が本当の復興、本当の仕事だと思う。その中での積み重ねであり、お客様とのそういう関係を構築できたのが誇りです。

江幡氏:当時は、お客様からすぐにでも再開して欲しいという声がかなり寄せられましたが、再開は待ちましたね。
君ヶ洞氏:自分たちが本当に納得するものが水揚げされてからやろうというポリシー、それらもお客様に育てていただいたものだが、があったためお待ちいただいた。

江幡氏:泳ぐホタテは築地で最高値が付くホタテということだが、それを生産者に還元するということに重きを置いてきましたね。
君ヶ洞氏:これは社長の作った仕組みで、高く買って高く売るという仕組みを震災前からずっとやってきている。やはり、三方良しではないが、共同パートナーでもある漁師さんもいらっしゃいますし、お客様には、値段というより価値、感動を与えるものとしてのお金をいただく。そしてそれを漁師さんにシェアするという仕組みでやっている。

江幡氏:知事にも聞きます。事業者の努力ももちろんですが、岩手県として三陸のなりわいの復興に対してのどのように取り組んできたのでしょうか?

達増知事:これまでの5年間で生産基盤は概ね回復してきたが、売上が回復していない。生産基盤の復旧・復興から、販路の回復拡大、人手不足問題等多くの課題がある。県としては求職求人のマッチング支援、これに関係した宿舎の確保に対する助成を実施している。また、就労環境改善促進ということで、働く条件・環境を向上することで、人材の確保をしやすくするための支援を実施している。就労環境改善に関しては、民間企業の協力によって津波で被害を受けた工場の再建に際して、合理的な生産ラインを設けたり、省スペース・省エネルギーの冷凍庫・冷蔵庫を導入するなど、生産性の向上等を支援している。
販路の拡大回復関係では、様々な商談会やマッチングフェアなどの場づくり実施している。また、第3セクターで岩手県産の卸し機能や、三陸鉄道の販売部門の小売機能などもあるため、サヴァ缶もそうだったが、そういったところでの新商品の開発や、販売も県としてやっている

江幡氏:これまでの取り組みというところでお話を伺ってきましたが、ここからは三陸において、どのようにブランドを作っていくかという話に移っていく。キリン絆プロジェクトでは色々な町で、様々な事業主とタッグを組み、商品開発等の取組をされてきたが、そうした取り組み全体を通して感じる「三陸の食」というものの魅力や、食に携わっている人に見られる魅力、あるいはそれを裏返して「課題」として映るケース等はあるか。

林田氏:私は広島の出身だが、西の人間からすると「北のほうの魚は旨そうだ」というイメージが元々あった。社会の勉強で三陸は世界の3大漁場であるから、美味しいに決まっている、というのが印象。実際に体感すると、三陸は高級食材もあるが、より美味しいものは日常で普通に食べているものだったりする。日常に馴染みのあるワカメなどの水産物が美味しいとか、そういうところが魅力だと感じている。
もうひとつは、リアス式海岸の景観、これは海だけでなく陸、山とか森といったものが、自然全体として美味しい海産物を生んでいるということがビジュアル的にも感覚的にも、体で納得できるものだと考えている。
次に、人についてはこれまで様々な人にお会いしてみて、皆さんそれぞれに個性的であり、それぞれに「自分がなんとかしてやる」という思いの強い方々というイメージ。これまでは「寡黙」というイメージを持っていたが全くそうではなかった。
反対にマイナス面としては、色々な素敵なものの種類がありすぎて、これがブランドの先頭になって全体のイメージを上げていくというものがない、ここにピンポイント化していくことの難しさがあると思った。

江幡氏:さて、高橋様はマーケティングにおいて、商品を買うお客様の側からどのように映るかが重要だと仰っていましたが、実際、小売といった事もされている中で、「三陸の食」はどのように見えているのでしょうか。
高橋氏:実際、首都圏や関西では、三陸と言われても、ほとんどイメージが湧かないというのが現状だと思う。

江幡氏:では、どのような事からプッシュしていくべきでしょうか。
高橋氏:三陸の水産物は本当に素晴らしいが、顧客側の視点に立つと、或いは首都圏等の人たちからすると、三陸の他にも「北海道」があり、「九州」があり、最近では「瀬戸内海」も頑張っている。つまり日本には様々な海があって、お客様は「三陸」という地域に何か特別な思い入れやイメージがある訳でも無い。「牡蠣」といえば「広島」を思い浮かべてしまうし、ワカメは鳴門にもある。そういった状況を客観的に見ることが重要だと思う。
三陸は本当に素晴らしいものを持っていて、その良さをどのように「言語化」していくかを話し合ってきた。そこで生まれたのは、一つは里山、里海があるということ。単純な自然の良さではなく、三陸に住む方々がきちんと管理をしていること。森は海の恋人といわれるが、森をしっかりと管理することで、栄養分のある豊かな漁場になるということによる里海里山をしっかり作っているということ。二つ目は、徹底して質を追求していること。三つ目、これはおそらく震災後に新たに出来た大きな強みだと思うが、「三陸は世界で一番食卓に近い海」ということ。あれだけの震災があったために、頑張る漁師さんや加工業者の方がどんどん東京に出て行っている。これだけ海の生産者が、お客様に近い所、これだけ顔の見える水産業は世界で今他にない。

江幡氏:君ヶ洞さんご自身も、釜石を離れた時期もあったが、戻られて現在は三陸のホタテであったり、いくら、アワビ等を扱っているが、三陸の水産物の食の魅力とは。
君ヶ洞氏:三陸には既に日本一、世界一のものがある。例えば、ホタテの浜値が日本一です、北海道は日本のホタテの水揚げの93%を占めており、岩手は1%に過ぎないが日本一の値段がついている、つまり資源的に恵まれているのは事実。

江幡氏:知事、世界3大漁場(に三陸が入っていることは)、小学校から習っているが、一方で西日本の方からすると私たちが思っているほどそこまで伝わっていないと聞いて、これからどう取り組んでいきたいとお感じですか。

達増知事:一昨年の夏に当時、いわて復興塾を釜石で実施した際に、ヤマキイチ商店を視察して、社長さんをはじめご家族と社員の方々でいい仕事をしていたことを思い出したが、そうしたところからそもそも素材としても世界一になるようなクオリティ、そしてそれを人が人の力でさらに磨き上げているから、そういったところを全国に、さらには海外にアピールしていかなければと思っている。「三陸」という枠組みについては、もっと知名度を高めていくことが出来ると思っている。三陸鉄道がドラマ「あまちゃん」で全国に知られるようになり、三陸がどこか、というイメージの手がかりになったと思う。3年後に山田線の宮古~釜石間の修復が終わり、JRから三陸鉄道に移管され、北から南まで岩手の沿岸が一本の鉄道でつながる。その際に釜石ではラグビーワールドカップが行われる。県では2019年に「三陸復興防災博覧会」というようなものを開催し、三陸鉄道の駅を中心に様々な観光PRや、物産の宣伝等も盛り上げたいし、市町村にも呼びかけて市町村毎に全国、或いは海外にアピールする1大チャンスにしていきたい。1日や2日限りのイベントというよりも、先ずは開催に向けて3年間準備し、終わった後も効果がレガシーとして残るような形で進めていきたい。
常に観光や物産をPRする時に、市町村単位でPRしたらいいのではないか、或いは真崎ワカメのようなさらに小さい地域で売っていく方がいいのではないか、或いはオール岩手で「三陸」というブランドで売っていく方がいいのではないか、と様々なことが言われるが、これは全て必要だと思うし、それぞれが必死でやっていく中で、県は「三陸」という全体のイメージをぐいぐい前に出すことで、どういった市町村があり、どういった地域があるのかをたくさんの人々に知ってもらえるようにしていきたい。

江幡氏:未来塾の開会前に高橋さんが「三陸」で推すのか、或いはそれぞれの「浜」、「市町村」で推すのか、そこが分かれて難しいという時に、とてもわかり易い例え話をされていた。
高橋氏:ブランディングの大家の先生が答えてくれたのだが、「三陸」なのか「岩手」なのか、「釜石」なのか、「ヤマキイチ商店」なのか「泳ぐホタテ」なのか、違う階層のどれで推すのがいいのだろうかと考えた時に、これは両方やっていけばいいのだということだった。「三陸」をブランド化することは、「泳ぐホタテ」をブランド化していくことと全く矛盾しない、むしろ相乗効果があるのだと思った。但し、「泳ぐホタテ」、「ヤマキイチ商店」、「釜石」、「岩手」、「三陸」と大きくなっていくに従って、どんどんとぼやけていき、難しい部分はあると思う。

江幡氏:高橋さんは明らかに世界を意識していますね。
高橋氏:そうです。世界にブランドとして打ち出していきたいと考えている。

江幡氏:その可能性の手ごたえは感じている?
高橋氏:ブランド作る上で、1番最初に必要なのはベクトル合わせ、どういったメッセージを発信するか。自然も人もモノもあるため、何を発信するのかによってメッセージが全く変わってしまう。各者がバラバラに違うメッセージを発信していては、ブランドを作ることが出来ない。それは、お客様の頭にイメージが出来ていかない。そのため、先日立ち上げた「フィッシャーマンズリーグ」における活動等を通じ、そのメッセージを統一する取組をしている。

江幡氏:さて、キリンでは、生産者とそのエリアに住んでいる人をみんな巻き込みながら元気にしていくような活動をしています。そのような部分を含みながら今後、「三陸」をブランドとして成長させていく中で、例えばキリンさんのような大きな企業の取組であるCSV活動で、どのような取り組みが出来たらいいなとお考えですか。

林田氏:そもそもブランドは何かということで申し上げますと、ひとつの水産物について言えば、その関係者が本当に信じているか、コンセンサスが取れているのかということ。これは大きい規模になってくるとどんどん難しくなってくる。本当に一人ひとりが関与して、納得しているのか。そこがないとブランドを作っていけない。
もう一つは、三陸の1番のポイントは水産物、水産業だと思うが、やはり「三陸」はひとつのエリアを指している。その場所がある、土地がある、人が住んでいる。それが三陸であり、その1番代表的なものが水産物である、というように三陸ブランドを捉えるべきだと思う。つまり、そこに住んでいる(理想的に言えば)全員が、例えば「牡蠣とワカメ」が、全員にとっての1番の代表選手であり、そこにプライドを持っている、水産加工業で無い方も含めて納得をしている、ということだと思う。あとは場所をブランド化していくこと。三陸の食べ物を食べるということは三陸に行ってみたいという衝動とセットだと思う。どういう人たちが、どういう思いで住んでいて、もしそこに行けたとしたら、もう一度訪れてみたいと思える町やエリアになっている。その1番の売りが「食」であり、水産物である、そこまでやるのが場所としてのブランドづくりだと思う。

江幡氏:震災の前後で「日本一のホタテを売る」というところは変化していないと思うが、ただ、震災の前後で、同じ三陸の人達との「横のつながり」が随分増えたように思うが、どのように感じていますか?
君ヶ洞氏:釜石の中でも水産関係以外も含めて横のつながりができたと思う。また、林田さん、高橋さんのおかげで、岩手の他の水産関係の人と繋がったり、宮城県の水産関係の方たちとの繋がりができたことは幸せなことだと思う。
切磋琢磨というか、みんなが三陸を愛しているという思いは変わらない。さらにそこに地域の外にいる「同志」の方々にコーディネートしていただけると、力が足し算ではなく掛け算になると思う。そうした事を1番感じている。

江幡氏:水産に携わる方々の中で意識の変化は起きていますか?
君ヶ洞氏:まだまだ課題もあるが、若い世代ではだいぶ共有出来ている。おそらく未来への責任を強く感じているからこそ、そういう行動につながっていると思う。

江幡氏:知事、まだまだこういう話を伺っていると、ハード面の復興は目に見える形で成果が出始めてきているが、なりわいの復興やそれを更に成長させていくことになるとまだまだこれから先があると思うが、その中で冒頭、知事は地元の力とつながりの力をという言葉をお話になっていたが、これから三陸のブランドを、それぞれのセクターで広めていければいいとお考えですか。
達増知事:おふたりの基調報告を聞いていて、我々が被災者に寄り添うというように、消費者側にも同じように寄り添っていくことが大事なのではないかと思った。県外、都会、消費地の方に寄り添っていく、消費者の肩を掴んで揺さぶりながら左右脳、心にも打ち抜くようなことを伝えていくことをこちらからしていかないといけない。「サヴァ」が象徴的でヒントになるが、消費者側に対してこちらの方から元気ですか?と聞くと、それによって岩手が元気になっていくこということなのではないかと思う。
つまり、震災直後に大勢のボランティアの方々が来られて、被災者に元気をあげようとしたが逆に自分達が元気を貰ったとよく聞くが、元気をあげようとすることによって、元気をもらうという仕組みが世の中にはあると思う。岩手の復興をさらにこれからの段階に進めていくに当たっては、むしろ外に打って出るような感覚が大事なのではないか。ブランドとは契約だというが、岩手、三陸がお客様に何を与えられるのか、そこをしっかり伝えに行く。こちら側から消費者側に寄り添う、そういうことが復興のためにも必要だと思う。林田さん、高橋さんがやっていることは復興をきっかけにし、また地方創生にも即した形で進んでいるが、実は日本の社会の真の構造改革につながる王道だと思っている。
10年、20年前から市場原理主義的な改革が、却って日本の経済社会を弱らせている。市場原理は、需要供給の法則、価格と数量ばかりに注目し、その中で安ければいいというデフレ社会化の中で消費も減退し、日本の経済社会全体が弱ってきている。それだったら少し高くても買う、という思いや生き様を喚起していくことを被災地の側から消費者の側に働きかけて行く、そうすることで日本全体を元気にしながら、その元気で被災地も元気になっていく、そういうことがこれから必要だと思う。

江幡氏:食はというのは人の命を支える大変重要な根源となる産業であり、三陸はそうした大きな役割を担っている、それは、もしかしたら世界にまでつながっていくもの。そこに携わっていると言う誇り、そしてお互い繋がりあうことによって、その価値をどうやって高めていくのか、あるいは消費する側に寄り添っていくのか、近づいていくのかというところの重要さを今日は改めて感じさせられた。

 質疑応答・意見交換

 参加者の男性:三陸、東北でマーケティングの考えが足りないお話をいただいた。全体にマーケティングの考え方を浸透させるに当たって、どうしたらいいか、ヒント等あればお願いします。
 高橋氏:三陸に欠けている部分は「よそ者」をどんどん使ってもらえればいいと思う。復興が早いところは明らかによそ者をうまく活用している所。それは地元側の良さの足りない部分をよそ者で補っていくということ。デザイン等はプロの領域であるので少しお金使ってでもプロを使うことで全然違うインパクトが出ると思う。

参加者の女性:資源管理について勉強している。海の管理についてどうお考えですか。

君ヶ洞氏:まずは、生活排水を無くすといった事等だと思うが、最終的には水産物が三陸で水揚げされた瞬間に、既にブランドになっているような形になればいいなと思っている。

高橋氏:水産資源がどんどん減っている。日本は漁獲高が1989年くらいまで世界トップだったが、今は6か7位。これは乱獲の結果である。みんなわかっているが、目の前の生活もあるため、ジレンマを抱えながらやっていると思う。我々としては、水産資源管理は、環境の為というより漁師の方々、水産業に関わる人たちの収益を上げる為にするものだと思っている。そのための成功事例を作れたら良いと思い、取組を始めている。

林田氏:しっかりと後継者や、就業者を確保していくことが重要なことだと思う。そういう意味ではフィッシャーマンズリーグのような取組が、漁業が格好良くて、自分もやってみたいと思ってもらえる。そうした活動も重要だと思う。

 

当日の塾の様子


知事挨拶の写真
          知事挨拶

岡本前事務次官 挨拶の写真
        岡本前事務次官 挨拶



林田部長 基調報告1の写真
        林田部長 基調報告I

高橋事務局代表 基調報告2の写真
      高橋事務局代表 基調報告II



パネルディスカッションの写真
      パネルディスカッション

会場の様子の写真
        会場の様子


事前配布チラシ

平成28年度 第1回いわて復興未来塾のチラシ画像

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